2022年に設立されたポルトガル企業PFx Biotechは、精密発酵によりラクトフェリン、オステオポンチン、α-ラクトアルブミンなどヒト母乳タンパク質を開発している。
精密発酵による食品生産開発は昨今、代替タンパク質分野で特に注目されている。これまでにパーフェクトデイのβ-ラクトグロブリン、The Every Companyの卵白タンパク質の販売が承認され、アメリカなど一部の市場では精密発酵タンパク質を使用した製品が販売されている。
乳タンパク質でまだ認可されていないものといえば、カゼイン、そしてヒトラクトフェリンだ(ウシラクトフェリンではTurtleTreeが先月GRAS自己認証を取得した)。
B2Bによるタンパク質原料提供を目指すPFx Biotechは、天然の母乳に存在する乳タンパク質であるラクトフェリン、オステオポンチン、α-ラクトアルブミンを開発している。
同社の合成生物学プラットフォームは牛の乳タンパク質生産にも対応しているが、現在の焦点はヒト母乳タンパク質であるラクトフェリン、オステオポンチン、α-ラクトアルブミンだ。
共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のAli Osman博士は、「PFx Biotechはトレンドに追随するだけでなく、栄養の新たな基準を作ろうとしています。精密発酵を活用することで、タンパク質を持続可能に製造できるだけでなく、栄養価が高く、健康増進特性を持つタンパク質の製造が可能になります」とFoovoに述べた。
「精密発酵によるHMOはあるが、ヒト母乳タンパク質はない」
ヒト母乳タンパク質の開発に取り組む理由について、Osman博士は個人的体験を含めた4つの理由を語った。
Osman博士の息子は牛乳タンパク質にアレルギーを持つ。母乳で育てていた時は母乳タンパク質を消化できるため問題なかった。子供が乳タンパク質を含む食事に移行したとき、アレルギー反応が始まり、それは子供と両親にとって大変な心配事となったという。
「ヒト母乳タンパク質を使用した市販の乳児用調製粉乳がなぜないのか、疑問がわきました。現在、乳児用調製粉乳に使用されているヒトミルクオリゴ糖(HMO)は市販されているのに、です。これが、ヒト母乳タンパク質を開発しようと思った最初の理由です」
インタビュー実施時期:2023年10月末
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アイキャッチ画像の出典:PFx Biotech