代替プロテイン

世界初!シンガポールOsomeFoodが開発したマイコプロテイン由来の代替ゆで卵

 

シンガポールを拠点とするOsomeFoodは、世界初となるマイコプロテイン由来のゆで卵を開発した。

同社の代替ゆで卵はビーガンなだけでなく、食べることで免疫力を高めるよう設計されている。

栄養面の強化にこだわった代替ゆで卵

海外では代替卵に取り組む企業はほかにもいるが、OsomeFoodはビーガンなだけでなく、栄養面を強化することにこだわりを持つ。

原料の選定や組み合わせ、機能性について栄養士、漢方医、自然療法医のアドバイスをとりいれて開発された代替ゆで卵は、菌類を発酵させたマイコプロテインで作られている。

出典:OsomeFood

マイコプロテインはタンパク質含有量が全卵にほぼ匹敵するほか、ほかの食品と比べ、繊維の含有量も高い

OsomeFoodの代替ゆで卵は、肉製品に含まれるのと同じ必須アミノ酸を含む。

現在、この代替ゆで卵は、公式サイトのほか、シンガポールの腫瘍専門クリニック、VitaKidsの店舗で販売されている。

代替シーフード製品OsomeFishも開発

出典:OsomeFood

同社はシンガポールで消費されるシーフードの75%は漁獲に問題があるとし、海洋生態系を保護するための国連のSDGグローバル指標14を支持。

代替シーフードで従来の魚の摂取量を減らすため、代替シーフード製品「OsomeFish」も開発している。

同社はゼロ・トレランスを徹底しており、製品にはグルテン、乳製品、遺伝子組換え原料、保存料、コレステロール、着色料、添加物は含まれていない。

OsomeFoodの代替食品は、鶏を飼育して卵を生産するプロセスと比較して、必要となる土地、水は90%少ないため、栄養面だけでなく持続可能性も強化されている。

伸びしろのある代替卵市場

出典:GFI

GFIのアメリカ市場データによると、植物性代替卵の市場シェアはまだ小さいが、最も急速に伸びており、この1年で売上が約3倍になっている。

売上額は代替ミルクに比べるとまだ小さいが、アメリカでは動物性食品の中で売上の減少率が最も高いのが卵であることから(下記グラフ)、代替食品への切り替えが急速に起きている分野であり、代替卵市場には発展の余地が十分にある。

出典:GFI

それを裏付けるように、アメリカのイート・ジャストが開発した代替卵JUST Eggのこれまでの販売数は1億個の卵に相当する

同社のJUST Eggは、2万箇所を超える小売、1000の飲食店で販売され、アメリカで代表的なプラントベース卵商品のポジションを獲得している。

このほか、同じくアメリカを拠点とするクララ・フーズは、精密発酵により動物卵と分子的に同等な卵白を開発しており、先月には世界最大の醸造企業AB InBevとパートナーシップを結んだ。

シンガポールのFloat Foodsは、本物の全卵を模倣した植物ベースの卵黄と卵白を開発している。

インド発のEvo Foodsは液状卵で2022年の海外進出を目指している。

出典:OsomeFood

OsomeFoodがシンガポールの次に海外展開するかは不明だが、ビーガンなだけでなく、栄養面にこだわった同社製品は、競合品がない優位性に乗じて消費者に訴求していくことが予想される。

 

参考記事

Singapore Manufacturer OsomeFood Says It Has Created The World’s First Plant-Based Hard-Boiled Egg

アイキャッチ画像の出典:OsomeFood

 

関連記事

  1. ドバイが次のフードテックハブになる?UAEがドバイにフードテック…
  2. Back of the Yards Algae Sciences…
  3. 培養肉企業MeaTechが約100グラムの3Dプリントされた培養…
  4. 植物性チーズを開発するスウェーデン企業Stockeld Drea…
  5. ビル・ゲイツも出資|細胞培養により代替母乳の開発を目指すBiom…
  6. 精密発酵で卵白タンパク質を開発するOnego Bio、米国進出に…
  7. Vowの培養ウズラ肉、シンガポールのレストランがメニューに導入、…
  8. 世界初の培養サーモン、米国で認可──WildtypeがFDAの「…

おすすめ記事

卵黄・卵白に分かれた植物ベースの全卵を開発するFloat Foodsが約1億8000万円を調達

シンガポールを拠点とするフードテック企業Float Foodsが、シードラウンド…

スピルリナ由来の代替スモークサーモンを開発するSimpliiGood

2024年8月13日修正・追記スピルリナを活用して代替タンパク質を開発す…

家庭調理ロボット「Posha」、シリーズAで約11.6億円を調達──“プライベートシェフ”として全米展開へ

家庭向けキッチンロボットを開発する米Posha(旧称Nymble)は今月6日、シ…

TurtleTree、自社ブランドで精密発酵ラクトフェリンを発売|自社ブランド製品化の動きから見える資金調達ニーズ

TurtleTreeの精密発酵ラクトフェリンを使用したサプリメントがアメリカで発…

Jellatechが約5億円のシード資金を調達、細胞由来コラーゲンの開発を加速

動物に依存することなく、細胞農業により動物由来と同等のコラーゲンを開発する米Je…

菌糸体由来チーズを開発するベルギー企業Bolder Foods、資金調達難で事業終了を発表

菌糸体由来チーズを開発するベルギーのBolder Foodsは今月、資金調達難に…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/15 16:14時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/16 02:52時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/15 06:23時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/15 22:15時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/15 14:15時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/16 01:33時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP