イスラエルのピザハットは今年6月からドローンによる試験配達を開始する。
ピザハットはテック企業Dragontail Systemsと協業し、ピザのデリバリーにドローンを導入することを発表した。
Dragontail Systemsが店舗に配置したドローンは、イスラエル北部で今年6月に飛行を開始する。
ドローンには同社独自のAlgo Dispatching Systemが組み込まれており、AIが注文から配達までを管理する。
ドローンで配達するといっても、ドローンが個人宅まで配達するのではない。
駐車場など政府が承認した指定の着陸地点までドローンがピザを配達し、ここで配達員がドローンから商品を受け取り、個人宅まで配達する流れとなる。
ドローンが個人宅まで直接配達するのではなく、指定された場所までの配達には次のメリットがある。
●飛行ルートをしぼることでクリアしなければならない規制の簡易化
●配達時間が短縮される
●配達員が行き来しなくてよくなる
盗難を防ぐため、着陸地点に受け取る配達員がいることを認識するまでドローンは商品を降ろさない。
ピザハットにドローンを導入することで、新たに7000の個人宅に配達できるようになるという。
同社は、ドローンによる配達を開始する6月までに、指定されたエリアで1日6回のテスト飛行を実施する予定。テスト飛行を実施することで、ドローンの安全性と性能を政府に示したいとしている。ドローンの飛行中に不具合があればチームが対応する。
ピザのドローン配達に伴う課題
イスラエルはピザハットに対し、イスラエル北部の指定された50平方マイル(約130㎢)の範囲内でのテスト飛行のみ許可している。
Dragontail Systemsによると、この範囲では非常に限られた数の個人宅しかドローン配達を利用できないという。
もう1つ課題は重量だ。
イスラエルの現在の規制では、5.5ポンド(約2.4kg)をわずかに超える荷物の飛行しか認められていない。これはピザ2枚、コーラ1本に相当する。
6月までに22ポンド(約10kg)まで増やして欲しいと考えている。
導入が進むドローンによる商品配達
ピザの配達にドローンが活用されるのはこれが初めてではない。
ドミノピザが2016年にニュージーランドでピザの配達にドローンを利用したが、現在は実施されていない。
ピザ以外では、ウォルマートがFlytrexと提携し、北カリフォルニアでドローンによるパイロット試験を開始している。
GoogleのWingは、オーストラリア、アメリカなどでドローンによる商品配達サービスを初めている。
アメリカ・アラバマに展開するスーパーマーケットRouses Marketも2020年秋にドローンによる配達を開始。30分以内にドローンが商品を届けるという。
アイルランドでも、Mannaが2020年春からドローン配達している。
今回のピザハットへのドローン導入について、Dragontail SystemsのCEOであるIdo Levanon氏は、次のように語っている。
「レストラン業界が危機にある現在、このテクノロジーは不可欠なものです。当社のドローン配達は、レストランや配達員に安全で費用対効果の良い方法で、さらに広範囲な顧客にリーチする機会を提供します」
今回発表されたドローンによるピザ配達は、多くの人が想像するような「玄関前までドローンがお届け」するものではない。
しかし、配達の大部分が交通渋滞がない空の飛行になることで、これまでよりも熱々のピザが届くようになるだろう。
参考記事
Dragontail Systems and Pizza Hut Deploy Pizza Delivery Drones in Israel
Pizza Hut Hopes Drop Zones Can Help Bring Drone Delivery to Fruition
Dragontail Systems Deploys Autonomous Drones To Assist Food Deliveries
アイキャッチ画像の出典:Dragontail Systems