代替プロテイン

【世界初】米The Every Companyがアニマルフリーな卵白を発売

 

カリフォルニアを拠点とするThe EVERY Companyは23日、世界初のアニマルフリーな卵白の発売を発表した

同社の卵白EggWhiteは、パン屋やシェフが必要とする卵白の味と機能を再現したもので、1つの卵も使わずに作られている。

代替タンパク質業界でこれまで実現されていなかった卵白の代替を祝福するために、The EVERY Companyは卵白菓子の象徴ともいえるマカロンに使用することを決めた。同社はアメリカ西海岸で人気のフランスのマカロンメーカーChantal Guillonと提携し、EggWhiteを使った史上初の動物成分を含まないマカロンを販売する。

精密発酵による卵白開発のブレイクスルー

出典:The EVERY Company、Chantal Guillon

The EVERY Companyは精密発酵技術により、卵を使わずに実際の動物タンパク質である卵白を生産した。

精密発酵は微生物に目的のタンパク質の遺伝子を挿入し、微生物に目的のタンパク質を作らせる手法をいう。チーズづくりに使われる凝乳酵素キモシンも、現在では大部分が精密発酵で作られている。

現東京大学名誉教授の別府輝彦博士が牛のキモシンを微生物に作らせることに成功したことは、初期の先進的な成功例として知られる。

精密発酵はその後、酵素の生産から、食品用タンパク質に急速に浸透している。そして、The EVERY Companyがついに卵白でもブレイクスルーを実現した。

動物を使わずに卵白のすべての機能を持つEggWhite

出典:The EVERY Company

EggWhiteを使ったマカロンの予約注文は23日に開始し、今月末に全米に配送される。

Chantal Guillonのサンフランシスコとカリフォルニア州パロアルトの2店舗で販売されるほか、GrubHub、ウーバーイーツ、Seamless、Allsetなどのパートナーを通じて、ベイエリアに配送される。

The EVERY Companyによる卵白EggWhiteは、少ない水消費・土地利用・温室効果ガス排出量でありながら、卵白のすべての機能を備えているのが特徴だ。市販されている代替品と異なり、EggWhiteは鶏由来の卵白のような味わい、泡立ち、ゲル化する性質を持ち、パン作りやケーキに求められるのと同等レベルの泡沫安定度、通気性、食感を備えるという。

そのため、ケーキ、クッキー、パンからプロテインバー、植物肉、パスタまでさまざまな用途に使用できる。卵アレルギーの人には適さないが、ビーガンでありながら、卵白タンパク質と分子的に同じタンパク質となる。

マカロンはサンフランシスコのサウスオブマーケットにあるChantal Guillon店舗で手作りされ、全国に配送される。味はアールグレイ、パッションフルーツ、ピスタチオ、ストロベリー、タヒチアンバニラ、ダークチョコレートの6種で、1箱6個入り、28ドル(約3300円)で販売される。在庫がなくなり次第、販売終了となる。

食品業界の最高峰を代替

出典:The EVERY Company、Chantal Guillon

The EVERY Companyは、昨年12月に調達した約200億円を投入して市販化を促進させてきた。EggWhiteは同社が発売した3つ目の製品となる。

過去1年半の間に、ペプシン可溶性卵白タンパク質粉末ClearEggを含む3製品を上市した。いずれも精密発酵技術を活用している。

同社CEO兼創業者のArturo Elizondo氏は「卵白は食品業界の最高峰の1つであり、独特の機能性ゆえに、これまで代替することがほぼ不可能だとされてきた。今日、アメリカの人々は初めて、EVERYのEggWhiteを味わうことができるようになった。これは7年にわたる丹念な研究開発の賜物だ」とコメントしている。

Chantal Guillonの共同経営者兼シェフであるPatrick Lassaque氏は「品質や味で妥協することはしない。だからEVERYと協力し、世界のために真に妥協のないマカロンを作るという、誰もなしえなかったことをできることに感激している」とコメントしている。

避けられない代替

左が創業者のArturo Elizondo氏 出典:The EVERY Company

2014年にクララフーズとして動物タンパク質の代替の旅を始めたThe EVERY Companyがついに、卵白の代替を成し遂げた意義は大きい。

精密発酵を活用したタンパク質の代替はすでに、アイスクリーム、クリームチーズハチミツコラーゲン、卵白、牛乳で実現されている。今後は油脂成長因子チョコレートなどでも代替が予想される。

PFは精密発酵を示す 出典:Rethink X

上市の実現はほぼアメリカに限定されるものの、世界的な代替の波が今後やってくることは間違いない。海外のシンクタンクRethink X2030年までに乳製品では動物由来と精密発酵由来とで生産コストが逆転すると予想している。

バイオリアクターのスケールアップ菌株の開発など課題は残るが、2021年の代替タンパク質企業に対する投資額では、発酵タンパク質企業は前年比3倍に成長し、培養肉企業を上回る投資が行われたことからも、発酵タンパク質業界の急速な成長が予想される。

 

参考記事

The EVERY Co. Debuts The World’s First Egg White Made Without a Chicken

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:The EVERY Company、Chantal Guillon、Kimberly Tsai氏

 

関連記事

  1. 培養フォアグラを開発する仏Gourmeyが約11億円のシード資金…
  2. ドイツ企業Nosh.Bioがマイコプロテインを工業生産する自社施…
  3. 海藻で地方創生を目指す米Aqua Theon──和菓子、寒天ドリ…
  4. Jellatechが約5億円のシード資金を調達、細胞由来コラーゲ…
  5. Nourish Ingredients、精密発酵由来の脂肪「Ta…
  6. Umami BioworksとShiok Meatsが合併計画を…
  7. 廃棄カリフラワー由来の植物アイスクリーム|EatKindaがニュ…
  8. 果物の廃棄物を活用して精密発酵脂肪を開発するZayt Biosc…

おすすめ記事

Remilk、EUで精密発酵ホエイの新規食品申請を撤回|ラクトフェリンでは初のEFSA申請を確認【Foovo独自】

出典:Remilk2026年1月8日更新:現地情報を一部追記しました。今年イスラエルで上…

ドイツ企業Infinite Rootsの菌糸体由来肉が韓国上市へ|マイコプロテインの2024年注目トピック

ドイツの菌糸体スタートアップ企業Infinite Roots(旧称Mushlab…

アイスランドORF Geneticsが大麦由来の低コスト成長因子を開発、培養肉の生産コスト削減を目指す

アイスランド・ORF Geneticsの技術によって、今後数年のうちに培養肉の商…

中国の培養肉企業Joes Future Food、パイロット工場建設のための資金を獲得

中国の培養肉企業Joes Future Food(周子未来)は先月、シリーズAラ…

培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカのWildtype(ワイルドタイプ)…

GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジェンダに追加

ロバート・ケネディ・ジュニア米保健福祉長官(出典:米保健福祉省)ロバート・ケネディ・ジュニア米保…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP