代替プロテイン

GOOD Meat、Upside Foodsの2社がUSDAの表示認証を取得、培養肉上市まであと1ステップ

 

アメリカの培養肉企業GOOD Meat (イート・ジャストの培養肉部門)とUpside Foodsが今月、米国農務省(USDA)から培養鶏肉の表示認証を取得したことが明らかになった。

表示の承認を得たことで、GOOD Meat、Upside Foodsが培養肉を販売するための残る規制プロセスは、工場に対するUSDAの検査証書Grant of Inspection, GOI)取得のみとなった。

GOOD Meatは今月8日Upside Foodsは12日に表示認証を取得した。培養肉を上市するには、表示認証に加えてUSDAからGOIを取得する必要があるため、GOOD MeatはGOI取得まで発表する予定はなかったようだ。

アメリカでは培養肉は、従来の肉製品と同じ表示要件の対象となる。今回の発表を受けて、二社は表示に関する市販前要件に完全に準拠していることを示した。二社は現在、最終プロセスとなる工場に対するGOI取得に取り組んでいる。USDAからGOIを取得次第、二社はアメリカで培養肉の生産と販売を開始できるようになる

出典:Upside Foods

USDAの検査に合格すると、GOOD Meat、Upside Foodsの鶏肉製品にはUSDAの検査マークが添付される。表示には「cell-cultivated chicken(細胞培養鶏肉)」という用語が使用されるため、消費者は購入時に、製品が培養肉か従来の肉か区別できる。

残るステップをクリアした後、Upside Foodsの培養鶏肉はミシュラン星付きシェフであるドミニク・クレン氏がサンフランシスコで経営するレストラン「Bar Crenn」を皮切りに、厳選されたレストランパートナーを通じて数量限定で販売される。Vegconomistの報道によると、Upside Foodsは年内の販売を目指している。

GOOD Meatの培養肉は、有名シェフJosé Andrés氏が運営するワシントンのレストランから提供が開始される

シンガポールでは精肉店で培養肉が販売されている 出典:GOOD Meat

Upside Foodsは今回の発表を受けて、「私たちの美味しいUpsideチキンの生産、販売まで一歩近づいています」とInstagramでコメントを発表した

同社創業者兼CEOのウマ・バレティ氏は、「次のマイルストーンである当社施設への検査証書(GOI)を取得するために引き続きUSDAと協力していきます。USDAのGOIを取得することで、(培養肉の)商用生産と販売の道が開かれ、私たちの美味しいUpsideチキンを初めて消費者に提供できるようになります」と述べている。

これまでに培養肉の販売認可を取得した企業は、世界的に米イート・ジャストの1社のみ。同社が2020年12月にシンガポールで培養肉を販売してから、まだ第2の事例は報告されていない。

二社がいつGOIを取得するのか、注目が集まる。

 

参考記事

UPDATE 3-Upside Foods secures USDA approval for its cultivated meat

Setting the Record Straight: Eat Just is First Cultivated Meat Company to Receive USDA Label Approval

UPSIDE Foods Granted USDA Label Approval for Cultivated Meat and Moves One Step Closer to Commercialization

その他参照:

米国食品医薬品庁(FDA)、動物細胞培養技術を用いて製造された食品の市販前協議2件目の完了を公表

米国の食品安全・輸入関連制度の解説

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:GOOD Meat

 

関連記事

  1. バーガーキングのプラントベースワッパーを食べた感想【何度でも食べ…
  2. 米Puretureが植物性の代替カゼインの開発を発表
  3. 培養肉用の安価な足場を開発するGelatexが約1.3億のシード…
  4. Shiok Meatsが細胞由来の培養ロブスター試作品を発表、2…
  5. 中国バーガーキングが植物肉バーガーを発売開始
  6. ソーラーフーズ、微生物タンパク質を使用したアイスクリームをシンガ…
  7. イギリスのマクドナルドがマックプラントを導入、2022年に全国導…
  8. ドイツのAlife Foodsがアニマルフリー培養培地を用いて培…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

廃棄される果物の皮からドライフルーツを製造するRINDが約6.7億円を調達

廃棄される果物を活用してドライフルーツスナックを製造するRINDがシリーズAラウ…

精密発酵スタートアップが欧州の「不透明な」規制枠組みの改善に向けて業界団体Food Fermentation Europeを設立

欧州を中心とする精密発酵企業5社が今月、欧州における精密発酵食品の認識を高め、政…

ネクストミーツが代替肉でアメリカ市場に本格進出、代替ミルクの国内D2Cもスタート

日本のフードテック企業ネクストミーツがアメリカに本格進出する。同社は焼肉…

精密発酵でカカオバターを開発する米Seminal Biosciences

カカオ豆を使用せずカカオバターを開発する新たな企業が登場した。カリフォルニア州サ…

培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカのWildtype(ワイルドタイプ)…

米MycoTechnologyが約105億円を調達、菌糸体発酵プラットフォームの海外展開を加速

菌糸体で食品業界の課題解決に挑むアメリカ、コロラドを拠点とするMycoTechn…

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(09/25 10:07時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/24 19:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/24 22:55時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/24 16:15時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(09/25 09:28時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(09/24 18:49時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP