培養魚を開発するアメリカ企業BlueNalu(ブルーナル)が、三菱商事、アジアのシーフード大手タイ・ユニオンとの提携を発表した。
アジアにおける培養魚商用化に向けて協力する。
BlueNaluは細胞培養によりブリ、本マグロ、シイラ、レッドスナッパー(フエダイ科の大形魚)などさまざまな水産物を開発するカリフォルニアを拠点とするスタートアップ企業。
このほど、アジアにおける培養魚の商用化を加速させるために冷凍と缶詰シーフードの製造・輸出を行うタイ・ユニオン、日本の三菱商事と提携を発表した。
二社との独立した提携には、さまざまな地域での市場および消費者インサイト(消費者も気づいていない「本音」)の調査、規制要件の評価が含まれる。
プレスリリースではさらに、培養シーフード製品のアジア導入を加速させるために、商品とビジネスの「機会」を探求することにも言及。
BlueNaluは市場調査、規制関連、商品の設計・開発、製造、マーケティング、販売、流通において大手多国籍企業と提携し、BlueNaluの培養シーフード製品を今後数年のうちに、世界中の消費者に効率的かつ効果的に提供することをビジネス戦略としている。
これまでにBlueNalu が公表している戦略的投資パートナーには、オランダのNutreco、韓国のPulmuone、日本の住友商事、アメリカのグリフィスフーズとRich Products Corporationの5社がいる。
同社CEOであるLou Cooperhouse氏は今回の提携について次のようにコメントしている。
「三菱商事とタイ・ユニオンとのコラボレーションは、商用化を加速し、持続可能なシーフードを世界に提供するというBlueNaluの使命を前進させるのに役立つもので、大変感激しています。
当社のシーフードは、消費者、海洋、そして地球に非常に多くの利益をもたらすものです」 (Lou Cooperhouse氏)
今回の提携ニュースは、年初の巨額の資金調達ニュースに続くものとなる。
BlueNaluは1月に、細胞農業による代替魚の開発では史上最多となる約62億円(6000万ドル)の出資を受けた。
この時、同社はサンディエゴの約40000平方フィートのパイロット生産工場を完成し、今年後半にアメリカのレストランなど飲食店でテスト販売する予定であることを発表していた。
2019年のプレスリリースでは、北アメリカ、アジア、ヨーロッパに注力することに言及。
この時のコメント通り、今回の提携により、アメリカでテスト販売後の次の市場となるアジア進出に向けて前進したことになる。
アメリカの次の市場に向けて、Cooperhouse氏は
「アジアと他の市場における業界パートナーと協力し続けることを切望しており、世界中でそのような関係を築く機会を積極的に探究しています」
とコメントしている。
BlueNaluはアジア、特に日本での取り組みを促進するために、多摩大学のルール形成戦略研究所の細胞農業研究会にも最近参加。
この研究会は、細胞農業食品の定義と構築に関する幅広い専門家を集め、日本の製品と技術に関する政策提言を提供するもの。
Cooperhouse氏は同研究所で2回プレゼンしており、今後も同様のグループでの活動を継続していく考えでいる。
三菱商事が培養タンパク質に着手したのは今回が初めてではない。
同社は今年1月に、イスラエルの培養肉スタートアップ、アレフ・ファームズと培養肉の日本導入で提携を発表(三菱商事とアレフ・ファームズも、前述の細胞農業研究会のメンバーでもある)。
三菱商事はさらに、昨年12月に培養肉の草分け的企業であるオランダのモサミートに出資をするなど、培養タンパク質への関わりを加速させている。
参考記事
BlueNalu Partners With Mitsubishi & Thai Union To Bring Cell-Cultured Seafood To Asian Markets
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アイキャッチ画像の出典:BlueNalu