細胞農業により代替母乳を開発するシンガポール企業TurtleTreeは、カリフォルニア州ウエストサクラメントに研究施設を開設した。
この施設は24000平方フィートの広さで、現在はまだ使用中だが、来年には空室になるという。準備に最低6ヶ月かかる見込みで、来年に正式稼働する予定。
研究施設オープン時には40名を雇用し、ラクトフェリンなどの乳成分の生産に使用している精密発酵技術を強化するという。
TurtleTreeはウエストサクラメントに研究施設を設立することについて、「(同社が)開発した独自製品を市場へ投入する第一歩」だとしている。
TurtleTreeはシンガポールを拠点とするスタートアップ企業で、細胞培養による母乳、ミルクを開発している。今年の夏に、最初に商用化される成分がヒトラクトフェリンとなることを発表した。ラクトフェリン製品は、乳児用やスポーツ用栄養製品に組み込む形で商用化される。
商用化の第一段階として、TurtleTreeは他社が食品や栄養食品に使用するための成分として提供する。最終的に、環境負荷をもたらすことなく、牛乳や母乳を完全に再現することを目指している。
8月、TurtleTreeはノースカロライナ州を拠点とするSolar Biotechとの提携を発表した。
Solar Biotechは他社が自社でプラットフォームを構築しなくても、スケールアップし、市場へ早期投入できるよう支援するスタートアップ。同社のBioNodesというモジュール工場を活用すると、合成生物学製品の市場投入時間を数年から数ヵ月に短縮でき、コストを現在の10分の1に抑えることが可能となる。
TurtleTreeは代替母乳のスケールアップのためにSolar Biotechのバイオプロセス技術を活用する。
TurtleTreeは元Google社員のFengru Lin氏とMax Rye氏が2019年に立ち上げたシンガポール企業。クランチベースによると、直近のラウンドはシードラウンドで、調達総額は940万ドルとなる。
同社は6月、アメリカ、ウッドランドにあるインキュベーターAgStartに研究拠点を追加した。今回のサクラメントへの研究施設開設により、アメリカ市場への代替ミルク・代替母乳導入が加速することが予想される。
参考記事
Food tech startup TurtleTree plans R&D facility in West Sacramento
TurtleTree Launches New Research and Development Facility in Greater Sacramento
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アイキャッチ画像の出典:TurtleTree