代替プロテイン

ビヨンドミートが代替ミルクにも参入か?ビヨンドミルクの商標を出願

 

アメリカの代表的な代替肉企業ビヨンドミートが、代替ミルクへの参入を進めている可能性がある。

同社は今月12日、米国特許商標庁に「ビヨンドミルク(Beyond Milk)」の商標を出願した。出願内容によると、「ミルクセーキの製造、ミルクまたは代替ミルクを含むコーヒー、紅茶飲料」を対象としている。

ビヨンドミートの代替ミルクがどの原料を使うものなのか、いつ発表されるのか、具体的なことはわかっていないが、プラントベース食品で最大のシェアを占める植物ミルクカテゴリーにビヨンドミートが参入しようとしているのは間違いない。

GFIによると、アメリカにおける植物ミルク市場は25億ドルと、プラントベースのなかで最も発展している。植物性の代替肉が小売におけるプラントベース全体のわずか2.7%であるのに対し、代替ミルクは15%を占めている。

出典:GFI

代替ミルクの市場シェアを考えると、ビヨンドミートが肉製品に続き、乳製品への参入を考えるのは驚きではない。

ビヨンドミートの競合、インポッシブルフーズも昨年10月に、インポッシブル・ミルクを開発していることを発表していた。インポッシブル・ミルクはまだ市場に投入されていないが、代替ミルク市場にはすでに多数のプレーヤーが登場している。

世界大手の食品・飲料企業ダノンは、大豆ベースの代替乳製品Silkのシリーズを販売している。

5月に上場したスウェーデン企業オートリーは、アメリカで7500箇所を超える小売とコーヒーショップ1万店舗で展開しており、アメリカ市場で成長を続けるオーツミルクの需要に対応するために、2023年にアメリカ3つ目の生産工場をテキサスに開設することを発表した。

ビヨンドミートは代替肉の原料にえんどう豆を使用している。同社がビヨンドミルクでも原料にえんどう豆を使用するかは不明だが、えんどう豆を原料に代替ミルクを開発するRippleもビヨンドミートの競合となる可能性がある。

出典:ビヨンドミート

アメリカ市場にいる競合として、チリのユニコーン企業NotCoも無視できない。

ジェフ・ベゾス氏など著名人から出資を受けるNotCoは、AIを活用して代替ミルク、代替肉、代替乳製品を開発する希少な企業で、昨年11月のアメリカ進出以来、6月時点で販売箇所を3000にまで増やした。

7月に250億円を超える資金調達を実施しており、かねてからアメリカの乳製品市場を狙っている

ビヨンドミートは代替肉分野でも躍進を続けている。

今年になってから、ペプシコマクドナルド、ヤムブランズといった大手との提携を発表。7月には新商品ビヨンドチキンテンダー(代替鶏肉)をリリース

中国の現地工場をオープン後まもなく、中国大手ECサイト、JD.comに進出し、中国市場向けに開発したビヨンドポーク(代替豚肉)の販売も開始している。年内にはオランダの自社工場をオープンすると予想される。

 

参考記事

Trademark Filing Indicates Beyond Meat Could Add Milk to its Lineup

Beyond Meat files for trademark on Beyond Milk name

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:hutterstock.com/Julia Metkalova氏

 

関連記事

  1. 英Hoxton Farmsがロンドンに培養脂肪のパイロット工場を…
  2. 牛乳の全成分を含んだ培養ミルクを開発するカナダ企業Opalia
  3. Jellatechが約5億円のシード資金を調達、細胞由来コラーゲ…
  4. アレフ・ファームズ、イギリスで培養肉の申請書類を提出
  5. エンドウ豆由来の代替ミルクを展開する米Ripple Foodsが…
  6. 菌糸体で代替ステーキ肉を開発する英Adamo Foodsが約2.…
  7. Aqua Cultured Foodsが微生物発酵による代替イカ…
  8. 培養肉企業アレフ・ファームズ、培養コラーゲン事業への参入を発表

おすすめ記事

精密発酵カゼインを開発するThose Vegan Cowboys、大手チーズメーカーHochlandと提携

精密発酵カゼインを開発するベルギーのThose Vegan Cowboysは先月…

ドイツ企業Kynda、食品副産物を活用した「廃棄物ゼロ」の菌糸体バーガーを見本市で発表

菌糸体生産のB2Bソリューションを開発する独Kyndaは今月、ドイツ、ハンブルグで開…

ポルトガルのPFx Biotech、精密発酵による母乳タンパクのスケールアップに向け約8.2億円を調達

精密発酵で母乳タンパク質を開発するポルトガル企業PFx Biotechは今月、シ…

【2023年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ

2024年5月12日更新(特典の変更について追記しました)。 2024年9月2日更新(…

TurtleTreeが精密発酵によるアニマルフリーなラクトフェリンを発表、年内に市販化へ

TurtleTreeは今月、世界初となる精密発酵によるウシラクトフェリンを試食イ…

【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用したミルクを試食@シンガポール|精密発酵ミルクの現在地を確認

精密発酵技術で生成された食品がアメリカ、シンガポールなどで販売されている。…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(08/08 15:33時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(08/08 01:41時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(08/08 05:33時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(08/08 21:37時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(08/08 13:35時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(08/08 00:45時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP