代替プロテイン

培養肉企業Meatableがオランダに新しいパイロット工場を開設

 

オランダの培養肉企業Meatableは今月、オランダ、ライデンにあるバイオサイエンスパークに3,300㎡のパイロット工場を開設したことを発表した

この施設は、同社のこれまでのオフィス、研究所の2倍の広さとなり、バイオリアクターの容量は50Lから200Lへ増え、今後は500Lへ増量する見込みだという。施設拡大により、Meatableは大量の培養豚肉製品を試験、生産するための十分なスペースを確保できるようになった。

この発表は、オランダでは今年5月のモサミートの工場開設に続くニュースとなる。

Meatable、オランダに新しいパイロット工場を開設

出典:Meatable

2018年の創業時、バイオサイエンスパーク近隣の25㎡のオフィス、25㎡の研究スペースで活動を開始したMeatableは、5年を経て、従業員90名を超えるまでに成長した。

培養肉業界への投資が落ち着く中、今年8月にはシリーズBラウンドへ進み、3500万ドル(当時約51億円)という大型調達を達成した。同社はまた、独自技術により培養豚肉製品の作製期間を3週間から8日間へ短縮することに成功している。

今年5月にはシンガポールで初めて試食会を開催し、先月には、再びシンガポールで今度はメディア・パートナー向けに試食会を開催するなど、さまざまな成果を出してきた。

Meatableの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のKrijn de Nood氏は、「5年前の2人の起業家のアイディアから、肉の消費方法を変える具体的な製品を持つ企業へと当社がどのように成長を遂げてきたかを見られるのは素晴らしいことです。この新しい施設で会社のプロセスをさらに拡大し、商用化を加速させることができます」と述べている。

シンガポールで拡大するパートナーシップ

2022年シンガポールにて Foovo(佐藤あゆみ)撮影

Meatableは最新のパイロット工場開設により生産を拡大していくが、まず上市を目指すのがシンガポールだ。2024年にシンガポールの一部レストランでソーセージなどの培養豚肉製品の発売を計画しており、その後はアメリカ進出を目指している。

同社はアジアの生産拠点として、シンガポールで培養肉の製造認可を取得しているEsco Asterと提携している。また、「プラントベース肉屋」であるLove Handleと培養ハイブリッド肉製品の開発を進めるなど、培養肉を市場投入する準備を進めている。

これまでにアメリカでGOOD MeatUpside Foods、シンガポールではGOOD Meatが培養肉の販売認可を取得しているものの、現在の供給は非常に限定的で、一般普及しているとは言い難い。

しかし、Esco Asterは2025年までにシンガポール、チャンギに年産最大500トンの培養肉工場を建設する計画を進めている。現在は80㎡ほどの既存施設でGOOD Meatの培養肉が生産されているが、新工場が完成すると100倍近い規模になる。

生産施設の開設が増えることで、シンガポールにおける培養肉の流通は徐々に拡大していくだろう。

これまでにMeatableのほか、オランダ、韓国、イスラエルの企業がEsco Aster提携している。魚の培養脂肪を開発するシンガポール企業ImpacFat創業者の杉井重紀氏も、Esco AsterとMOUを締結し、細胞製造で提携したことをFoovoに述べている。

 

参考記事

https://meatable.com/news-room/(Cultivated meat leader Meatable opens new pilot facility in Leiden to scale cultivated pork development)

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Meatable

 

関連記事

  1. 培養魚のWanda Fishがタフツ大学と独占的ライセンス契約を…
  2. セイバーイートが植物肉用3Dプリンターをアメリカの大学へ初導入
  3. FDA、GOOD Meatの培養鶏肉の安全性を認める Upsid…
  4. ニュージーランド企業Daisy Labが精密発酵ホエイのスケール…
  5. イート・ジャストがシンガポールにアジア初の生産拠点を建設、培養肉…
  6. ドイツのBettaF!sh、海藻と植物を使用した代替サーモンSA…
  7. グリーンマンデーのインスタント食品、香港のセブンイレブン全店で販…
  8. The Every Company、世界初の精密発酵タンパク質を…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

Steamboxの蒸気で温められるランチボックスで職場の電子レンジが不要になる?

会社、学校で温かいお弁当を食べようと思ったら、選択肢は3つくらいしかない。デリバ…

米培養肉UPSIDE Foodsが世界で初めてFDAの安全性認可を取得、上市に向けて躍進

アメリカの培養肉企業UPSIDE Foodsは16日、アメリカ食品医薬品局(FD…

イングレディオンが砂糖削減ソリューションのBetter Juiceと提携

砂糖を削減する酵素技術を開発したイスラエル企業Better Juiceが、世界的…

アイスランドORF Geneticsが大麦由来の低コスト成長因子を開発、培養肉の生産コスト削減を目指す

アイスランド・ORF Geneticsの技術によって、今後数年のうちに培養肉の商…

未来のバーテンダーはロボット?Rotenderはドリンクを大量に作る自販機ロボットを開発

海外の自動販売機の中には、これまでの決まったものだけ注文する仕組みではなく、ドリ…

代替肉のネクストミーツが新潟に代替肉の自社工場を建設、2022年夏の稼働を目指す

代替肉企業ネクストミーツが代替肉の製造に特化した自社工場「NEXT Factor…

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(07/27 13:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 22:36時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/27 02:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/26 19:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/27 11:34時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(07/26 22:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP