2021年5月19日、海外フードテックメディアThe Spoon主催のArticulATE: The Food Robotics Summitがオンラインで開催された。
このサミットには最新のフードロボット・次世代自販機の一部が登壇し、自社のサービスや最新情報をシェアした。
今回の記事では、The Food Robotics Summitに登場したフードロボット・次世代自販機の概要を紹介する。
Albert
Albertはカスタマイズ可能なスムージー、スープを作る自販機を開発するベルギーのスタートアップ。
The Food Robotics Summitでは、2つ目の商品となるスープ用自販機が初披露された。
材料は小さくカットされた状態で冷凍保存され、スープの種類にもよるが、2分でスープを作れる。カットされた材料が混合され、スープができあがる様子が初披露された。
Picnic
Picnicは、ワシントンを拠点とするピザ調理ロボットを開発するスタートアップ。
ロボットの全体像は、ピザ設置部、ソース部、材料部などのユニットが一列に配列されている。
ベルトコンベヤーに置かれたピザ生地が移動しながら、ディスペンサーからソース、トッピングが順になされる仕組み。
1時間あたりピザ数百枚トッピングが可能なため、人的コストを大幅に削減できる。また、タブレットで設定完了後は、ロボットが正確に材料、ソースを分注するため、材料の無駄を節約することもできる。
クライアントのニーズに応じて、搭載ユニットを自由にカスタマイズできる。ピザの焼き上げ時間は6分。
Gastronomous
Gastronomousはキッチンを自動化するロボットを開発しているカナダのスタートアップ企業。
ロボットがペンネを茹でる、ソースをかける、混ぜるといった動作をすべて行う。ロボットがペンネにソースがけした後、ボールをゆらしてペンネとソースをからめる動きまで設計できる。
Gastronomousがクライアントのニーズに応じたロボットを設計し、製造まで手掛ける。
YPCテクノロジーズ
YPCテクノロジーズの自律調理ロボットは、オフィスの食堂、病院、スーパー、介護施設をターゲットとしている。
ロボットアームが容器から材料を取り出し、調味料の注入までロボットアームが担う。パスタを茹でることも可能。
1時間の30の料理が可能で、今後数ヵ月で第2世代をリリース予定であることを発表した。
人が介入するのは材料の補充と、最後の味付けだけで、必要な人員を削減できる。
KarakuriのDK-One
イギリスのロボットスタートアップKarakuriの最初のロボットDK-Oneは、冷製・温製の食材で調理済みの食事を作る、オールインワンのキオスク型ロボット。
DK-Oneは自身は調理はせず、注文があるまで適切な温度で食材を保持する。すべての料理がユーザーの好みに応じて正確に配分され、ファーストフードのように早く、量産される。
現行バージョンは、果物、ヨーグルト、野菜など18の材料を保持し、1度に6~12個のボウル料理を作れる。1時間に用意できるボウル料理は100個。
DK-Oneの関節アームが円形キオスク内部を高速に移動し、ユーザーが選んだ食材を正確に計量して容器に注入するので、ユーザーは注文した料理のカロリーや栄養成分を把握できる。
レストランスタッフの負担を減らし、フードロスを減らす狙いがある。
Le Bread Xpress
https://www.lebreadxpress.com/
カリフォルニアを拠点とするLe Bread Xpressは2つの次世代自販機を開発している。
今回披露されたのは、焼きたての菓子パン、ピザ、マフィン、クロワッサンを1分~90秒で提供するBake Xpress。アメリカ、欧州のほか、ドバイにも導入している。
自販機にはあらかじめ部分的に焼いたパンがストックされている。
Oliver
Oliverは、カナダのエルスラボが開発した、材料を投入するタイミングも制御するスマート調理ロボット。
材料をカットして、各容器にセットし、アプリで調理開始を押せば、あとはロボットが材料を投入するタイミングまで制御してくれる。
アプリに登録されたレシピのとおりに正確に調理するほか、アプリに自分オリジナルのレシピを登録することもできる。
パスタ、ソース、ジャム、シチュー、炒め物、デザートなどさまざまな料理が可能。
RoboEatz
カナダ、ラトビア、アメリカを拠点とするRoboEatzが開発するのは、キッチン全体に置き換わる自律調理ロボット。
材料を補充しておけば1000食分の調理が可能。
1つの食事を最短30秒で作ることができ、メニューのカスタマイズも可能。
自動洗浄機能もついている。
エックスロボティクス
エックスロボティクスのソースかけ、トッピングを自動で行うピザロボットは、人手不足と低い利益率という課題を意識して開発されている。
レストラン裏方で工数がかかるトッピング、ソースがけという単調な作業をロボットが担う。トッピングに要する時間は40秒。
関節アームは採用せず、必要な部分の自動化に特化している。
ロボット内部をピザ生地を載せたルンバのような台が回転しながら移動していく。
今回発表されたロボットは同社が開発する装置の1つで、作業中はルンバが赤色に点灯、1つのタスクが完了すると緑色に点灯するようになっている。
The Food Robotics Summitでは、今年夏に資金調達を実施する予定が明らかにされた。
月額のサブスクリプションをビジネスモデルとしている。
2022年にアメリカでリリース予定。アメリカの次はカナダ進出を目指している。
アイキャッチ画像の出典:The Spoon