代替プロテイン

Ÿnsectのミールワームタンパク質、アメリカでペットフード製品への使用認可を取得

 

昆虫タンパク質のリーディングカンパニーであるフランス企業Ÿnsectが、ミールワームタンパク質についてアメリカでドッグフード製品としての販売認可を取得した。

Ÿnsectは先月24日、AAFCO(米国飼料検査官協会)から脱脂したミールワームタンパク質をドッグフードに使用する許可を取得した。ミールワーム由来の原料の商用化がアメリカで認められるのはこれが初となる。

これにより、420億ドルを超えるアメリカのペットフード市場へのŸnsectの進出が可能となる。

Ÿnsectのミールワーム、米国でペットフード製品への使用認可を取得

出典:Ÿnsect

AAFCOは、犬の食事にミールワーム成分を導入する6ヵ月間の試験結果などに基づき、2年間にわたる審査を経てŸnsectのミールワームの商用化を認めた。

ミールワームとは、ゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫の総称で、小動物の餌として使われている。

ŸnsectがSummit Ridge Farmsと協力して犬を対象に実施した6ヶ月の長期試験では、必須アミノ酸、不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラルを含むタンパク質を豊富に含有する脱脂ミールワーム粉末の栄養上の利点が実証された。また、ミールワームタンパク質を最大30%含む食事の安全性も確認された。

さらに、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校動物科学研究所のKelly Swanson教授との協力では、ミールワーム粉末は、牛肉、豚肉、鮭などのペットフード製造で従来使用されている高品質の動物性タンパク質に匹敵し、標準的な家禽の飼料や一般的な植物性タンパク質よりも優れていることが示された。

米国獣医学会 (AVMA) によると、アメリカでは10世帯のうち4世帯が犬を飼っている。ペットフード市場は5%の成長率で成長すると予測されており、今後も需要は増えていく。

Ÿnsectのミールワームは農業副産物を使用して飼育できるため、従来の製品よりも二酸化炭素排出量を牛肉と比較して22分の1に削減できると試算されており、環境負荷を軽減した製品として注目されていく可能性は高い。

昆虫ペットフードブランドSprÿngの立ち上げ

出典:Ÿnsect/AdalbaPro

2011年設立のŸnsectは、昆虫タンパク質と天然肥料の生産における世界的なリーディングカンパニー。フランス、アミアンに世界最大(45,000㎡)の垂直農場Ÿnfarmを構えるほか、オランダ、フランス(ドール)、アメリカ(ネブラスカ州)に生産拠点を有している

2022年には昆虫飼料用の製粉副産物を供給する米Ardent Mills、食品サービスを展開するメキシコのCorporativo Kosmosと提携し、米・メキシコで追加の工場建設を進めている

Ÿnsectは昨年5月、昆虫由来ペットフードの新たなB2C/B2Bブランド「Sprÿng」の立ち上げを発表した。今回、AAFCOから認可を取得したことで「Sprÿng」の販売を進めていくだろう。プレスリリースによると、Ÿnsectは2023年12月に最初のクライアント企業への納品を完了している。

欧州では2021年、ミールワーム粉末が食品として安全に使用できると認められた

Ÿnsectは欧州では、オランダの食品部門Ÿnsect Human Nutrition & Healthを通じ、AdalbaProブランドとして昆虫タンパク質を製品化している

 

参考記事

ŸNSECT: THE FIRST COMPANY TO OBTAIN AUTHORIZATION TO COMMERCIALIZE MEALWORM PROTEINS FOR DOG FOOD IN THE UNITED STATES

YNSECTが米国ではこの種で初となる許可を得てドッグフード用ミールワームタンパク質を商品化へ

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Ÿnsect

 

関連記事

  1. 米The Live Green Co、精密発酵によるヒト母乳脂肪…
  2. BioBetterはタバコ植物を活用して培養肉用の成長因子を開発…
  3. シンガポールの培養魚企業Umami Meatsが日本進出を発表
  4. 精密発酵により代替タンパク質を開発する企業23社
  5. 食品製造で発生する廃糖水で菌糸体粉末を作るHyfé Foodsが…
  6. 動物油脂のようにふるまう植物油脂を開発するLypid、約4.7億…
  7. 代替肉のネクストミーツが新潟に代替肉の自社工場を建設、2022年…
  8. アレフ・ファームズがアジアへの培養肉導入加速に向けてタイ・ユニオ…

おすすめ記事

農林水産省が培養肉、CO2タンパク質生産、泡盛粕のアップサイクル、代替卵などのフードテック企業へ補助金を交付|中小企業イノベーション創出推進事業第1回採択結果

農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業の第1回公募の採択結果が発表された。…

Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表

チェコの培養肉企業Meweryは、培養豚肉細胞と微細藻類をブレンドした培養肉のプ…

培養肉セミナー動画(日本細胞農業協会理事・岡田健成氏)|2024年3月開催

今月25日、培養肉の研究開発に取り組むかたわら、日本細胞農業協会で理事を務める岡…

SavorEatがパーソナライズ化された3Dプリント植物肉バーガーを発表

イスラエルのSavorEatは28日、3Dプリンターを搭載したロボットシェフのプ…

オランダのビーガンシーフードスタートアップMonkeys by the Seaが約5700万円を調達、ビーガンツナなどの販売へ

オランダのビーガンシーフード企業であるMonkeys by the Seaが、プ…

精密発酵タンパク質のB2B生産プラットフォームを開発するFermify

オーストリアのFermifyは、精密発酵でカゼインタンパク質を生産する自社プラッ…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(09/10 13:36時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/10 23:02時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(09/11 02:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(09/10 19:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(09/11 11:50時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(09/10 22:26時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP