3Dプリンター

植物性3Dプリント肉を開発するRedefine Meatが約155億円を調達

 

3Dプリンターによる代替肉を開発するイスラエル企業Redefine Meatが1億3500万ドル(約155億円)を調達した

テルアビブのベンチャーキャピタルHanaco Ventures、イギリスのベンチャーキャピタルSynthesis Capitalが主導した。この調達により、同社の調達総額は1億7000万ドル(約196億円)となる

今回の資金調達は、植物肉を手掛けるイスラエル企業に対する調達額では最大規模となる。Redefine Meatは調達した資金で、イスラエル、オランダに生産ラインを設置し、イスラエル・世界のレストランとの提携を拡大する。同社は今後数年以内にイスラエル、アメリカ、欧州、アジアに5つの工場を建設する計画を公表していたが、イスラエル・欧州での建設が先行されることが明らかになった。

Globesの報道によると、Redefine Meatの代替肉はグーグル、アップル、フェイスブックなどテック企業の食堂でも提供されている。

海外進出を拡大する3Dプリント肉スタートアップ

出典:Redefine Meat

Redefine Meatは2018年に設立されたイスラエル、テルアビブを拠点とする植物肉スタートアップ。独自の3Dプリンティング技術により、見た目、質感、風味を再現した植物ベースの代替肉を開発・生産している。

原料には大豆、えんどう豆、ひよこ豆、ビートルート、ココナッツオイル、栄養酵母を使用し、筋肉、脂肪、血液に相当するフードインクを3Dプリンターの各ノズルから積層し、3次元のステーキ肉を開発している。

出典:Redefine Meat

同社が「世界で最も有名なシェフ達を驚かせるレベルの味と食感を実現した」と語る3Dプリント肉は、イスラエルの200のレストランで販売されている。昨年11月、ドイツ、オランダ、イギリスの高級レストランでも販売された。今年年末までに数千のレストラン導入を目指している。

昨年リリースされた「New Meat」製品には、ブロック肉、ハンバーガー、ソーセージ、ラムケバブ、牛ひき肉が含まれる。Redefine Meatは肉愛好家をターゲットに、「牛が提供するあらゆる切り身を提供することで、世界最大の食肉企業」になることを目指している。

イスラエルの代替肉開発が加速

出典:Redefine Meat

Redefine Meatを含め、イスラエルには注目のスタートアップが集中している。

先月3Dプリントされたバーガーを発表したSavorEatは、イスラエルの複数のレストランと提携している。Plantishは3Dプリンターで開発した植物性サーモンのプロトタイプを発表、年内に一部レストランでの提供を計画している。

昨年以降、イスラエルのフードテック企業には100億円を超える大規模投資が続いている。

精密発酵による乳タンパク質を開発するRemilkは今月、約139億円を調達した。培養肉を開発するFuture Meatは先月、シリーズBラウンドで約394億円を調達。これは、培養肉企業に対する1回の投資額では過去最大規模となった。

Redefine Meatの今回のニュースは、これらに続く最新の資金調達となる。

イスラエルでは培養肉の開発も盛んだ。SuperMeatは今月、レストランTheChickenで培養肉のダブルブラインドテスト(シェフも審査員もどちらが培養肉か知らされていないテスト)を実施。審査員が本物の肉だと選んだものは、SuperMeatが製造した培養肉だった。

Redefine Meatの3Dプリント肉は植物由来であるため、同国の培養肉企業の直接的な競合とはならない。同社は3Dプリンターとフードインクを世界中の食肉業者に販売することを目指しており、今回の大型調達はその実現を後押しするものとなる。

 

参考記事

3D printed plant-based steak co Redefine Meat raises $135m

Israeli developer of 3D-printed plant-based meat pulls in $135 million

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Redefine Meat

 

関連記事

  1. CulNet Systemからイネ、微細藻類を活用した低コストで…
  2. 酵母由来の代替パーム油を開発するオランダのNoPalm Ingr…
  3. EUが出資するFEASTSが発足:欧州における培養肉・培養シーフ…
  4. JBS子会社のBioTech Foods、スペインで南欧最大の培…
  5. 南アフリカの培養肉企業Mzansi Meatが来月、アフリカ発の…
  6. 子どもが培養肉を知るための絵本のクラファンがスタート
  7. 精密発酵でアニマルフリーなチーズを作るNutropyが約2.8億…
  8. スイス初の培養肉企業Mirai Foodsが初の資金調達、培養肉…

おすすめ記事

発酵タンパク質投資が復調:欧州での上半期投資額が前年超え

欧州の微生物発酵企業に対する資金調達が増加している。GFIによると、20…

イスラエル政府が培養肉コンソーシアムに約23億円の助成金を提供

イスラエル経済産業省傘下のイスラエル・イノベーション庁(Israel Innov…

インポッシブルフーズが香港・シンガポールの食料品店で販売を開始、アジア進出を加速

インポッシブルフーズの植物性代替肉がアジアのスーパーに登場した。19日、香港とシンガポールの…

英SEERGRILLSが開発した3分でステーキを焼き上げるAI搭載グリルPerfecta

イギリスのスタートアップSEERGRILLSは、わずか3分でステーキを焼けるAI…

AQUA Cultured Foods、シカゴの高級レストランで代替シーフードの提供を開始|創業者インタビュー

持続可能な代替シーフードを開発する米AQUA Cultured Foodsの代替…

米IngredientWerksがトウモロコシでウシのミオグロビン生産に成功

アメリカの分子農業スタートアップIngredientWerksは7月、ウシのミオ…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/23 13:55時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/23 23:26時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/24 03:11時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/23 19:49時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(10/23 12:08時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(10/23 22:47時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP