デリバリー

フードデリバリーの「Google」、デリバリー各社を比較・検索できる統合アプリMealMeとは

 

フードデリバリーを頼むとき、多くの人がさまざまなプラットフォームを使って、何を注文しようかと考える。

しかし、もしかしたらいつも使うデリバリーよりも、もっと安いデリバリーがあるかもしれない。

そんな時、わざわざ個別のプラットフォームで検索しなくてもいいように、2名のアメリカ人青年がフードデリバリーをシンプルにするサービスMealMeを始めた。

フードデリバリーの「Google」

MealMeはさまざまなフードデリバリーを比較・検索できる統括プラットフォーム。

まさにフードデリバリーの検索エンジンともいえる。

出典:MealMe

ユーザーは各デリバリーアプリでレストランや料理を検索する必要がなくなる。

MealMeのアプリ上でレストランや注文したい料理を検索すると、配達が最も早いもの送料が安いものなど、デリバリーサービスごとに比較できるようになっている。

MealMeではグラブハブやPostmate(2020年7月にウーバーが買収)から小規模なフードデリバリーを比較できる。

アプリを使うとユーザーは平均5ドルを節約できるという。

苦節2年を経て起きたブレイクスルー

MealMeは、エモリー大学出身のMatthew Bouchner氏Will Said氏が開発したアプリ。

Bouchner氏は23歳、Said氏は21歳と若い。

Matthew Bouchner氏 出典:MealMe

Said氏はアップル出身で、MealMeに注力するためGoogleを2ヵ月で退社。

MealMe誕生の背景には、ベストなデリバリーを見つけるのに複数のアプリを使わなければならないことに苦労したBouchner氏の体験がある。

MealMeのサービスは当初、予約機能のある「食のSNS」として始まった。

食べログのようにほかのユーザーが写真を投稿できるほか、個人の好みに合わせてパーソナライズされたレストランを、ユーザーの地理的条件も加味して提案してくれるサービスだった。

Will Said氏 出典:MealMe

しかし、2年の開発を経ても、ユーザーは少なく、投資家の関心を集められなかった

デリバリー情報にはニーズがあると考えたBouchner氏は、2019年の終わりにアプリ内にデリバリーサービスを検索できる機能を追加

これをRedditというウェブサイトでリリースしたところ、何千というダウンロードにつながった

これをきっかけにMealMeは当初の「食のSNS」の構想を捨て、フードデリバリーの「Google」を作る方向にシフトする。

これ以来、MealMeは「食の検索エンジン(the Search Engine for Food)」というキャッチフレーズを使っている。

食のニーズをワンストップで解決するため、これまではバラバラだった各社の情報を1つのプラットフォームに集約し、2020年3月に新しくなったMealMeアプリを発表したところ、またたくまに注目を集めた

アップルストアのフードカテゴリーでトップにランクインし、Appleにも取り上げられ、ようやく投資家の関心を集めることができた

アップデートから1年で、ユーザー数は7万人を超えている。

出典:MealMe

MealMeはアプリで各社の送料やサービス料金、待ち時間を比較するプロセスを能率化するのが狙い

ユーザーは最も安く、最も早い注文条件を見つけるために、もう複数のデリバリーアプリを行き来する必要がなくなる。

昨年には決済機能を追加し、注文から決済までがMealMeのアプリ内で完結するようになった。

アプリは無料で使用できる(チップを送ることはできる)。

大学キャンパスで始まる食のイノベーション

昨今、アメリカでは食のイノベーションを起こすスタートアップが大学というマーケットを狙うことが多い

ラーメン自販機で有名なヨーカイエクスプレスは今年リリース予定の「動く」ラーメン屋台をまず、大学で稼働させたいと考えている。

スムージー自販機のBlendidも最初の活躍の場は大学だった。

Starshipの宅配ロボットも大学キャンパスでフードデリバリーロボットとして活躍している。

出典:Emory University

MealMeも例外ではなく、エモリー大学コネチカット大学インディアナ大学ジョージ・ワシントン大学に導入されており、まもなくシラキュース大学にも導入される予定

Bouchner氏は次のように語っている。

「お腹がすいたら、まずウーバーイーツやドアダッシュ、あるいは好きなサービスアプリを開くでしょう。でも、最初に使うのをMealMeにすれば、毎回の注文でお金を節約できますよ」

日本では楽天デリバリーが似たサービスを提供していると思ったが、MealMeとは異なるものだった。

楽天デリバリーはアプリまたはWebサイトで注文すると、全国12000以上の店舗から注文できる。

比較できるのはデリバリーサービスではなく、店舗となる。

MealMeのようにデリバリー各社を比較・検索できる機能はなく、あくまで多くの店舗と直に提携しているだけとなっている。

 

参考記事

MealMe’s App That Compares Food Delivery Services Is Set to Expand Across College Campuses

MealMe prepares SU launch comparing prices of delivery apps

Food delivery comparison app MealMe launches at IU, hires college students

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:MealMe

 

関連記事

  1. スーパー・薬局が自宅までやってくる!Robomartの移動型スー…
  2. 米スーパー大手クローガーがドローンによる食料品配達を正式に実施
  3. Starshipの宅配ロボット、米スーパーSaveMartに初登…
  4. 新鮮な食材を買える自販機3.0のFarmer’s fridgeが…
  5. 食料品配達のパーソナライズ化を実現するHungryrootが約4…
  6. インドのデリバリーZomatoが約54億円を追加調達
  7. ホームメイド料理のデリバリーサービスWoodSpoonが約2億円…
  8. キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと…

おすすめ記事

MeliBio、高級レストランで蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間限定で開始

精密発酵により蜜蜂を使うことなくハチミツを開発する米MeliBioが、サンフラン…

青果物の鮮度を延ばす“未来の冷蔵庫”Tomorrow Fridge|2つのアプローチでフードロスを削減

シアトルを拠点とするスタートアップTomorrowは、フードロスを削減する従来と…

キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと連携

キッチンOSの主力スタートアップサイドシェフ(SideChef)とウォルマートと…

英Meatlyが培養キャットフード製品を発表、3ヶ月以内の承認を期待

細胞培養によるペットフードを開発する英Meatly(旧称Good Dog Foo…

培養肉セミナー動画(日本細胞農業協会理事・岡田健成氏)|2024年3月開催

今月25日、培養肉の研究開発に取り組むかたわら、日本細胞農業協会で理事を務める岡…

大手食品メーカーの精密発酵食品への参入・販売状況【Foovo独自】

ダノンは今月、ミシュランら3社と協力して、フランスに精密発酵のスケールアップを加…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/17 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP