代替プロテイン

米Mission Barns、米国で世界初の培養脂肪の販売認可を取得|小売・レストランで販売へ

出典:Mission Barns

Mission Barnsが、アメリカで培養脂肪の販売認可を取得した

アメリカ農務省(USDA)から培養豚脂肪「Mission Fat」に関する販売認可を取得したことで、同社の製品は初めてアメリカの小売およびレストランに登場する。

小売では、カリフォルニア州オークランドのスーパーマーケットSprouts Farmers Market(3035 Broadway)でまもなく販売を開始。また、サンフランシスコのイタリアンレストランFiorella Sunset(1240 9th Ave)ではミートボールやベーコンといった料理として期間限定で提供される予定となる。

今年3月のアメリカ食品医薬品局(FDA)の安全性審査完了に続き、サンフランシスコのパイロット施設に対するUSDAの検査証書(Grant of Inspection,GOI)、および培養豚脂肪の表示認証を取得したことで、Mission Barnsは培養豚脂肪をアメリカで市場投入するための最終ステップをクリアした。

世界初の培養脂肪の販売認可、縮小する企業もある中での快挙

出典:Mission Barns

培養脂肪の販売認可は、アメリカに限らず世界でも初の事例となる。

Hoxton Farms、中国のJoes Future Food、ドイツのCultimate Foods、シンガポールのImpacFat、カナダのGenuine Tasteなど、培養脂肪の開発を進める企業にとっても、今回の認可は変化する投資環境の中で明るい兆しとなった。

しかし、オランダで培養魚脂肪を開発してきたUpstream Foodsは資金調達難を背景に今月に事業縮小を決定しており、培養脂肪スタートアップを取り巻く資金環境の厳しさも浮き彫りになっている。

今回のMission Barnsによる世界初の培養脂肪認可は、こうした後退を防ぐ成功事例として業界に再び資金と期待を呼び込む可能性がある。

Foovo作成(2025年7月25日時点の情報)

アメリカではこれまでにUpside FoodsおよびGOOD Meatが培養鶏肉の販売を実現しており、2025年5月末にはWildtypeが培養サーモンの販売認可を取得し、導入レストランを拡大している。今回のMission Barnsの事例は、アメリカで2025年になってから2例目の細胞培養食品の最終承認となる。

Upside FoodsやGOOD Meatの事例から、Mission BarnsのUSDAによる最終承認には半年かかる可能性も考えられたが、3月のFDA通過から約4ヶ月で承認を得るに至った。

初期から小売導入を図る初の細胞培養食品

出典:Mission Barns

2018年に設立されたMission Barnsは、植物肉の課題とされる「味」や「風味」を解決する鍵として、動物由来の細胞から培養した脂肪の開発に取り組んできた。

Chief Business OfficerのCecilia Chang氏は、「培養脂肪こそが鍵です」とプレスリリースで述べ、Mission Fatを「食品企業やメーカーの製品を差別化するために欠けていた成分」だと位置づけている。

レストランの限定提供では、FiorellaのシェフBrandon Gillis氏がミートボールやベーコンを用いたイタリアン料理を創作し、実際の食体験を通じてMission Fatの応用および商業的な可能性を示す。Sproutsでは消費者が家庭で調理できる製品として提供される。

これまでの細胞培養食品では、レストランでの導入が先行しており、一部、GOOD Meatが昨年に小売店での製品販売を実現したが、初期段階から小売導入を図るのはMission Barnsが初となる(培養肉初販売から今年3月までの流れはこちら)。

このような展開の背景には、培養脂肪が植物肉の味や食感を少量でも大きく向上させると期待されている点、また成形加工が不要なことから培養肉よりも市場投入のハードルが低く、コスト面でも優位性があると考えられることが挙げられる。

Mission Barnsの培養脂肪は、自社開発の接着型バイオリアクター技術によって製造されている。

Chang氏は、「現在、Mission Fatに強いニーズを示している企業との協議を進めており、そうした需要に応えるべく、戦略的に事業の拡大体制を整えています」と述べ、今回のアメリカでの販売認可により、国内および海外でのB2B事業の拡大を目指す考えを示している。

 

▼参考 現在の細胞培養食品の申請・認可状況(Foovoのインスタグラムでも随時更新)

Foovo作成(2025年7月25日時点の情報)

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Mission Barns

 

関連記事

  1. 中国で植物性食品の新たな団体標準づくりが始動、標準整備の強化へ
  2. チリのNotCoが米国進出、全米のホールフーズで代替ミルクの販売…
  3. 牛を使わずにモッツアレラチーズを開発する米New Culture…
  4. イスラエルのEver After Foodsがビューラーと提携、…
  5. 香港培養肉スタートアップのAvant Meatsが培養魚の切り身…
  6. 代替母乳のTurtleTree、カリフォルニアに研究施設開設を発…
  7. 【現地レポ】精密発酵CDMOのScaleUp Bioが最初のクラ…
  8. 【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表

おすすめ記事

UMAMI UNITEDの植物性代替卵「UMAMI EGG」が都内レストランに登場

シンガポール、日本に拠点を構えるUMAMI UNITEDが開発した植物性の代替卵…

オーストラリアのCauldron Fermが約9.3億円を調達、「より小さく、よりスマートな」アジア最大の精密発酵施設ネットワーク構築へ

オーストラリアに新たに設立された精密発酵スタートアップのCauldron Fer…

酵母由来の代替油脂を開発する英Clean Food Group、6万リットルの発酵運転に成功──実用化に向け前進

出典:Clean Food Group酵母を用いた微生物発酵により、食品・化粧品向けに代替油脂を…

米スーパー大手クローガーがドローンによる食料品配達を正式に実施

アメリカのスーパーマーケット大手クローガーは6月に、ドローンを使った食料品配達を…

2020年の代替タンパク質投資額は31億ドルとGFIが報告、過去10年の投資額の半分が2020年に集中

GFIは、2020年は植物ベースの肉、卵、乳製品など動物性食品に代わる代替品を開…

インポッシブルフーズがオーストラリア・ニュージーランド進出へ向け準備

代表的な米代替肉企業インポッシブルフーズが1年以内に株式上場すると言われるなか、…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP