Foovo Deep

米Compound Foods、豆を使わないコーヒー・カカオの原料プラットフォームを発表|コーヒーとカカオの代替、先に広がるのはどちらか?

出典:Compound Foods

 

サンフランシスコを拠点とするCompound Foodsは23日、豆を使わないコーヒーとカカオの原料プラットフォームを正式に発表した

代替コーヒーに続き、代替カカオへも参入

出典:Compound Foods

同社は、アップサイクルされた農業残渣、発酵、配合技術を活用し、従来のコーヒーやカカオの豆に依存しない「機能性のあるおいしい代替品」の提供を目指している。

パデュー大学と実施したブライドテストでは、60%の試飲者がBlue BottleやStumptownよりもCompound Foodsのコーヒーを好むと回答しており、品質面でも高い評価を得ている。

Compound Foodsは当初、デーツの種、チコリ、ヒマワリの種、イナゴマメなどを原料代替コーヒーの開発に注力していたが、2024年のカカオショックを受けて代替カカオの開発も加速。代替カカオはメスキート、イナゴマメ、使用済み穀物などを原料に使用している。

この動きは、シンガポールのPreferがたどった流れと重なる。Preferも代替コーヒーから事業を開始し、昨今のカカオ豆の高騰を受けて代替カカオ市場にも参入した。

出典:Tradingeconomics

コーヒー生産量の75%を占めるアラビカ種のICE先物価格は2024年後半から価格が上昇し、2025年4月時点でも高値が続いている

出典:YCHARTS

カカオ豆も2025年1月に過去最高記録し、コーヒー・カカオともに価格不安が顕著となった。こうした中、原料調達の選択肢として、Compound Foodsなどが開発する「豆なし原料」への関心が高まっている。

コモディティコーヒーの新しい選択肢

出典:Compound Foods

創業者のMaricel Saenz氏は、「私たちの目標は、スペシャルティコーヒーやクラフトチョコを置き換えることではありません。広大に栽培され、匿名で取引され、環境・経済リスクにますますさらされている最も脆弱なコモディティ作物に、持続可能でコスト効率の高い選択肢を提供することです」と述べている。

プレスリリースによると、Compound Foodsのプラットフォームは、既存の製造ラインに組み込めるため、食品企業は高コストな製法変更を行うことなく、豆を使わない原料を導入できる。さらに、栄養成分、表示基準、カフェイン量など、要望に応じたカスタマイズにも対応できるという。

同社は現在までに1,000万ドル(約14億円)以上の資金を調達。今後、気候変動によってますます不安定になるであろう供給構造のなかで、豆に依存しない代替手段への関心はさらに高まっていくと思われる。

では、代替カカオと代替コーヒー、実際に市場に先に根付きはじめているのはどちらなのか?両者における大手企業の動きには、どのような違いがあるのだろうか?

代替カカオ・コーヒー|先に市場に広がるのはどちらかか

出典:不二製油

カカオコーヒーは、いずれも赤道に近い熱帯地域に依存し、気候変動による干ばつによって栽培リスクが年々高まっている。さらに、児童労働や生産者の貧困といった倫理的課題も抱える原料だ。

代替原料への期待が高まる中、市場投入のスピードや消費者の関心が先に高まるのは「代替カカオ」ではないかとFoovoは考える。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

※本記事はプレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Compound Foods

 

関連記事

  1. Fooditiveが精密発酵による代替ハチミツ開発を発表
  2. 米Helaina、約65億円の調達で精密発酵ヒトラクトフェリンの…
  3. Cooler Screens|店舗の冷蔵食品棚を動的な広告に変え…
  4. 培養ウナギ肉の開発に取り組む北里大学・池田大介准教授にインタビュ…
  5. 細胞培養により牛乳を開発するBrown Foodsが約3.2億円…
  6. “見えない卵”を置き換え、食卓の多様性を守る-日本企業UMAMI…
  7. オレオゲルで植物肉用の代替脂肪を開発するParagon Pure…
  8. 中国の培養肉企業Joes Future Food、パイロット工場…

おすすめ記事

Alpro(アルプロ)の植物性ヨーグルト2種を食べてみた@フィンランド【現地レポ】

2024年8月、フィンランドへ行ってきた。滞在中に、Alpro(アルプロ)の植物…

黄身・白身・殻を再現した植物性代替卵を開発するNeggstが約6.9億円を調達

ドイツ、ベルリンを拠点とする代替卵スタートアップのNeggstは、シードラウンド…

オランダのEatch、1日最大5000食を調理できるロボットキッチンを開発

ロボットキッチンを開発するオランダ企業Eatchは、1日に最大5,000食を調理…

ショウジョウバエで成長因子を開発し、培養肉のコスト削減に挑むFuture Fields

安価な成長因子を開発するカナダのFuture Fieldsは、これまで技術の詳細…

エリンギ由来のジャーキーを作るハワイ発のMoku Foods

ハワイを拠点とするスタートアップ企業Moku Foodsは植物性ジャーキーを発売…

牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約139億円を調達

精密発酵によりアニマルフリーな乳製品を開発するイスラエル企業Remilkがシリー…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(08/08 15:33時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(08/08 01:41時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(08/08 05:33時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(08/08 21:37時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(08/08 13:35時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(08/08 00:45時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP