代替プロテイン

ビヨンドミートとペプシコがジョイントベンチャーThe PLANeT Partnership設立を発表

 

米国の代表的な代替肉企業ビヨンドミートと世界的な食品飲料会社ペプシコは植物ベースの軽食とドリンクを販売するためのジョイントベンチャーThe PLANeT Partnershipを設立することを発表した。

提携の資金条件は明らかにされていない。

The PLANeT Partnershipがどのような商品を開発するかは明らかにされていないが、ウォールストリートジャーナルの報道によると、同社の商品は北アメリカでまず販売されてから、イギリス、中国で販売される予定。

この提携では、植物ベースのタンパク質開発におけるビヨンドミートの最先端技術、ペプシコの世界クラスのマーケティング力・販売力を利用して、新しい植物ベースの軽食やドリンクを開発する。

この提携により、ペプシコはより持続可能な食品システムというゴールに近づくことになる。ビヨンドミートは、より広い購買層にリーチできるようになる。

出典:ペプシコ

先週、ペプシコは2030年までに全社の温室効果ガス排出量を40%以上削減することを目標に、気候変動に関する目標を2倍以上にすることを発表した。さらに、2040年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロとすることを発表した。

具体的には、2030年までに温室効果ガスの絶対排出量を、直接的な事業全体で75%、間接的なバリューチェーンで40%削減する目標を掲げている。これにより、2600万トン以上の温室効果ガスの排出量削減が見込まれる。

これは、1年間で500万台以上の自動車を道路から取り除くことに相当する。

植物ベース食品は畜産品と比べ、必要とする地球の資源がはるかに少ない。

ビヨンドミートとの提携は、ペプシコが目指す持続可能な食品システムに寄与するだけでなく、意識の高い消費者にリーチするうえでも有効だ。

また、2社の提携は植物ベースのタンパク質が主流になりつつあることの表れでもある。

Good Food Instituteの報告によると、米国では動物性製品の直接的な代替品となる植物ベース食品の売上は過去1年で1.1倍、過去2年では1.29倍になり、50億ドルに増えている

注目したいのは、このデータは2019年年末までのデータを反映したもので、新型コロナウイルスが発生する前のものとなる。

その後の調査報告によると、植物ベース食品の市場は、2020年から2027年にかけて年平均成長率11.9%で成長し、2027年までに742億ドル規模に達すると見込まれる。

つまり、急成長が見込まれる植物ベース食品市場にうまく入り込むうえで、ペプシコがすでにブランド力のあるビヨンドミートと手を組むのは理にかなっている。

ジョイントベンチャーThe PLANeT Partnershipの商品の詳細や、販売チャネルについてはまだ明らかにされていない。ペプシコもビヨンドミートも昨年、D2Cサイトを立ち上げている。

出典:ビヨンドミート

ペプシコは、人気商品の詰め合わせを箱詰めで届けるPantryShop.comと、軽食に特化したSnacks.comのECサイトをもっている。ビヨンドミートのECサイト注文から2営業日で商品が届く。

新たに設立されるThe PLANeT Partnershipは、ペプシコ、ビヨンドのECサイトで商品を販売するかもしれないし、独立したECサイトを立ち上げて、新たにブランド認知に注力する可能性もある。

詳細なマーケティング戦略は不明だが、今回のビヨンドとペプシコの提携は、インポッシブルフーズコカ・コーラの新たなジョイントを生み出すかもしれない。

 

参考記事

Beyond Meat and PepsiCo Partner Up for Plant-Based Snacks Joint Venture

PepsiCo and Beyond Meat® Establish The PLANeT Partnership, LLC, a Joint Venture to Introduce New Plant-Based Protein Offerings

PepsiCo, Beyond Meat Form Plant-Based Foods Venture

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:ビヨンドミート、ペプシコ

 

関連記事

  1. オーストラリア政府がChange Foodsに約1.2億円の助成…
  2. Biftekがシンガポールの培養肉企業へ最初の増殖培地サンプルを…
  3. 世界の精密発酵タンパク質の認可状況まとめ【2024年11月】|F…
  4. 蜜蜂を使わずにハチミツを作る米MeliBioがプレシードで約94…
  5. Vowの培養ウズラ肉、シンガポールのレストランがメニューに導入、…
  6. スイスのPlanted、発酵技術を使用した植物性ステーキを欧州3…
  7. 韓国の培養肉企業SeaWithは2022年末までにレストランでの…
  8. FAOとWHOが培養肉の安全性に関する新レポートを発表

おすすめ記事

国内初|グリーンカルチャーが植物性ゆで卵の開発に成功

植物肉Green Meatで知られる日本のスタートアップ企業グリーンカルチャーが…

そら豆を原料に代替卵を開発するPerfeggtが約4.9億円を調達

ドイツの代替卵スタートアップ企業Perfeggtは先月、プレシードラウンドの調達…

イスラエル企業Ansāが開発した電波を利用したコーヒー焙煎機e23

イスラエルのスタートアップ企業Ansāが開発したコーヒー焙煎機e23によって、職…

Fazerがソレインを使用した世界初のチョコレートバーをシンガポールで発売

フィンランドの食品メーカーFazerが、代替タンパク質ソレイン(Solein)を…

培養母乳を開発するイスラエル企業Bio Milk、2022年にサンプルを発表予定

1Lの牛乳を生産するには900Lの水が必要とされ、牛乳を生産するために地球のかな…

イネで乳タンパク質を開発する日本発のKinish、1.2億円のシード資金を調達

植物分子農業を活用し乳タンパク質を開発するKinishが、シードラウンドで1億2…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/24 15:02時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/24 00:50時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/24 04:47時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/23 21:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/24 13:06時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/24 00:05時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP