代替プロテイン

Meatable、初の試食会開催に続き、培養肉の生産期間短縮を発表

 

オランダの培養肉企業Meatableは、低コストでスケール可能な独自の分化プロセスにより、わずか8日で培養豚肉を作製したことを発表した。同社はまた、シンガポールで初めて試食会を実施したことも発表した。

過去1年にわたり、Meatableは脂肪と筋肉組織の量と質を向上させながら、プロセスの効率化に取り組んできた。その成果として、適切なレベルの繊維構造、脂肪、タンパク質、主要な肉の風味を備えた培養肉をわずか8日間で作製できるようになった。以前はこのプロセスに3週間かかっていたという。

生産期間を3週間から8日間に短縮

出典:Meatable

Meatableは独自のOpti-ox技術と多能性幹細胞を使用して、培養肉を作製している。

同社によると、多能性幹細胞は培養肉業界で一般的に使用される不死化細胞株よりも、変化することなく無限に増殖できるというメリットがあるが、幹細胞を筋肉細胞など特定の細胞に変化させるには難しさを伴う。同社のOpti-ox技術により、この課題が克服され、完全に分化した筋肉細胞・脂肪細胞をわずか数日で生成できるようになった。

Meatableは、連続灌流プロセスにより、1ミリリットルあたり約8000万個の細胞密度での連続サイクルを実現している。これにより、生産性の向上、プロセスの拡張が容易になるとしている。

同社共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のKrijn de Nood氏は、今回の成果について、「私たちは、従来の低価格の食肉に匹敵する製品を作るために必要な、世界で最も効率的なプロセスを有していることを実証しました」とコメントしている。

同社共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のDaan Luining氏は、「昨年は細胞を分化させるのに3週間かかっていましたが、現在はわずか数日に短縮されました。今後もさらなる短縮を予想しています。その上、私たちは豚肉特有の感覚体験をもたらす上で不可欠なタンパク質と長鎖脂肪酸を備えた最高品質の製品を作成しました」とコメントしている。

シンガポールで初の試食会

出典:Meatable

Meatableは今月、シンガポールで同社初の培養肉試食会を実施した。シンガポールで培養肉の試食会を実施するには、シンガポール食品庁(SFA)の要件を満たす必要がある。

試食会実施の認可を受けて、小売パートナーとシンガポール経済開発庁(EDB)が、培養豚肉ソーセージの試食会に招待された。Meatableはこれらのパートナーと協力して、2024年にレストラン、スーパーマーケットで培養肉を販売する予定だ。

シンガポールで上市した後は、アメリカでの発売を目指している。今後数カ月で、シンガポールや海外で試食会を実施することを計画している。

試食会には、GOOD Meatの培養肉を年初から提供している高級精肉店Huber’s Butcheryでエグゼクティブディレクターを務めるAndre Huber氏も参加した。

Huber氏は、「培養肉はおそらく、未来の肉だと思います。私たちは数世紀にわたって従来の伝統的な肉を食べてきましたが、ありがたいことに今、地球、未来の世代を助けるために、肉を作る新しい方法を見つけました。Meatableのソーセージを試しましたが、気に入りました。肉らしい食感があり、植物性タンパク質にはない肉の風味がはっきりと感じられます」とコメントしている。

 

参考記事

https://meatable.com/news-room/

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Meatable

 

関連記事

  1. 植物分子農業でジャガイモから卵白タンパク質を開発するPoLoPo…
  2. 精密発酵でヘムを開発するPaleoが約17億円を調達、植物性食品…
  3. 【世界初】TurtleTreeが精密発酵ウシラクトフェリンでGR…
  4. 東京大学、1125本を使用した中空糸バイオリアクターで厚みのある…
  5. 代替肉のRedefine Meatがイスラエルで5つの新商品を発…
  6. 精密発酵レポート好評販売中(2022年版)
  7. 食品廃棄物を活用してマイコプロテイン由来の代替肉を開発するMyc…
  8. 油だけで終わらせない|オランダのCano-ela、菜種種子から食…

おすすめ記事

TurtleTree、精密発酵ラクトフェリンの上市に向けて最初の商業パートナーシップを締結

精密発酵でラクトフェリンを開発するTurtleTreeが初の商業パートナーシップ…

オランダ、細胞農業のスケールアップを支援する2つの施設を設立

2013年に世界で最初に培養肉を発表したオランダで今月、オープンアクセスの独立し…

代替マグロの米Kuleanaが販路拡大、オンラインストアでの販売を開始

サンフランシスコを拠点に代替マグロを開発するKuleanaの製品が、オンラインで…

オーストラリアのBoldly Foods、植物性サーモン・マグロを米国で供給開始

オーストラリア、シドニーを拠点とするBoldly Foodsは今年夏、アメリカの…

酵母クリームのCultivated Biosciences、2025年の米国進出に向けて約7.3億円を調達

代替乳製品の食感を改善するために酵母由来の脂肪成分を開発するスイス企業Culti…

米January AI:血糖値モニターを使用せずに血糖値を予測する世界初のアプリを発表

毎回の食事で血糖値への影響が気になる人に、事前に食品が血糖値に与える影響を予測分…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/09 15:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/10 01:26時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/10 05:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/09 21:30時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/09 13:30時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/10 00:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP