代替プロテイン

米Upside Foodsが新たに培養鶏ひき肉製品を発表

 

カリフォルニア州を拠点とするUpside Foodsは、新たな製品として培養鶏ひき肉製品を発表した。同社はまた、生産プロセスで血小板由来成長因子(PDGF)を使用しない鶏細胞株を開発したことを発表した

昨年、培養肉企業として初めて、アメリカ食品医薬品局(FDA)から培養肉の安全性について「異議なし」のレターを受け取ったUpside Foodsは、アメリカでの培養肉認可取得に向けて前進している。現在、チキンソーセージ、チキンサンドイッチ、餃子など、さまざまな製品に使用される培養鶏ひき肉を開発し、市場投入に向けて準備を進めている。

Upside Foodsの培養ひき肉製品は、本物の動物細胞と、ハーブ、野菜、香辛料、植物性タンパク質など他の成分で構成されている。この培養ひき肉は浮遊培養で生成されているのに対し、昨年FDAが安全性を認めた製品は、接着組織に基づくプロセスで生成されているという。

出典:Upside Foods

FDAが安全性を認めた製品は現在、アメリカ農務省(USDA)による審査を受けている。Upside Foodsは当局の認可が下り次第、まず培養鶏肉の切り身製品を小規模で発売する計画だ。一方、今回発表した新しい培養ひき肉製品についても、FDA、USDAに働きかけていくとしている。

Upside Foodsで研究開発のシニア・バイス・プレジデントを務めるKevin Kayser氏は、「PDGFフリーの細胞株開発に成功したことは、培養肉製造における大きな科学的成果です。最も高価な成長因子をプロセスから取り除くことで、コストを大幅に削減し、規模を拡大できます」と述べている。

出典:UPSIDE Foods

2015年設立のUpside Foodsは2016年、世界で初めて培養牛肉ミートボールを発表した。2021年には一部製品でアニマルフリー培地の開発を発表。昨年のシリーズCラウンドで約510億円を調達し、企業価値が10億ドルに達した同社は、アメリカに約4900㎡の培養肉工場を有している。

カリフォルニア州エメリービルにある同工場は年間約180トンの培養鶏肉を生産できるとされているが、今後、年産数千万ポンドの大型培養肉工場の建設も予定されている。

2020年12月にシンガポールで培養肉が販売されて以来、認可を取得した企業はイート・ジャスト1社に限られる。アメリカではUpside Foodsに続き、今年3月にイート・ジャスト子会社のGOOD MeatがFDAの安全性審査をクリアしており、第2の承認に注目が集まっている。

 

参考記事

UPSIDE Foods Announces What’s Next on the Menu: A Mouth-Watering Array of Ground Meat Products Made from Real Animal Cells

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Upside Foods

 

関連記事

  1. Remilkがイスラエル食品大手CBCグループと提携、1年以内の…
  2. サケ・マス・コイを開発する欧州初の培養魚Bluu Bioscie…
  3. オイシックス・ラ・大地、サステナブル・シーフード発表会・試食会を…
  4. 代替母乳のBiomilqがシリーズAで約24億円を調達
  5. 植物性チーズを開発するスウェーデン企業Stockeld Drea…
  6. Quornの親会社Marlow Foods、マイコプロテインを他…
  7. 中国の培養肉企業Joes Future Food、パイロット工場…
  8. Remilkがイスラエルで初めて精密発酵タンパク質の認可を取得

おすすめ記事

タイソンフーズが出資するFuture Meatが培養鶏肉のコストダウンに成功、2022年に市販化へ

イスラエルの代替肉企業Future Meatは、自社の培養鶏肉の生産コストを1/…

じゃがいもを原料に代替チーズソースを開発したLoca Foodとは

現在、プラントベースの代替チーズの原料は、カシュー、アーモンド、ココナッツ、大豆…

培養肉企業インテグリカルチャーによる 「CulNetコンソーシアム」が本格始動、細胞農業の社会実装を目指す

日本を代表する培養肉企業インテグリカルチャーによる細胞農業オープンイノベーション…

韓国の培養肉企業CellMEATが約4億7千万円を調達、培養肉の量産とコストダウンを目指す

韓国の培養肉企業CellMEATがプレシリーズAで450万ドル(約4億7千万円)…

中国初の菌糸体タンパク質スタートアップ70/30、今年後半に全国販売へ

世界的にバイオマス発酵、精密発酵による代替タンパク質の開発が進む中、中国でも最初…

シンガポールの代替肉企業Next Genがシードで約10億円を調達、3月にシンガポールで発売へ

シンガポールを拠点に代替鶏肉を開発するNext Genはシードラウンドで1000…

精密発酵レポート予約注文受付中

培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/10 18:07時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/10 21:47時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/10 15:18時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/10 08:27時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(06/10 17:47時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP