代替プロテイン

The EVERY Companyが約198億円を調達、精密発酵タンパク質のB2Bを強化

 

精密発酵でアニマルフリーな卵白タンパク質を開発するThe EVERY CompanyがシリーズCで1億7500万ドル(約198億円)を調達した

ラウンドは応募超過で完了し、McWinRage Capitalが共同で主導、テマセク、ロンドンの不動産グループ・グロブナーのWheatsheaf GroupTO Ventures、南アフリカのベンチャーキャピタルProsus Venturesが参加した。Prosus Venturesにとって、これは合成生物学企業に対する初の出資となる。

この調達によりThe EVERY Companyの調達総額は2億3300万ドル(約264億円)となった。同社は調達した資金で食品へのアプリケーションを拡大し、自社技術により複製する卵タンパク質のさらなる拡大を図る。

The EVERY Companyは卵タンパク質のDNAを酵母に挿入、砂糖を与えて、酵母に糖から卵タンパク質を生産させる。ビール、ワインの生産では、酵母は発酵により糖を分解してアルコールを作るが、DNAを挿入された酵母はアルコールの代わりに卵タンパク質を生産する。

創業者兼CEOのArturo Elizondo氏 出典:The EVERY Company

このように酵母など微生物をミニ工場として動物に頼らずタンパク質を生産する手法を精密発酵という。

同社は精密発酵の代表格パーフェクトデイに続き、代替タンパク質を市販化した。これまでにフォーチュン500の原料メーカー・イングレディオンとの共同によるアニマルフリーペプシンの発売に始まり、10月には世界初となる卵白タンパク質粉末ClearEggを発表、先月にはPressedと提携し、ClearEggを使ったスムージーを期間限定で発売した。

Pressedとの提携により、同社の発酵タンパク質に消費者が直接アクセスできるようになった。

同社の発酵由来の卵白タンパク質は、オムレツなどを作れる代替卵に代わるものではないが、無味無臭で溶解性が高いため、ビールやジュースなどさまざまなドリンクに加えることができる

次の商品として、2つ以上の卵白タンパク質から構成される機能性製品を開発しており、2022年の発売を目指している。これが代替卵白EggWhiteであるかは定かではない。

The EVERY Companyは、世界のタンパク質をその作り手である動物から切り離すというミッションのもと、2014年にクララフーズとして設立し、今年社名を変更した。

EVERYのタンパク質を使って作られたパウンドケーキ 出典:The EVERY Company

「B2B原料プラットフォームににとって絶好のチャンスです」と創業者兼CEOのArturo Elizondo氏はプレスリリースで述べ、「世界の大手食品会社がよりクリーンで、環境に優しく、持続可能な方法で製品を提供しようとしたとき、利用できる選択肢はほとんどありません。当社は、世界最大及び最小の食品会社が妥協することなく、アニマルフリーな未来に移行するのを実現できる申し分のない立場にあります」とコメントしている。

The EVERY Companyは新たな資本注入により、アニマルフリーなタンパク質をあらゆる場所のすべての人に届けるというビジョンのもと、精密発酵タンパク質製品を販売するための供給ルートの全国展開を目指す。

 

参考記事

The EVERY Company Closes Oversubscribed $175 Million Series C Round as It Drives Scale-up of Its B2B Animal-free Protein Platform

The Every Company Raises $175M to Crack Open the Precision Fermentation Egg Market

The EVERY Company raises $175m to expand ‘animal-free’ protein platform

 

関連記事

アイキャッチ画像・GIFの出典:The EVERY Company

 

関連記事

  1. Imagindairyがイスラエルで精密発酵ホエイの認可を取得 …
  2. マイコプロテイン由来の代替肉を開発するMycorenaが約30億…
  3. 【現地レポ】シンガポールで培養ウズラ肉を実食|Vowの「Forg…
  4. 二酸化炭素からタンパク質を作るDeepBranchが約2億900…
  5. デンマークの21st.BIO、アメリカで精密発酵ホエイのGRAS…
  6. GOOD Meat、Upside Foodsの2社がUSDAの表…
  7. ドイツのBluu Seafoodが欧州で初めて培養魚製品を発表、…
  8. 培養肉企業21社の生産工場・稼働状況まとめ-2022年11月時点…

おすすめ記事

Oobli、精密発酵による甘味タンパク質を使用した初製品の予約販売を開始

精密発酵により甘味タンパク質を開発するOobli(旧称Joywell Foods…

世界初!シンガポールOsomeFoodが開発したマイコプロテイン由来の代替ゆで卵

シンガポールを拠点とするOsomeFoodは、世界初となるマイコプロテイン由来の…

代替ハチミツの米MeliBioが約6.7億円を調達、今春より生産拡大へ

持続可能な「本物のハチミツ」を開発するアメリカのMeliBioが17日、シードラ…

精密発酵で生まれた甘味タンパク質──Oobliのチョコレートを試して見えた課題と可能性

アメリカのフードテック企業Oobliのチョコレートを試してみた。遺伝子組…

米Meati Foodsが菌糸体由来の代替肉を製造する生産工場「メガランチ」を開設

菌糸体からブロックタイプの代替肉を開発する米Meati Foodsは今月、コロラ…

仏培養肉のVital Meatがイギリスで新規食品の承認申請を実施|世界の培養肉をめぐる認可・販売・申請状況まとめ

フランスの培養肉企業Vital Meatは今月、英国食品基準局(Food Sta…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/07 16:04時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/07 02:29時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/07 06:06時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/07 22:04時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/07 14:02時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/07 01:20時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP