代替プロテイン

ビヨンドミートが欧州での小売展開を拡大

 

ビヨンドミートが欧州全土での小売展開の拡大を発表した。

同社はこの春、欧州の数千店舗の小売で販売を開始。

ビヨンドミートの商品は2020年12月の時点で、80カ国、12万2000店舗の外食産業・小売で販売されていた。

今回の欧州拡大は、欧州で高まる植物性代替食品の需要にこたえるものとなり、同社が欧州でのプレゼンスを高めるものとなる。

欧州5カ国の小売で拡大

出典:Beyond Meat

欧州での新たな販売状況は次のとおり。

  • イギリス:今年になってからSainbury’sとWaitroseで販売を開始。イギリスで新たに445店舗の小売で販売。
  • ドイツ:4月、5月にKaufland、Tegut、FamilaとRealの1000店舗以上で販売。
  • オーストリア約1500店舗で販売。
  • スイス:ミグロス155店舗でビヨンドミンチを販売。
  • オランダ:Albert HeijnとJumboの約1000店舗で販売。

 

上記に加え、ビヨンドミートはフランス、スペイン、ベルギー、イタリアなどの国へも展開を拡大する予定

2020年6月、ビヨンドミートはオランダ、ズーターワウデにある食肉大手Zandbergen World’s Finest Meatと提携して、欧州に最初の共同生産施設を開設すること、オランダ、エンスヘデにある生産施設を買収してビヨンド初の欧州における自社工場とすることを発表していた

エンスヘデの自社工場は2020年末までに稼働を開始すると発表されていたが、先日のプレスリリースで年内に開設することが発表された。

2つの欧州工場は、ヨーロッパ、中東、アフリカ向けの商品の製造・販売を加速、拡大する。

ビヨンドミートvsインポッシブルフーズ

出典:Beyond Meat

ビヨンドミートは世界的に代表的な代替肉企業。

2009年に設立された同社は、遺伝子組換え原料を使用しないさまざまな植物性代替肉を開発している。

ビヨンドと並んで代替肉の2強とされるインポッシブルフーズは、独自の中核成分「ヘム」を使うことで、植物性原料でありながら、動物肉のような肉らしさを再現している。

しかし、インポッシブルは製造に遺伝子組換え原料を使用しているため、欧州、中国市場へはまだ参入しておらず、ビヨンドが一歩先を走る状態となっている。

先日、インポッシブルフーズが今年新規公開(IPO)するかもしれないというニュースがロイターで報じられたが、この点でもすでに米国上場を果たしているビヨンドが優位に立つ。

大手との提携ラッシュと中国本上陸

今年になってからビヨンドミートのニュースが続いている。

1月にはペプシコと植物性のスナック、ドリンクを開発する合弁会社The PLANeT Partnershipの設立を発表

2月にはマクドナルド、ヤムブランズとの複数年にわたる提携を発表。

2019年にカナダのマクドナルドでビヨンドバーガーの試験販売を開始するも、正式導入を実現できなかったビヨンドがついにファーストフードの巨人と手を組んだ。

3月にはついに中国本上陸。昨年秋に建設計画を発表していた中国現地の生産工場を開設した。

出典:Beyond Meat

スタンフォード大学は、動物肉をビヨンドミートの植物肉に8週間置き換えた場合、コレステロール値がどのように変化するか比較した研究結果を発表している。

これによると、ビヨンドバーガーを食べた人には動物肉の消化中に生成されるTMAOなどの心疾患のリスクファクターに改善が見られた。また、植物肉に置き換えたことによるリスクファクターへの悪影響は見られなかったことも報告されている。

環境への影響においても、ビヨンドバーガーは牛肉バーガーと比べて、水不足への影響が99%少なく、土地利用の影響が93%低く、消費するエネルギー、排出される温室効果ガスがそれぞれが46%、90%少ないことが報告されている。

 

参考記事

Beyond Meat® Announces Major Retail Expansions Throughout Europe

Beyond Meat Boosts European Retail Presence

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:Beyond Meat

関連記事

  1. The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク…
  2. オーストラリアのAll G Foods、植物肉ブランドを切り離し…
  3. 精密発酵で卵白タンパク質を開発するOnego Bio、米国進出に…
  4. Future Fieldsが約15億円を調達、ショウジョウバエで…
  5. Motif FoodWorks、精密発酵による代替タンパク質開発…
  6. 細胞農業によるキャビア製造でGeneus Biotechがヴァー…
  7. イスラエルの微細藻類スタートアップBrevel、シードラウンド拡…
  8. Nourish Ingredients、精密発酵由来の脂肪「Ta…

おすすめ記事

微生物発酵でサステイナブルな着色料を開発するデンマーク企業Chromologics

植物ベースまたは細胞農業によって肉、魚、乳製品に取り組むフードテック企業は増えて…

世界初!シンガポールOsomeFoodが開発したマイコプロテイン由来の代替ゆで卵

シンガポールを拠点とするOsomeFoodは、世界初となるマイコプロテイン由来の…

アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発表、年内の販売を計画

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは今月、同社初の製品ブランド「Aleph…

代替エビを開発するNew Wave Foodsが約18億円を調達、3月末までに飲食店で提供予定

植物ベースの代替魚開発に取り組むNew Wave Foodsが、シリーズAラウン…

エストニアで進むマイコプロテイン開発|ホールカット代替肉を開発するFunkiとMati Foodsの取り組み

エストニア発のマイコプロテイン企業Funkiは、今後5年から10年で、食用菌糸体…

フードロス削減のために米Surge Alertが開発した気候モニタリングデバイス

フードロスを減らすため、ニューヨークを拠点とするSurge Alertは24時間…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(08/21 15:40時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(08/22 01:51時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(08/21 05:38時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(08/21 21:44時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(08/21 13:40時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(08/22 00:55時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP