代替プロテイン

イスラエルのImagindairyは精密発酵でアニマルフリーな乳製品を開発

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微生物発酵技術によるアニマルフリーな乳製品開発が盛り上がる中、イスラエルのスタートアップImagindairyが新たにこのリストに加わった。

Imagindairyは遺伝子組換えされた酵母を活用して「本物と見分けがつかない真の乳タンパク質」を開発している。

具体的には、ホエイカゼインという乳タンパク質を構成する重要なタンパク質を開発している。

出典:Imagindairy

微生物発酵の中でも「精密発酵」という技術で作られるImagindairyの乳タンパク質は、遺伝子組換え食品を含まず、コレステロール、乳糖を含まない

それでありながら、同じ食感、栄養価、風味を実現している。

Imagindairyによると、同社の微生物発酵による乳タンパク質は、牛由来の乳製品に匹敵するタンパク質含有量、カルシウムを含むミネラル組成を実現している。

食品メーカーはImagindairyの乳タンパク質を製品に組み込むことで、動物由来の乳製品に匹敵するタンパク質含有量、栄養プロファイル、食感をもつアニマルフリーなチーズ、ヨーグルト、ミルクなどの乳製品を生産できるようになる。

コロナ禍に登場したImagindairy

Imagindairyはコロナウイルスが猛威を振るう中、設立されたテルアビブを拠点とするスタートアップ。

公式サイトには「AI技術と合成生物学を統合して細胞農業の可能性を解き放つ」と書かれている。

Eyal Afergan博士とテルアビブ大学教授であるTamir Tuller博士が共同で立ち上げた。

Tuller博士はテルアビブ大学のコンピューターサイエンスと合成生物学研究所の所長を務める人物でもある。

Imagindairyの独自技術は、同博士の15年にわたる進化ゲノム学、そして生化学専門家のArie Abo博士の知見がベースとなっている。

出典:Imagindairy

生物物理学シミュレーション、分子進化の計算論的モデリング、機械学習を使用して、酵母に乳タンパク質を安く、効率的に生産させる方法として遺伝子発現のモデルを作成している。

精密発酵では、酵母などの微生物を、乳タンパク質を生産する「工場」にまず変える必要がある

これは「簡単なことではない」とTuller博士は語る。

乳タンパク質をコードする遺伝子が何であるかはわかっていても、これらの遺伝子は牛の「言語」で書かれているためだ。

酵母を「生産工場」に変えるためには、牛の「言語」で書かれた遺伝子を、酵母など微生物の「言語」に書き換える必要がある。

同社の特許を取得したAIプラットフォームを使うと、既存技術と比べ、タンパク質の発現を200倍にまで増加できるという。

Foodnavigatorによると、同社は微生物由来の乳タンパク質を使ってチーズ、牛乳を開発する予定。

これまでにイスラエルのKitchen FoodTech Hub、代替タンパク質のベンチャーキャピタルCPT CapitalNew Crop Capitalから150万ドル(約1億6400万円)のシード資金を調達している。

まもなくシリーズAを開始する。

Tuller博士は次のように述べ、Imagindairyの生産方法を既存の乳製品生産施設に組み込むことで、市場投入の時間を短縮し、大量生産が可能になるとコメントしている。

「我々は、乳タンパク質生産の各工程を最適化する、高度なタンパク質生産プラットフォームを構築しました。

これにより、大量生産に見合う生産量を実現できるようになりました」(Tamir Tuller博士)

加速する脱・動物農業の動きと、無視できない「予測」

この2年、発酵タンパク質企業が増えている 出典:GFI

世界的に脱・動物農業への動きは加速している。

中でも、微生物発酵への関心・投資は急上昇しており、GFIの最新レポートによると、微生物発酵による代替タンパク質開発に取り組むスタートアップは現在51あり、そのうち半数以上の28社はこの2年に登場している。

特に微生物発酵の中でも精密発酵によるタンパク質の生産コストは2030年までに急激にさがるのに対し、家畜牛から牛乳を生産するコストは2倍になる(上記グラフ)。

PFは精密発酵を示す 出典:Rethink X

つまり、2030年には牛を飼育して牛乳を生産するよりも、精密発酵により乳製品を作る方がコストを50~80%抑えられることになる。

さらに、精密発酵によって2030年までに米国の家畜牛数が半減すると予想されている。

微生物を活用して作られる乳製品は、牛から最終製品を作るよりも土地、水、飼料の使用を大幅に減らせるというメリットがある。

牛を飼育する必要がないため、製品化までにかかる時間を短縮し、生産施設があれば都市部でも乳製品を生産することができる。

さらに、環境に与える負荷の面でも、微生物発酵は動物農業に優っている。

出典:Imagindairy

Imagindairyは具体的な環境軽減効果の数値をまだ公開していないが、精密発酵の代表格パーフェクトデイが最近発表したデータによると、動物農業に比べ、精密発酵で作られる乳製品は、生産プロセスで排出される温室効果ガスを85%~97%削減することができる。

こうした精密発酵が秘める影響力をにらみ、世界では精密発酵プレーヤーが相次いで登場している。

中でも代表的なパーフェクトデイは、遺伝子組換えした酵母に乳タンパク質を作るようプログラムし、動物由来と同等の乳タンパク質を、動物を使わずに製造している。

同社の乳タンパク質を使ったアイスクリームはアメリカで広く市販化されている(最終産物から酵母は取り除かれるため非GMO製品となる)。

ほかにも、イスラエルのRemilk、米・オーストラリアを拠点とするChange Foods、ドイツのFormo、イギリスのBetter Dairyなどが登場しており、代替タンパク質の第3の柱と呼ばれる微生物発酵分野における競争が激化していくことが予想される。

 

参考記事

Israeli Precision Fermentation Startup Imagindairy Is ‘Milking New Technology To Leave Cows Out’

Imagindairy Leads “No Cow,” Guilt-Free Dairy Revolution

Cutting out the middlecow: Israeli start-up Imagindairy on why lab-made milk will prove tastier and healthier than the real thing

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Imagindairy

 

 

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