デンマークの精密発酵企業21st.BIOは食品・原料メーカーに向けて、乳タンパク質の持続可能な生産を可能にする精密発酵技術プラットフォームの提供を発表した。
食品・原料メーカーは21st.BIOのプラットフォームを使用することで、動物に依存せず、競争力のあるコストで乳タンパク質を生産できるようになる。
提携企業はさらに、生産株、発酵プロセスの最適化だけでなく、スケールアップ、委託製造業者への技術移転、規制当局の承認取得に向けた一連の支援サービスも活用できるため、迅速かつ低コストで上市を実現できるようになる。
デンマークの精密発酵企業21st.BIO、B2Bのプラットフォームを提供開始
2020年に設立された21st.BIOは、多くの企業が精密発酵技術を利用できるようにし、企業が競争力のある価格で自社製品をスムーズに市場投入するのを支援することを使命としている。
デンマーク・コペンハーゲン、アメリカ・カリフォルニア州デイビスの2箇所に研究所を構える同社の発酵技術は、数十年にわたってプラットフォームを開発してきたNovonesis(旧称Novozymes)から一部をライセンス供与されている。
21st.BIOがターゲットとして想定する企業は、1つまたは複数のタンパク質を市場に投入したいスタートアップ企業、持続可能な原料でポートフォリオを拡大したい原料メーカー、タンパク質生産に伴う環境負荷を削減したいと考えている乳業メーカーだ。
精密発酵によるタンパク質生産では、動物由来製品と比較して、温室効果ガス排出量と土地・水の使用量を90~96%削減できると試算されている。21st.BIOと提携することで、スタートアップ企業は上市までの時間とリソースを節約でき、大手食品メーカーは食品生産の転換を図り、環境負荷を軽減することが可能となる。
同社によると、試験的なスケールアップの準備が整った菌株と生産プロセスの開発には18~24ヵ月の期間を要するという。パイロット施設でのスケールアップの準備には3~9ヵ月を見込んでおり、パイロットスケールで安定的に稼働した後は、本格製造へと技術移転を支援する。
21st.BIOはすでに、乳タンパク質の1種であるβ-ラクトグロブリンのスケールアップ生産に成功している。
β-ラクトグロブリンの開発では、最大1,200Lのパイロット施設の使用、菌株設計、下流工程、パイロット生産、規制当局の承認、スケールアップ、技術移転に関するサービスのほか、市場投入後も技術の最適化を支援するとしている。
21st.BIOは食用タンパク質のほか、先月、スパイダーシルクタンパク質の生産を加速するため、ドイツ企業AMSilkとの提携も発表している。
精密発酵プラットフォームの増加
21st.BIOのように、スタートアップ・食品メーカーに向けて、精密発酵のプラットフォーム技術を提供する事例は増えている。
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アイキャッチ画像の出典:21st.BIO