微生物発酵による代替タンパク質でアメリカ進出を目指す韓国のフードテック企業INTAKEは、シリーズCラウンドで135億ウォン(約13億円)を調達した。今回のラウンドには、Industrial Bank of Korea、HB Investment、CJ investmentなどが参加した。
INTAKEは韓国政府による海藻を用いた代替魚プロジェクトにも参画している。培養肉研究センターの設立や海外企業の進出が相次ぐ中、韓国のフードテック分野で存在感を高めつつある。
酵母タンパク質でホエイを代替、精密発酵で卵や肉も視野に

出典:INTAKE
2013年設立の同社は、B2CとB2Bの2軸でドリンク事業や代替食品事業を展開してきた。
韓国メディアの報道によると、現在、酵母を用いた微生物発酵により乳タンパク質のホエイに代わる酵母由来タンパク質を開発しており、2026年にアメリカ市場への進出を計画している。
INTAKEは精密発酵技術を活用して、肉、卵、乳などの代替品のベースとなる素材タンパク質粉末の開発にも取り組んでいる。
現在上市を計画している酵母由来タンパク質は、天然の酵母を適応進化させ、従来の酵母よりも含有量が1.5倍の酵母株を使用したもの。ここで適応進化とは、微生物が環境に適応・進化する能力を利用して、その環境に適応した株を開発する手法をいう。
一方で、Green queenの報道によると、INTAKEはクリスパー技術によるゲノム編集と精密発酵を活用し、代替肉の風味向上に重要なヘムや、卵白タンパク質であるオボアルブミンの開発も進めているという。
海藻由来の代替魚開発で韓国政府から支援

出典:INTAKE
韓国の海洋水産部は2024年5月、5年間で286億ウォン(約28億円)を投ずる国家プロジェクト「代替海藻肉・培養シーフード技術開発推進事業」として4つのコンソーシアム事業を選定した。
INTAKEはこの事業に参画する1社に選ばれており、ソウル大学、京畿大学、江陵原州大学、徳成女子大学、祥明大学、Pulmuone(プルムウォン)なども参画している。
INTAKEは、マグロ・サーモンなど高付加価値な魚種をターゲットに、海藻由来の代替魚の開発を目指すと発表。3Dプリンティング技術の使用にも言及しており、ビヨンドミート、インポッシブルフーズを超える、グローバルなフードテック企業になるとの抱負を語っている。
代替海藻肉の国家プロジェクトに加え、韓国では官民両面からフードテックの育成が進んでいる。
韓国政府は今年3月、慶尚北道に国内初となる培養肉研究センターを設立する計画を発表した。この施設は、培養肉の技術開発から安全性評価、事業化の支援までを担う拠点となる。
こうした動きと並行して、韓国国内では海外勢の進出も進んでいる。昨年10月には、シンガポールのUmami Bioworksが韓国の培養シーフード工場の設置計画を発表し、12月にはドイツの菌糸体企業Infinite Rootsが韓国進出を果たした。培養ペットフード会社も新たに登場するなど、韓国のフードテックは一段と活気づいている。
参考記事
Investors Bet $9M on Korean Startup’s Precision-Fermented Grape Yeast Proteins
[마켓인]대체식품 푸드테크 인테이크, 135억원 시리즈C 투자 유치 완료
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