代替プロテイン

米Liberation Labs、アメリカで精密発酵工場の建設を開始

 

Liberation Labsは先月、アメリカ、インディアナ州リッチモンドで専用の精密発酵施設の建設を開始したことを発表した

この施設は、専用の下流プロセスを備えた60万Lの容量を有し、逼迫する需要を満たす規模とコストで精密発酵によるタンパク質や他の原料を製造する。2024年末までに稼働を開始する予定だ。

Liberation Labsが最初の精密発酵工場を着工

出典:Liberation Labs

精密発酵による食用タンパク質の開発が進み、スタートアップ企業が急増する中、Liberation Labsは「業界が直面しているコスト・品質という2大課題」を克服しようとしている。

海外の再利用施設ではなく、アメリカ国内の専用施設でバイオ由来のタンパク質を大規模に生産することで、同社は精密発酵タンパク質の生産コスト削減に寄与しようと考えている。クライアント企業はLiberation Labsの施設を利用することで、最終製品をコスト競争力のあるものにできる。

Liberation Labsの工場建設で期待されるのは生産のスケールアップだけではない。地元、インディアナ州にプラスの経済効果ももたらすことも期待されている。

プレスリリースによると、直接事業・サプライチェーンを通じた経済的影響を試算すると、Liberation Labsはインディアナ州に年間で178件の雇用、1,300万ドルの労働収入、2,100万ドルの州内総生産(GSP)、6,700万ドルの生産高をもたらすと推定されている。

最終目標は2400万L規模の生産施設

出典:Liberation Labs

Liberation Labsはアメリカを皮切りに、海外の複数箇所に自社の製造施設の建設を予定している。最終目標は、グローバルで2400万リットルの発酵容量の実現だ。

インディアナ州の次は、中東・オーストラリアのいずれかに400万リットル規模の施設を建設する可能性が高い

Liberation Labsの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)であるMark Warner氏は、「バイオ由来原料へ消費者の強い関心があるにも関わらず、 業界は完全にそれに応えられていません。当社の専用のバイオ製造施設がそのギャップを埋め、食品、材料、まだ発見されていないブレイクスルーなど、私たちの生活をより良くする高度なバイオ製品の新時代を開くものと信じています」と述べている。

Liberation Labsのアジア版ともいえるのがシンガポールのScaleUp Bioだ。同社は今年、シンガポールに2つの精密発酵施設を開設する予定であり、バイオポリスにあるNurasaのフードテックイノベーションセンター(FTIC)に設置された1つ目の施設がまもなく開設する

 

参考記事

Liberation Labs Breaks Ground on its First Purpose-Built Precision Fermentation Biomanufacturing Facility

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Liberation Labs

 

関連記事

  1. ホールカットの植物サーモンを開発するOshi、年内にアメリカで発…
  2. 微生物発酵でサステイナブルな着色料を開発するデンマーク企業Chr…
  3. ChickPがひよこ豆由来のクリームチーズ、チェダーチーズを開発…
  4. 香港培養肉スタートアップのAvant Meatsが培養魚の切り身…
  5. 魚の培養脂肪を開発するインパクファット|日本人研究者がシンガポー…
  6. イスラエルの精密発酵企業Imagindairyが米国でGRAS自…
  7. ビヨンドミートの新商品ソーセージ、10月から全米の食料品店で販売…
  8. 植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

FDAがSensientのチョウマメ由来の青色着色料を承認

FDAがSensientのチョウマメ由来の抽出物を着色料として承認した。Sens…

ADMがAir Proteinと空気タンパク質を使用した代替肉の研究開発で提携

世界大手の農産物加工・食品原料メーカーである米ADM(アーチャー・ダニエルズ・…

フードデリバリーの「Google」、デリバリー各社を比較・検索できる統合アプリMealMeとは

フードデリバリーを頼むとき、多くの人がさまざまなプラットフォームを使って、何を注…

Farmless、二酸化炭素によるタンパク質生産に向けて約1.8億円を調達

オランダのフードテック企業Farmlessは今月、プレシードラウンドで120万ユ…

BioBetterはタバコ植物を活用して培養肉用の成長因子を開発、培養肉のコスト削減に挑む

イスラエルのバイオテクノロジー企業BioBetterは、植物のタバコを活用し、培…

Mycorena、マイコプロテイン由来のバター試作品を発表

マイコプロテインを活用した代替肉を製造、販売するスウェーデン企業Mycorena…

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(09/25 10:07時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/24 19:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/24 22:55時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/24 16:15時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(09/25 09:28時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(09/24 18:49時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP