精密発酵で代替パーム油を開発する米C16 Biosciencesは今月、食品分野への参入に向けて、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から350万ドル(約5億1600万円)の助成金を獲得したことを発表した。
世界の食用油産業は2050年までに8,700億ドルに達すると予測されているが、油糧作物を栽培するための土地の不足により、この産業の成長は制限されると予想されている。
ニューヨークに拠点を置くC16 Biosciencesは、酵母を活用した精密発酵によりパーム油に代わる持続可能なブランド「Palmless」を開発し、昨年からPalmlessを使用した消費者向け製品を発売している。
今回、食品業界への参入計画を発表したことについて共同創業者のShara Ticku氏は、「食品用のより良い油脂の生成は、創業当初から当社の目標と戦略の重要な部分でしたが、市場に参入する適切な時期を戦略的に待っていました」と述べている。
C16 Biosciencesが代替パーム油で食品業界への進出を加速
2018年設立のC16 Biosciencesは、2023年始めに化粧品業界向けに「Palmless ™ Torula oil」を使用した美容オイル製品を発売した。これは同社初の消費者向け製品となった。
昨年7月には、PANGAIA、Haeckelsと協力し、「Palmless Torula oil」を使用した固形石鹸「REWILD Body Block」限定200個をオンライン、ロンドン店舗で販売(下記写真)。いずれの製品も24時間以内に完売したという。
C16 Biosciencesは今年前半にも、数十の美容ブランドと協力し、製品の発売を計画している。
今回発表されたビル&メリンダ・ゲイツ財団からの助成金は3年間にわたるものとなる。C16 Biosciencesはこの資金で、「非農業由来の原料」を使用した食品グレードの油脂生産を目指す。また、追加の研究スタッフの雇用も予定している。
昨年10月にはElemental Exceleratorのコホートに参加し、アメリカでGRASステータス取得に向けて100万ドル(約1億4700万円)を獲得している。
非農業由来の原料を使用した発酵プロセス
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アイキャッチ画像の出典:C16 Biosciences