アップサイクル

筑波大学の萩原大祐准教授、麹菌による代替肉の事業化に向けてクラウドファンディングを開始

 

麹菌を使った代替肉開発に取り組む筑波大学の萩原大祐准教授が100万円の調達を目指してクラウドファンディングを開始した。

クラウドファンディングはacademistで実施されており、残り48日間。開始から3日経過した本日時点で68万4,500円が集まっている。

調達した資金は事業立ち上げに向けて、実験機器の購入、人件費、共同研究に予算にあてられる。

萩原准教授は約3年前から、麹菌を使用した代替肉の開発をスタート

麹菌などの糸状菌を培養してできるマイコプロテインは、短期間で収穫でき、肉のような繊維感を持つ。海外では日本に先行してQuornなどの製品が代替肉製品として市場に投入されている。

萩原准教授が麹菌を培養した菌体を使用して試作した代替肉には、肉のような弾力と繊維感、ジューシーさ、うま味、香りがあった。この結果から、麹菌による代替肉には「想像を超えたポテンシャルがある」とみる。

出典:萩原大祐准教授

今回のプロジェクトではアップサイクルを利用した培養法の開発を目指す。

培地に何を使用するかによって、菌体の味や食感も変わる。菌体の美味しさに寄与する食品副産物が見つかれば、アップサイクル、食品廃棄物の削減、原料コストの削減、副産物を提供する企業との協業、製品ブランドのイメージ向上など多くのメリットがある。

麹菌による代替肉開発のポテンシャルを確信した萩原准教授は、大学からスピンオフしてスタートアップを設立することを決めた。現在、年内の会社設立に向けて準備を進めている。来年夏頃に酒粕をアップサイクルした麹肉の試食会開催を目指している。

今回のクラウドファンディングは最低1,100円から支援できる。オンラインサイエンスカフェ(11,000円)、試食会への招待(55,000円)、出張講義(550,000円)などさまざまなリターンが用意されている。

確かに今、マイコプロテインへの関心は高い。

今年になってからこのセクターへの投資は盛んで、欧州ではマイコプロテインを含むバイオマス発酵に集まった投資額は今年上半期ですでに前年を超えている。特に欧米では、成分リストを短縮するクリーンラベル化の意識が高まっている。低加工が可能な点は、マイコプロテインが植物タンパク質に競合する訴求点になる可能性がある。

クラウドファンディングは2024年9月26日まで実施される。

 

■クラウドファンディングページ:麹菌で地球を救う!微生物×代替肉ベンチャーの挑戦

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:萩原大祐准教授

 

関連記事

  1. Nature’s Fyndが菌類由来のヨーグルトを開発、来月から…
  2. The Better Meat Co.がシンガポールでマイコプロ…
  3. ダノンとBrightseedが提携を拡大、AIを活用して植物の隠…
  4. 精密発酵でヘムを開発するPaleoが約17億円を調達、植物性食品…
  5. フランスのYnsectは昆虫由来のバーガー、ナゲットの販売を目指…
  6. 菌糸体から代替肉を作るMeati Foodsが約29億円を資金調…
  7. MISOLA FOODS、日本初のオーツミルク専門メーカーとして…
  8. 菌糸体からステーキ肉を開発するMeati Foodsが約55億円…

おすすめ記事

Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証、欧州進出に向けて提携パートナーを探索

精密発酵でカゼインを開発するオランダ企業Fooditiveは試作製造が成功し、欧…

韓国が培養肉の申請プロセスを明確に:培養肉企業の参入を促進

今回のニュースの音声配信はこちらから▼韓国の…

Profuse TechnologyとGelatexが成果を発表|筋肉組織の成長サイクルを48時間に短縮、筋タンパク含有量を5倍に増加

培養肉の生産コストを削減するソリューションを開発するイスラエル企業Profuse…

細胞培養で母乳を開発するTurtleTreeがラクトフェリン粉末を最初の商品とすることを発表

シンガポールを拠点とするTurtleTreeが、最初に商用化される商品がヒトラク…

二酸化炭素から代替タンパク質を開発するJooulesが約1.5億円を調達

二酸化炭素を原料に代替タンパク質を開発するニュージーランド企業Jooulesは今…

大豆を使ってチーズを開発するNobell Foodsが約82億円を調達

植物ベースのチーズを開発するNobell FoodsがシリーズBラウンドで750…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP