培養マグロを開発するイスラエル企業Wanda Fishがシードラウンドで700万ドル(約10億円)を調達した。
オランダを拠点とする水産養殖投資ファンドのAqua-Sparkがラウンドを主導し、Strauss GroupによるThe Kitchen – FoodTech Hub、Peregrine Ventures、PICO Venture Partners、MOREVC、CPT Capitalなどが参加した。
本ラウンドは昨年3月のプレシードラウンドでの資金調達に続くもので、今回の資金調達によりWanda Fishの調達総額は1,000万ドル(約14億円)となった。Wanda Fishは調達した資金で、培養マグロの切り身の生産拡大を図る。
脂肪を含んだ培養マグロ
Wanda Fishは、培養マグロの開発に取り組む企業として2021年に設立された。
プレスリリースによると、同社が開発する培養マグロの切り身は、魚の筋肉と脂肪細胞から構成され、オメガ3脂肪酸や他の必須栄養素など天然由来と同じタンパク質・脂肪酸を含んでおり、天然マグロの食感、風味、栄養価を再現しているという。
マグロは乱獲により絶滅の危機に瀕している人気の魚種だが、飼料資源、仕切りのサイズ要件、飼育下での繁殖の難しさなどから、養殖は持続不可能であると考えられている。また、マグロは海洋で最も汚染された魚種の1つとされ、プラスチック破片や水銀など高濃度の重金属で汚染されていることが多い。
こうしたなか、持続可能で安定供給ができるマグロの需要が高まっているとWanda Fishは指摘している。
最終製品の脂肪量を正確に調整
マグロは部位によって脂肪の含有量が異なり、部位別に大トロ、中トロ、赤身と呼ばれる。Wanda Fishは独自技術により、最終製品の脂肪含有量を調整することで、人気のあるトロなどさまざまな切り身マグロを作成できると述べている。
イスラエル・イノベーション庁のインキュベーションプログラムの一環としてフードテック企業を支援するThe Kitchen – FoodTech HubでCEOを務めるJonathan Berger氏はWanda fishについて、「プロトタイプ到達まであとわずか」だと述べており、Wanda fishの培養マグロ切り身のプロトタイプが発表される日は遠くないかもしれない。
培養マグロの開発状況
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アイキャッチ画像の出典:Wanda fish