代替プロテイン

ユニリーバ、代替肉ブランドThe Vegetarian Butcherを売却へ|背景に見える“事業の選別”

Foovo(佐藤)撮影 オランダにて 2024年10月

食品・日用品大手のユニリーバは20日、傘下の代替肉ブランドThe Vegetarian Butcherの売却計画を発表した

オランダの代替肉企業ViveraThe Vegetarian Butcherを買収する。買収は2025年第3四半期までに完了する予定となる。

ユニリーバが売却に踏み切った理由

Foovo(佐藤)撮影 オランダにて 2024年10月

ユニリーバは売却の理由として、長期的な成長と拡張性を見据え、より少数の大手ブランドに注力する方針を挙げている。

The Vegetarian Butcherの冷蔵・冷凍製品は、独自のサプライチェーンや調達モデルを必要とし、ユニリーバのポートフォリオにおける拡張性が低いこと、また、同ブランド独自の技術や研究開発能力がユニリーバの広範なポートフォリオの要件と大きく異なることから、売却が双方にとって最善の選択だと判断した。

The Vegetarian Butcherの売却は、MagnumCornetto(アイスクリーム)、RexonaDove(パーソナルケア)、 Hellmann’s(栄養食品)など、売上の約75%を占める30のパワーブランドに注力し、ポートフォリオの再構築・最適化を行うという、ユニリーバが掲げる成長行動計画の一環となる。

昨年3月には、アイスクリーム事業の切り離しを2025年末までに完了することを発表。現在も、アイスクリーム事業をオランダで別会社として独立させる計画を進めている

ユニリーバの戦略

出典:Unilever

今回の売却は、代替肉市場が成長を続ける一方で、大手企業にとっては事業の選別が進んでいることを示唆している。

ユニリーバはThe Vegetarian Butcherを始め、UnoxZwanなど老舗食品ブランドの年内売却を進める一方で、前述の通り、アイスクリーム事業の分離を進めている。

中でも注目されるのが、昨年、精密発酵ホエイを使用したアイスクリームをBreyersブランドで試験販売した動きだ。Breyersが同社のパワーブランドに含まれるかは公式の内容からは不明だが、今後は精密発酵など新技術を活用したイノベーションを集中的に進める可能性も考えられる。

ユニリーバは2018年にThe Vegetarian Butcherを買収。以来、同ブランドは平均して二桁の成長を遂げ、小売・業務用市場の双方で、55以上の市場に展開してきた。

2020年8月には日本にも進出し、池袋に未来型ハンバーガーショップをオープン。池袋の店舗はその後閉店したが、昨年2月には東京・神奈川のファミリーマート約2,900店舗でThe Vegetarian Butcherブランドを使用した弁当が販売されるなど、日本を含め、世界に幅広く展開している代替肉ブランドとなる。

The Vegetarian Butcherを買収するViveraは、1990年創業のベジタリアン・プラントベース製品を展開する企業。オランダ、ホルテンに本社を置く同社もまた、欧州25ヵ国3万2,000店舗を超えるスーパーマーケットに導入される欧州を代表するブランドとなる。2021年には大手食肉メーカーJBSの傘下となった。

Foovoが昨年訪れたオランダのスーパーでも、ViveraとThe Vegetarian Butcherの製品は代替肉コーナーに陳列されており、市場で十分なプレゼンスがあることがうかがえた。

左側にThe Vegetarian Butcher、中央下部にはViveraが陳列されている Foovo(佐藤)撮影 オランダにて 2024年10月

The Vegetarian ButcherのCEOであるRutger Rozendaal氏は「今回の統合は、植物由来食品業界において最大かつ最も影響力のある企業の一つになるための大きな一歩であり、私たちが“おいしく、健康的な植物ベースの選択肢”への世界的な移行をさらに加速させる上で、他にない立ち位置を確立するものです」と述べ、代替肉の成長をさらに加速させる決意を語っている

GFI Europeが昨年発表したレポートによると、欧州6カ国(イギリス、スペイン、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア)における2023年の植物由来食品の売上は54億ユーロと、2022年比で5.5%の成長を遂げた。

今月発表のレポートによると、植物肉市場は2024年の95億7,000万ドルから2030年には218億1,000万ドルへの成長が見込まれる。この背景には、クリーンラベル需要の高まり、動物福祉・環境意識の高まりがあるとレポートは指摘している。

 

参考記事

Unilever to sell The Vegetarian Butcher to Vivera (ユニリーバプレスリリース)

The Vegetarian Butcher joins forces with Vivera (Viveraプレスリリース)

 

関連記事

アイキャッチ画像:Foovo(佐藤)撮影 オランダのスーパーAlbert Heijnにて 2024年10月

 

関連記事

  1. 昆虫由来の代替タンパク質に取り組むTebritoが約1億円を調達…
  2. 【現地レポ】カナダのNew School Foods、ホールカッ…
  3. 米Prime Roots、菌糸体由来のデリミート製品を刷新──3…
  4. 米Liberation Labs、Viviciと製造パートナーシ…
  5. オランダのUpstream Foods、植物シーフード向上のため…
  6. Atlantic Fish CoとRevo Foods、マイコプ…
  7. オイシックス・ラ・大地、サステナブル・シーフード発表会・試食会を…
  8. ソーラーフーズが約13億円を調達、来年前半に商用工場Factor…

おすすめ記事

精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAで約22億円を調達

精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAラウンドで2000万…

バイオものづくりの国内製造の空洞化を防げるか-「Beyond Borders」でスタートアップらが議論|イベントレポート

Foovo(佐藤あゆみ)撮影2026年1月29日:更新(イベント名を修正)事業化に時間の…

TurtleTreeが精密発酵によるアニマルフリーなラクトフェリンを発表、年内に市販化へ

TurtleTreeは今月、世界初となる精密発酵によるウシラクトフェリンを試食イ…

Jellatechが約5億円のシード資金を調達、細胞由来コラーゲンの開発を加速

動物に依存することなく、細胞農業により動物由来と同等のコラーゲンを開発する米Je…

ドローンによる「空飛ぶ」果実収穫ロボットを開発したTevel Aerobotics Technologies、日本進出も計画

イスラエルのスタートアップ企業Tevel Aerobotics Technolo…

イオンも代替カカオに参入、カカオフリー菓子製品「チョコか?」を限定販売|ドイツPlanet A Foodsの原料「ChoViva」を採用

あじかんの「ゴボーチェ」、不二製油の「アノザM」に続き、大手小売のイオンが代替カ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP