Foovo Deep

クリーンラベルの代替カゼインを開発する米Pureture、年内にアメリカで上市へ【創業者インタビュー】

 

ニューヨークに拠点を置くバイオテクノロジー企業Pureture(旧称Armored Fresh Technologies)は代替カゼインを開発している。

同社の代替カゼインは、パーフェクトデイRemilkなどのように遺伝子組換え微生物を使用した精密発酵カゼインではない。代わりに、パン酵母である非遺伝子組換え酵母(Saccharomyces属)を使用し、乳タンパク質と栄養価・機能性が同等の代替カゼインを開発した。

共同創業者Daniel Yang氏は、「当社のタンパク質は栄養面でカゼインを完全に模倣した完全なタンパク質です。CPG製品を作る際にガム、デンプン、乳化剤を必要としません。当社タンパク質を使用することで、クリーンラベルの製品が実現します」とFoovoに語った。

同社は今年12月の上市を目指しており、創業者のRudy Yoo氏Daniel Yang氏に話を聞いた。Puretureは12月に、アメリカの乳業メーカーを通じてクリーンラベルプロテインドリンクとして発売する予定だ。

酵母由来のクリーンラベルなタンパク質

Rudy Yoo氏 出典:Pureture

Puretureは、Armored Freshを創設したYoo氏と、Yang氏が2022年にスピンオフしたスタートアップ。

Armored Freshは2021年に代替チーズブランドを立ち上げ、その後、代替乳製品にも事業を拡大した。同社製品は現在、アメリカで販売されている。

開発を続ける中、Yoo氏は植物由来の栄養には限界があることを認識した。Armored Freshのチームとさまざまな植物タンパク質を試したが、タンパク質を使えば使うほど、デンプン、乳化剤、ガム(多糖類で増粘剤や乳化剤などとして使用される)などの添加物も増やさねばならない壁に直面した。

添加物は食品として安全に使用できると科学的に認められているものだが、健康意識の高まりに伴い、よりシンプルで自然な原料を使用するクリーンラベルのトレンドが欧米を中心に進んでいる。

Yoo氏は「見つからないなら、作れるか試してみよう」と考えた。

Armored Freshは植物性乳製品に特化した企業であるため、事業の性質が異なることから、代替カゼインを開発するために新会社をスピンオフするのは理にかなっていた。Puretureは、purefutureの合成語で、未来をより純粋なものにするという意味が込められている。

2年の開発を経て、酵母タンパク質の抽出に成功し、非遺伝子組換え製品として代替カゼインの開発に成功した。

「タンパク質の開発に成功した時、それは世界で最も完璧なタンパク質であり、カゼインの栄養価と乳化性を備えていました。これはゲームチェンジャーなるでしょう」

Puretureのタンパク質は、ガム、デンプン、乳化剤などの添加物は不要で、成分リストから添加物を取り除くクリーンラベルな成分となる。

「乳製品業界は、添加物の使用を不要にし、最終製品を大幅に安くするようなものを探しています。当社のタンパク質は、水、数種類の香料を加えれば、ミルクができます。ガム、デンプンなどの添加物は必要ありません」

高収量・低コストのタンパク質

出典:Pureture

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

インタビュー実施時期:2024年7月中旬

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Pureture

 

関連記事

  1. 韓国の培養肉企業CellMEATが約4億7千万円を調達、培養肉の…
  2. 韓国の培養肉企業SeaWithは2022年末までにレストランでの…
  3. TurtleTree、精密発酵ラクトフェリンで世界初のGRAS認…
  4. ほうれん草の葉を使った培養肉用の新しい食用足場|ボストンカレッジ…
  5. 中国の培養肉スタートアップ南京周子未来食品が約3億円を資金調達
  6. Helaina、精密発酵によるラクトフェリンの商用化へ移行、機能…
  7. 国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2024が1…
  8. 培養魚を開発するBlueNaluが史上最大の約62億円を調達、パ…

おすすめ記事

米Jellatech、細胞培養によるⅠ型コラーゲンの生産に成功|動物を犠牲にしない「本物のコラーゲン」

アメリカ、ノースカロライナ州を拠点とするJellatechは、独自の細胞株の培養…

Steamboxの蒸気で温められるランチボックスで職場の電子レンジが不要になる?

会社、学校で温かいお弁当を食べようと思ったら、選択肢は3つくらいしかない。デリバ…

Calystaの単細胞タンパク質FeedKind、水産養殖への使用で米国GRASステータスを取得

動物飼料や食品向けの微生物タンパク質を開発・製造する米Calystaは、同社の主…

アメリカが培養肉販売を承認|GOOD Meat、UPSIDE FoodsがUSDAの認可を取得

アメリカの培養肉企業2社がついに、米国当局から培養肉の販売許可を取得した。…

フードロスに取り組む米Apeel Sciencesが約274億円を調達

フードロスに取り組む米Apeel SciencesがシリーズEラウンドで2億50…

誰もが食べられるグルテンを開発するUkko、食品アレルギーにパラダイムシフトを起こす

Beyond Celiacによると、1800万人のアメリカ人がグルテンアレルギー…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/12 16:05時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/13 02:31時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/12 06:09時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/12 22:05時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/12 14:06時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/13 01:24時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP