代替プロテイン

代替卵のイート・ジャストがアフリカ市場へ進出

 

植物ベースの代替卵を開発するイート・ジャストがアフリカ市場へ進出した。

南アフリカを拠点とするInfinite Foodsと協業し、緑豆をベースとしたJUST Egg Foldedを南アフリカで発売した。製品は小売、外食産業で展開されるほか、Infinite FoodsのECサイトでも販売される。

イート・ジャストはサンフランシスコを拠点とするフードテック企業。植物卵に加え、細胞培養による培養肉を世界で初めてシンガポールで販売するなど、注目を集めている。

出典:イート・ジャスト

アフリカ進出にあたり、イート・ジャストはアフリカで植物肉の販売を手掛けるInfinite Foodsと協業した。

Infinite Foodsは、アフリカ大陸全土の800箇所以上にネットワークを持ち、ビヨンドミート(代替肉)オータリー(代替ミルク)Good Catch(代替魚)といった有名なプラントベースブランド食品をスーパー、レストラン、ECサイトで販売している。

このリストにイート・ジャストが加わったこととなる。

イート・ジャストの製品は、アフリカ最大手の小売業者Wellness Warehouse、一部レストランで取り扱われるほか、Infinite FoodsのECサイトで販売される。

出典:イート・ジャスト

イート・ジャストの代替卵製品には、液体タイプの「JUST Egg」、卵焼きタイプの「JUST Egg Folded」、低温調理された一口タイプの「JUST Egg Sous Vide」の3種類がある。いずれも緑豆、ターメリックをベースとした100%植物ベースの卵製品で、遺伝子組換え原料、コレステロールを含まない。

今回南アフリカで発売されたのは、卵焼きタイプの「JUST Egg Folded」となるが、残る2製品も今後販売していく予定

出典:イート・ジャスト

イート・ジャストのJUST Eggは、アメリカでは2万箇所を超える小売、1000箇所のレストランで販売されている。これまでに販売したJUST Eggは、1億個の卵に相当し、アメリカを代表する植物卵企業となった。

アメリカ以外では、中国大手ECサイトのJD.comとアリババが運営する天猫(Tmall)で販売されるほか、中国大手ファーストフードのDicosの卵メニューにも採用されているなど、中国上陸も果たしている。

シンガポールには、北アメリカ、ドイツに次ぐ3つ目の生産工場を建設中で、昨年の報道によると、2022年半ばまでの稼働を目指している

中国の人気屋台料理「煎饼」をJUST Eggで作っている様子 出典:イート・ジャスト

イート・ジャストに今最も注目が集まっているのは、同社が年内または2022年にIPOする可能性があることだろう。直近の報道では、最低でも30億ドルの評価額を目指している。

今回のアフリカ進出にあたり、創業者のジョシュ・テトリック氏は南アフリカを「重要な新しい市場」だとコメントしている。確かに、アフリカの今後の人口増加を考えると、代替タンパク質を手掛ける企業が、アフリカを無視する理由はない。

米シンクタンク・ピュー・リサーチ・センターの報告によると、2100年までに、世界の人口トップ10カ国のうち、半分はアフリカとなると予想される。

現在、トップ10にいる国の4カ国(メキシコ、ロシア、バングラデシュ、ブラジル)は2100年の時点で、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、エジプトに置き換えられる見込み。

代表的なフードテック企業ビヨンドミート(代替肉)、オータリー(代替ミルク)、Good Catch(代替魚)に続き、代替卵のイート・ジャストが進出したことで、アフリカの代替タンパク質市場にさらに注目が集まっていきそうだ。

 

参考記事

Eat Just Teams Up With Infinite Foods To Launch Vegan Egg in African Market

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:イート・ジャスト

 

関連記事

  1. Vowがシンガポールで培養ウズラ肉の販売認可を取得、今月レストラ…
  2. 【10/16】現地レポート会:フィンランド&シンガポールにおける…
  3. 培養フォアグラを開発する仏Gourmeyが約11億円のシード資金…
  4. 代替シーフードのAqua Cultured Foods、スイスの…
  5. オーストラリア政府がChange Foodsに約1.2億円の助成…
  6. Doehlerが代替パーム油を生産する英Clean Food G…
  7. ビールの醸造で発生する廃棄大麦をアップサイクルするReGrain…
  8. タイソンの植物肉ブランドRaised & Rooted…

おすすめ記事

発酵技術で代替シーフードに挑むAqua Cultured Foodsがプレシードで約2億4000万円を調達

微生物発酵でシーフードを開発する米Aqua Cultured Foodsがプレシ…

【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butcheryが来月から培養肉を販売

2024年5月16日更新シンガポールで培養肉が販売されてから2年。これま…

精密発酵でヘムを開発するPaleoが約17億円を調達、植物性食品に「本物の肉の味」を提供

精密発酵でヘムを開発するベルギー企業Paleoは今月、シリーズAラウンドで120…

パーフェクトデイ、精密発酵の「biology-as-a-service」を本格始動

食用タンパク質で精密発酵をリードする米パー​​フェクトデイ(Perfect Da…

スーパーミート、システムのオープンソース化で培養肉の商用化を加速

イスラエルを拠点とする培養肉企業スーパーミートが商用化に向けて加速している。…

【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech Expo Asia 2022)参加レポート(代替タンパク質にフォーカス)

2022年10月26日~28日の3日間、シンガポールのマリーナベイ・サンズにある…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/18 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP