新しい食

DouxMatokが砂糖の使用量を半分に減らしたIncredo Spreadsの販売を開始

 

イスラエルのスタートアップDouxMatokが開発した、少ない量でも甘さの変わらない砂糖Incredo Sugarがついに市場に投入された。

Incredo Sugarはほかのものによる砂糖の代替品ではなく、少ない量の砂糖で同じ甘さを感じられる砂糖

食べても問題のない運び屋「シリカ」に砂糖をのせることで、少ない量でも砂糖をなめたときに甘く感じられる仕組みを実現している。

これにより、これまでの40%少ない量で同じ甘さを感じられるようになった。「シリカ」のすき間に砂糖が入り込み、味覚受容体に長くとどまることで、甘さを感じやすくしている。

砂糖の使用量を半分に減らしたスプレッド商品Incredo Spreads

出典:DouxMatok

今回、期間限定で販売されるのはIncredo Sugarを使ったスプレッドで、ハーゼルナッツココアダークココア・塩キャラメルの2種類。

この商品は北アメリカで製造されている。

Incredo Sugarを使った製品の販売は2021年後半となる見通しだったが、予定よりも早く市場投入される運びとなった。

ハーゼルナッツココアは37gあたり、砂糖は11gで190カロリー。ダークココア・塩キャラメルは37gあたり、砂糖は10gで190カロリー。

さらに、大さじ2杯(37g)で1日に推奨される食物繊維の30%を摂ることができる。

通常の砂糖と作用の違いを図解したもの 出典:DouxMatok

いずれも遺伝子組換え原料、グルテン、人工着色料、防腐剤、パーム油は使用しておらず、有機ハーゼルナッツ、サトウキビ、ひまわり油を使用している。

この2商品に使用される砂糖の量は、他社製品よりも使用する砂糖が50%少ない

Incredo SugarはDouxMatokの主力製品であり、ケーキ、スナック、クッキー、チョコレート、キャンディ、プロテインバー、焼き菓子などに取り入れることができる。

共同創業者・CEOのEran Baniel氏は次のように述べている。

「砂糖を減らすという課題に対処するには、砂糖を食べる喜びを維持するしかないと思っています。

食品産業も、この重要な使命に我々と共に取り組みましょう」(Eran Baniel氏)

食品メーカー、外食産業との協業も視野に

出典:DouxMatok

DouxMatokは消費財(CPG)メーカー、外食産業などとの協業を視野に入れている。

たとえば、グローバルに展開する消費財メーカーのユニリーバは近年、代替肉・代替乳製品にも力をいれるなど持続可能性の取り組みを強化しており、有名ブランドのリプトンにIncredo Sugarを原料として使う可能性も考えられる。

DouxMatokの技術は砂糖のほかに塩にも適用できる。砂糖のように少ない量で味が変わらないことが望ましい塩“Incredo Salt”も今後登場するかもしれない。

こうした、食品のおいしさの根幹にかかわるが、摂りすぎが懸念される砂糖、塩のイノベーションに取り組む事例は増えている。

同じく甘味料開発に取り組む企業として、ネスレは通常は廃棄されるカカオパルプを使用。チョコレートの製造にカカオ果肉を使うことで砂糖の使用量を減らすだけでなく、チョコレート製造で発生する廃棄物の削減に努めている。

Joywellは発酵技術を利用して植物性の甘いタンパク質を開発している。

また、MicroSaltは半分量の塩で同じ塩味を実現するMicroSalt®を開発している。

出典:DouxMatok

DouxMatokは2014年に設立されたイスラエル・テルアビブのスタートアップ。クランチベースによると、これまでに総額3020万ドル(約31億円)を調達している。

Incredo Sugarを使ったスプレッド2商品は現在、公式サイトで販売されている。

販売は期間限定で、2つセットの販売価格は22.95ドル。なくなり次第、販売終了となる。発送対象はアメリカのみとなる。

 

参考記事

DouxMatok Launches Incredo Spreads Made with Special Sugar Reduction Tech

DouxMatok Releases Limited Edition Incredo® Spreads

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:DouxMatok

 

関連記事

  1. 1つのカカオ豆から年間1.5トンの培養カカオ──イスラエル企業K…
  2. 【現地レポ】シンガポール企業Preferの豆不使用コーヒーを実食…
  3. MeliBio、高級レストランで蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間…
  4. 味の素、おいしい減塩に向けた「電気調味料」技術を開発
  5. 代替カカオ・ココアバターセミナー動画【2025年4月開催】
  6. 精密発酵:8ヵ月にわたる企業・政府動向の全記録【Foovo独自調…
  7. 精密発酵で天然着色料を開発するPhytolonがギンコ・バイオワ…
  8. 精密発酵により代替タンパク質を開発する企業23社

おすすめ記事

日本ハム、動物血清の代わりに食品成分で培養肉を作製

日本ハムは、培養肉の生産過程で必要となる培養液の主成分を、動物血清から食品成分に…

Meatable、初の試食会開催に続き、培養肉の生産期間短縮を発表

オランダの培養肉企業Meatableは、低コストでスケール可能な独自の分化プロセ…

スーパーミート、来年アメリカに培養肉工場建設を計画

細胞培養による培養肉を開発するイスラエルのスーパーミートは、2023年後半にアメ…

ネスレが焼きたてのピザを提供する自販機を試験導入

ネスレが冷凍ピザ製品「DiGiorno」を3分で焼き上げるピザ自動販売機の試験を…

精密発酵でラクトフェリンを開発する米De Novo Foodlabs、商用化に向けて約2.2億円を調達

ノースカロライナ州に拠点を置く精密発酵企業De Novo Foodlabs(旧称…

BlueNaluがアジアへの培養魚販売に向けて三菱商事、タイ・ユニオンと提携

培養魚を開発するアメリカ企業BlueNalu(ブルーナル)が、三菱商事、アジアの…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/18 15:00時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/19 00:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/19 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/18 21:00時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/18 13:05時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/19 00:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP