代替プロテイン

EUから出資を受けるドイツの微細藻類スタートアップQuazy Foodsが約1.3億円を調達

 

ドイツ、ベルリンを拠点とする微細藻類スタートアップのQuazy Foods(旧称EatMyPlants)は、80万ユーロ(約1億3000万円)のプレシード資金を調達したことを発表した

Arvid Seeberg-Elverfeldt氏と妹のBerenike (Nixe) Zimmer氏により2021年に設立されたQuazy Foodsは、まだ十分に開拓されていない微細藻類に着目し、植物性食品など広範な食品用途に向けた、健康で持続可能な代替タンパク質・機能性成分を開発している。

過去の報道によると、代替シーフードの開発に注力している。

今回のラウンドには、数多くのフードテック企業を支援してきた国際的な非政府組織ProVeg International、アーリーステージの企業に出資するベンチャーキャピタル(VC)Sprout & About Ventures、シンガポールに拠点を置くVC Antlerが参加した。

Quazy Foodsは調達した資金で、微細藻類を使用した最初のサンプルを生産し、パイロット生産への拡大を図るとともに、戦略的雇用を行うとしている。

EUから出資を受けるQuazy Foodsが約1.3億円を調達

出典:Quazy Foods

Quazy Foodsはバイオマス発酵により、高品質のタンパク質と機能性成分を開発している。同社の微細藻類成分は、従来の動物由来製品、合成化合物を代替することを想定しており、消費者にとって健康で持続可能な選択肢となりうる

Quazy Foodsは微細藻類株の開発にあたり今年、欧州連合(EU)から欧州地域開発基金ERDF)を通じた出資を受けた

その数ヵ月前には、藻類由来製品の市場投入を推進するプロジェクトLOCALITY参加しているLOCALITYはEUから共同出資を受けたプロジェクトとなる。

こうしたEUによる支援は、Quazy Foodsの微細藻類由来のタンパク質に対し、欧州の高い関心が背景にあることを示している。

「今こそ、藻類の可能性を十分に活用する時」

オラフ・ショルツ首相(右) 出典:Quazy Foods

現に欧州委員会は2022年11月、欧州議会などへ向けた通知の中で、「今こそ、欧州における再生可能資源として藻類の可能性を十分に活用する時である」と明記している

同通知は、EUのベジタリアン・ビーガン人口は約7,500万人と想定しており、環境意識・健康志向の高まりから、藻類を含む植物性食品の需要が高まっていくと予想している。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は最近、Quazy Foodsが研究拠点を置くドイツのイノベーションセンターSEE:LABを訪問し、スタートアップ企業に対する公的支援の重要性を強調した。今後は政府主導の支援もなされていくかもしれない。

微細藻類を活用して持続可能な代替タンパク質を開発する企業は増加傾向にあり、今後は欧州を中心にさらに増えていくと予想される。

微細藻類で代替タンパク質を開発する企業では、日本のタベルモ、デンマークのAliga Microalgae、シンガポールのSophie’s BioNutrients、カナダのSmallfood、ニュージーランドのNewFishなどがあり、NewFishはニュージーランド政府から支援を受けている。

 

参考記事

Quazy Foods LinkedIn

Quazy Foods Raises €800K to Revolutionize Plant-Based Food with Microalgae Ingredients

Berlin-based biotech startup Quazy Foods gets €800k to unleash the potential of microalgae as sustainable food

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Quazy Foods

 

関連記事

  1. Back of the Yards Algae Sciences…
  2. Nature’s Fyndが菌類由来のヨーグルトを開発、来月から…
  3. 独Nosh Biofoodsが赤身肉のようなマイコプロテインの開…
  4. 牛を使わずに乳製品を開発するDe Novo Dairy|南アフリ…
  5. Perfat Technologiesによる「次世代オレオゲル」…
  6. アレフ・ファームズ、シンガポール・イスラエルでの合意で培養肉の生…
  7. フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功
  8. 乳製品生産の再考|牛に頼らず細胞培養でミルクを開発するドイツ企業…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

オーストラリアのAll G Foods、植物肉ブランドを切り離し、精密発酵乳タンパク質の開発に注力

精密発酵でラクトフェリン、カゼインを開発するオーストラリアのAll G Food…

キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと連携

キッチンOSの主力スタートアップサイドシェフ(SideChef)とウォルマートと…

Wilk、細胞培養乳脂肪を使った「世界初」のヨーグルトを開発するプロジェクトを始動

細胞培養による代替母乳・ミルクを開発するイスラエルのWilk(旧称Bio Mil…

インテグリカルチャーが培養フォアグラの開発に成功、試食を実施

培養肉を開発する日本のインテグリカルチャーは今月、アヒル肝臓由来細胞を培養した培…

Farmless、二酸化炭素によるタンパク質生産に向けて約1.8億円を調達

オランダのフードテック企業Farmlessは今月、プレシードラウンドで120万ユ…

AIを活用するチリ企業The Live Green Coが植物性アイスクリームを発売

代替タンパク質に使われる原料は、大豆、えんどう豆、ひよこ豆から、菌糸体など菌類を…

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,671円(04/28 12:16時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/28 21:34時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/28 01:04時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/28 18:07時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/28 10:49時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/28 21:05時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP