代替プロテイン

そら豆を原料に代替卵を開発するPerfeggtが約4.9億円を調達

 

ドイツの代替卵スタートアップ企業Perfeggtは先月、プレシードラウンドの調達額が計360万ユーロ(約4億9000万円)に増加したことを発表した。

新たなラウンドにはUrania VenturesAtomico Angel FundFoodspringなど12の投資家が参加した。

今回の調達は、昨年11月の250万ユーロ(約3億4000万円)の資金調達に続くものとなる。2021年設立と創業間もないスタートアップが半年で2回の資金調達に成功したことは、欧州の植物卵市場に対する注目の高さと期待感を表している。

そら豆を使った液体卵、まもなく市販化へ

出典:Perfeggt

2021年に設立されたPerfeggtはそら豆を原料に、鶏卵の味と食感を再現した植物性代替卵を開発している。同社は風味、食感、味を妥協しない本物の卵の代替品を作ることに専念している。

最初の製品は、スクランブルエッグ、パンケーキ、フレンチトーストなどのさまざまな料理に使用できる液体卵となり、まもなくパートナーレストランや小売店で販売される。

共同創業者のBernd Becker氏は「味と食感が重要だ。私たちが適切な植物性タンパク質と脂質の組み合わせに特にこだわるのはそのためだ。これにより、卵が持つ非常に複雑で多機能な、用途の広い特性と(本物と)区別のできない味を再現できる」とコメントしている

Perfeggtの共同創業者兼CEOであるTanja Bogumil氏は「私たちの目標は食品業界を変革し、最も人気のある動物製品の1つ、卵の生産方法と消費方法に挑戦することだ。この数ヵ月にわたるPerfeggtに対する極めて前向きな反応は、市場が形成されていることを示している」とコメントしている。

成長性のある代替卵市場に参入プレーヤー続々

出典:Perfeggt

Perfeggtは調達した資金を、研究開発、チーム拡充、上市にあてる。2月、3月にドイツのハンブルクで実施された最初の試食会では、「極めて肯定的なフィードバック」が得られたという。今後数ヵ月かけてドイツや他の都市で試食会を実施することを予定している。

Perfeggtは、フードテック企業設立を支援するドイツのEVIGの支援で設立された。EVIGの創業者兼CEOであるGary Lin氏はPerfeggtの共同創業者の1人でもある。

Lin氏は「卓越した科学と革新的技術により、動物由来製品はメニューから簡単に排除できると信じている。Perfeggtがまさにその結果だ」とコメントしている

プレスリリースによると、現在、世界で年間13兆個以上の卵が消費されており、欧州だけで年間1100億個の卵が消費されている。世界的に植物性代替食品への需要は高まっているが、「代替卵市場は莫大な成長の可能性があるにも関わらず未開拓」だとPerfeggtは考えている。

欧州に限らず、成長性のある代替卵市場を狙う企業は複数登場している。

出典:イート・ジャスト

直近では、アメリカのイート・ジャストが欧州委員会より主力製品JUST Egg(緑豆タンパク質)の認可を取得した。これにより、年末までにJUST Eggが欧州で販売される。Perfeggtと同じくそら豆を原料に使用するThe VGNは、今年半ばまでにイギリスのオンラインスーパーOcadoを通じた市販化を目指している。

フランス企業Le Papondu、シンガポール企業Float Foods、日本のグリーンカルチャー、イスラエルのYo Eggのように目玉焼きやゆで卵を作れる全卵の置き換えを目指す企業も登場している。

さらに最近では、動物に頼らず、微生物の力を活用して本物の卵白を再現する研究開発も進んでおり、アメリカではThe Every Companyが先月、メレンゲを作れる卵白の市販化を実現した。

 

参考記事

Berlin-based Perfeggt increases pre-seed round to €3.6 million to crack into Europe’s growing foodtech market

Perfeggt Scoops $4 Million To Become Europe’s ‘Number One Egg Brand’

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Perfeggt

 

 

関連記事

  1. Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証、欧…
  2. Forsea Foods、培養うなぎの開発で細胞密度3億個/mL…
  3. ソーラーフーズ、シンガポールでソレインの販売認可を取得
  4. 米Meati Foodsが菌糸体由来の代替肉を製造する生産工場「…
  5. 米パーフェクトデイがシンガポールに研究開発拠点を設置、2021年…
  6. 魚の培養脂肪を開発するインパクファット|日本人研究者がシンガポー…
  7. ADMがAir Proteinと空気タンパク質を使用した代替肉の…
  8. イスラエルのForsea Foodsが世界で初めて培養うなぎの試…

おすすめ記事

夕飯の準備は出社前の2分で完了!冷蔵機能のあるスマート調理器具Suvie

仕事の帰宅途中、スーパーによって食材を購入し、自宅で夕飯の支度をする…そ…

ZIKIがロボットキッチンのBowlton Kitchensを買収

1時間に300の料理が可能な料理ロボットを開発する米スタートアップ企業Bowlt…

植物の葉から食用タンパク質を開発するLeaft Foodsが約19億円を調達

代替タンパク質の原料は細胞培養、微生物発酵から、えんどう豆、大豆、オーツ麦など植…

デンマークのTempty Foodsがマイコプロテインをレストランに導入

2024年6月27日情報を追記デンマークのマイコプロテイン企業Tempt…

【2021年10月】代替シーフードの投資動向/大手、スタートアップの参入・提携状況

本記事は、2021年1月~9月までの代替シーフードの投資状況、大手×スタートアッ…

米Lypid、独自のビーガン脂肪を使用した代替豚バラ肉Lypid Pork Bellyを米・アジアで発売

植物肉向けの代替脂肪を開発する米Lypidは4月、独自の代替脂肪を使用した植物性…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(06/04 15:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/05 01:07時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(06/04 05:07時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(06/04 21:15時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(06/04 13:19時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(06/05 00:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP