代替プロテイン

バイオマス発酵による代替シーフードの先駆者、米AQUA Cultured Foodsが事業終了|代替シーフードの「空白市場」に挑んだ5年間

出典:AQUA Cultured Foods

代替シーフードを開発する米AQUA Cultured Foodsが、先月事業を終了した。共同創業者のBrittany Chibe氏がリンクトインで明らかにした。

Chibe氏は「バイオマス発酵で魚を使わない世界初のホールカットのシーフードをつくるという、誰もやらなかった挑戦に踏み出しました」と振り返っている。

2020年設立のAQUA Cultured Foodsは、代替タンパク質のニュースを追い始めて間もなかった当時の筆者の目にも、異質でユニークな企業に映った。

代替タンパク質領域で代替シーフードに取り組む企業が限られる中、多くの企業は植物性素材でのシーフード開発に注力していた。一方で同社は当初から、微生物発酵でマグロ、白身魚、イカ、ホタテなどのシーフードを開発するビジョンを掲げていた。

Brittany Chibe氏 出典:AQUA Cultured Foods

2021年10月には210万ドル(当時約2億4000万円)のプレシード資金を調達し、翌年には生産量を2倍にする技術成果を発表。2024年にはギンコバイオワークスとの提携も発表した。

初期では菌類を使用したマイコプロテインによるイカなどを開発していたが、その後は細菌と酵母を使用したプロセスに移行し、2024年にはアメリカでGRAS自己認証を取得した。

シカゴに月産約2.2トンのパイロット工場を構え、2024年9月にはシカゴの高級レストランで代替マグロの提供を開始した。Chibe氏は以前のFoovoによるインタビューで、菌類タンパク質を加える研究開発も継続していることや、日本からの関心が高いことにも触れていた。

 

事業終了の背景について、Chibe氏はGreen queenのインタビューで、「技術面および市場面で大きな進歩があったにもかかわらず、事業拡大に必要なタイミングと資本が、もはや会社の財務実態と見合わない状況になりました」と述べた。

さらに「代替タンパク質に対する外部資金調達環境は過去2年間で劇的に厳しくなり、過度のリスクを負うことなく事業を継続できる資金を確保することができませんでした」と同メディアに述べている。

出典:GFI Analyzing plant-based meat & seafood sales(2026年1月11日アクセス)

2021年のGFIレポートでは代替シーフードは代替タンパク質市場における「空白」とされ、以降、さまざまなスタートアップが登場してきた。

しかし、代替エビのNew Wave Foodsは2023年11月に事業を終了し、冷凍ヴィーガン寿司をスーパーやレストランに展開していたカナダのKonscious Foodsは先月、事業終了済みであることが報じられるなど、複数企業の閉鎖が確認されている。

一方で、GFIの別のレポートによると、アメリカにおける植物由来の代替肉・シーフードの市場規模は2017年の6億8,200万ドルから2024年には12億ドルに達すると予想される。

長期的には市場は成長しているものの、アメリカで2024年の植物由来の代替肉・シーフードの小売売上は約7%減少した(上記画像)。減少率は2023年より緩やかであったものの、小売売上シェアは全体の1.7%と、植物ミルクが全体の14%のシェアを占めることと比較すると依然として小さい。

こうした数字は、植物由来の代替肉・シーフードカテゴリが「まだ黎明期にあり、成長余地があることを示している」とGFIは報告している。

出典:AQUA Cultured Foods

AQUA Cultured Foodsの事例は、革新的な技術や先見性があっても、市場の成長や資本の供給がなければ社会実装が難しいことを物語っている。ベンチャーキャピタルがスタートアップに求める成果サイクルは短く、「政府の研究プログラムや、より長期的な開発サイクルに耐えられる企業パートナーからの支援が必要」だとChibe氏はGreen queenに語った。

しかし、こうした先進的な取り組みもまた、業界の形成には不可欠である。

Chibe氏はリンクトインで、「私が最も誇りに思っているのは、派手な見出しには表れない部分で私たちが築いてきたものです。それは、責任感と卓越性を重んじる企業文化であり、共通の使命のもとに結束したチームであり、そしてゼロから立ち上げた製造施設です。さらに、構想段階から商用化に至るまでこの事業を導く中で、私自身が培ってきたリーダーシップのスキルも、私にとって大きな誇りです」と述べた。

 

※本記事は、リンクトインの発表をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

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アイキャッチ画像の出典:AQUA Cultured Foods

 

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