このニュースのポイント
●イート・ジャストが欧州進出へ向けて加速
●製造・流通は準備完了、規制当局の承認を待つだけ
●過去4年で欧州のヴィーガン人口は2倍に
●タンパク質生産による副産物でんぷんの収益化が必要
●2023年までにコストダウン実現を目指す
代替卵の代表格イート・ジャストがヨーロッパ進出に向けて準備している。
イート・ジャストは、ヨーロッパで植物性の代替卵を販売する計画を進めている。製造、流通の準備はすでに完了しており、残るは規制当局の安全性承認だけだ。
イート・ジャストの主力商品ジャスト・エッグは液体タイプと冷凍タイプの2種類で、緑豆を主成分とする。現在、EUの安全性承認を待っている段階。EUの承認を得られ次第、ドイツ、イタリア、オランダなど西ヨーロッパで販売を開始したい考えだ。
同社CEOのジョシュ・テトリックはヨーロッパ市場に米国市場以上の「展望」を期待している。
実際に、ヨーロッパでは、ヴィーガン人口が2016年の130万人から2020年には260万人と2倍になっている。
今後5年で欧州の植物性代替市場は75億ユーロ(89憶ドル)になると予想されている。
欧州市場へ進出するため、イート・ジャストは着実に準備を進めてきた。
今年5月には、ドイツの片栗粉メーカーEmsland Groupと緑豆プロテイン生産と副産物・でんぷんの取り扱いで提携。イタリアの鶏卵大手Eurovo Groupとは製造・販売チャネルを構築。さらに、ドイツ家禽業者最大手のPHWと販売パートナーシップを結んだほか、ベルリンを拠点とするフードデリバリーのDelivery Heroとも提携している。
欧州進出はイート・ジャストの海外展開の1つで、同社はすでに本場米国のほか、アジアの香港、中国、タイにも進出している。
10月には投資機関Proterraから約100億円の出資を受け、アジア初となる生産工場をシンガポールに建設することを発表した。この工場は数千トン規模となる予定で、2022年までのオープンを目指している。
コストダウンのためにでんぷん市場も視野に
現在、卵1個分に相当するジャスト・エッグを生産するのにかかるコストは18セント(約18円)。
イート・ジャストは卵1個分に相当する生産コストを、2023年までに5セント(約5円)未満にまで下げたい考え。これを実現するには、タンパク質の生産倍増や緑豆からタンパク質を生産するときに副産物として生ずるでんぷんの収益化が必要となる。
イート・ジャストは、でんぷん市場にはまだ着手していないものの「将来の重要な市場」とみている。2020年の戦略の1つは、でんぷんを収益化することだと昨年言及しており、でんぷんを活用できるパートナーを探していた。
片栗粉メーカーEmsland Groupとの提携によって、タンパク質生産に伴うでんぷんの有効活用が進みそうだ。
テトリックは「従来の農業を変えるには、彼らと手を組むのが一番」だと考える。農業の担い手を外野へ追い出すのではなく、うまく協業する道を探す。イート・ジャストはこの戦略を、カナダ、欧州に加え、アジアでも適用したい考えだ。
同社は植物ベースの代替卵のほかに、Proterraと協業して培養肉の開発を進めることも明らかにしている。10月にオンライン開催されたSKS2020で培養肉について問われたとき、コストダウンと量産化までに「15年以上」と回答している。
参考記事
Eat Just Gears Up To Launch Its Plant-Based Eggs In Europe Next Year
Eggless Egg-Maker Eat Just Prepping for Europe Next Year
アイキャッチ画像の出典:Eat Just