代替プロテイン

Formoが微生物発酵によるアニマルフリーなクリームチーズを発表

 

ドイツの精密発酵スタートアップFormo(旧称Legendairy Foods)は、微生物発酵で生成したアニマルフリーなクリームチーズを発表した。

Formoは自社リンクトインに、「ベーグル、パスタ、チーズケーキをグレードアップするのに最適な、新鮮でクリーミーなスプレッドチーズ、Frischhainをご紹介します」と投稿した

このクリームチーズは、牛の代わりに微生物を用いて生成されたものとなる。

出典:Formo

Formoは精密発酵により、牛乳に含まれる乳タンパク質、ホエイとカゼインを開発している。公式サイトによると、今回発表されたFrischhainのほか、Le Kreuzberg、Athena、Charlottenbourg、Cité Bleuの4製品を開発している。

2018年に設立されたFormoは欧州初の精密発酵企業とされる。2021年にシリーズAラウンドで約55億円を調達し、昨年には菌株開発のためバイオテクノロジー企業Brain Biotechと提携した。

精密発酵は、酵母などの微生物を使用して、動物を犠牲にするすることなく、タンパク質や脂肪などの複雑な特定成分を生成する。製薬や食品業界で40年以上使用されている技術であり、身近な例ではチーズを固めるためのレンネットなどがある。

Formoは、乳タンパク質の生産に関与するウシ遺伝子を特定し、このコピーを微生物のDNAに導入した。糖質や窒素などの栄養素を微生物に与えると、微生物が牛乳に含まれるものと同じ乳タンパク質を生成する。

最終産物からは微生物は取り除かれるため、遺伝子組み換え食品には該当しない。Formoによると、使用する微生物が万一流出しても、最適な温度下や窒素がない環境では生存できないため、直ちに死滅するとしている

出典:Formo

Formoは最近、精密発酵4社とともに欧州で精密発酵をはじめとする発酵食品の市場投入を促進するため、Food Fermentation Europe(FFE)を設立した。欧州では新規食品の承認プロセスが不明確で長期間を要すると懸念されている。

Formoによると、最初の製品は2023年に販売される予定となる。アメリカ、シンガポールに続き、欧州市場での精密発酵食品の上市に注目が集まっている。

 

更新情報:

本記事の文章中の出典リンク(公式サイト)の内容は、記事執筆時と大幅に変わっており、当時の情報を確認できない状況となっております。
また、当時
HPには精密発酵の記載のみあったことから、本記事で紹介したチーズも精密発酵由来のものとして書いておりましたが、最新情報からそうでない可能性があったと判断したため、一部表記を修正しております。確定できない情報を記事にしており大変失礼しました(2024年9月11日追記)

 

参考記事

Formo-Linkedin

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Formo

 

関連記事

  1. GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジ…
  2. イスラエルのBELIEVER Meats、アメリカで世界最大の培…
  3. アサヒ、日本初の酵母由来ミルク「LIKE MILK」を発売|海外…
  4. イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatが約184億円を調…
  5. 植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3…
  6. 培養肉シンポジウム「CMS Japan」初開催|細胞農業スタート…
  7. Remilkがデンマークに世界最大の精密発酵工場建設を発表
  8. 日本市場で高まる培養うなぎへの関心|日本人の35%が「培養うなぎ…

おすすめ記事

スイスのPlanted、ドイツに新工場開設|需要増の「Planted.steak」対応で生産能力2倍に

スイスの代替肉企業Plantedは今月17日、ドイツ南部のメミンゲンに新たな生産…

【2023年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ

2024年5月12日更新(特典の変更について追記しました)。 2024年9月2日更新(…

培養肉の進展と課題-タフツ大学デイビッド・カプラン教授が都内で講演【セミナーレポ】

国際細胞農業カンファレンス(第13回培養食料研究会)が10日、都内で開催された。…

イスラエルの微細藻類スタートアップBrevel、シードラウンド拡張で約7.4億円を調達

微細藻類由来のタンパク質を開発するイスラエル企業Brevelがシードラウンドの追…

「細胞培養の救世主」、クラウドで培養を受託する米企業Culture Biosciencesが培養肉開発を加速する

培養肉の開発では製造プロセスの最適化が重要となるが、これには莫大な時間がかかり、…

精密発酵でカカオを使わずにチョコレートを開発する独QOAとは

ドイツ、ミュンヘンを拠点とするスタートアップ企業QOAは、カカオを使わないチョコ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 16:16時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/22 02:57時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/22 06:27時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/21 22:17時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 14:18時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/22 01:35時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP