代替プロテイン

南米を代表するチリのフードテック企業NotCo、シェイク・シャック創業者ダニエル・マイヤー氏から支援を受ける

 

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏から支援を受けるチリの代替ミルク企業NotCoが、Enlightened Hospitality Investments(EHI)から出資を受けたことを発表した

EHIはアメリカの人気バーガー店シェイク・シャックの創業者ダニエル・マイヤー氏がパートナーを組むグロースエクイティファンドで、AIを活用するフードテック企業に出資するのはこれが初となる。

今回の調達額は明らかにされていないが、同社はこれまでの調達総額が1億3000万ドル(約142億円)となることを公表した。

年末までに企業価値が10億ドルになる見込みとなる。

創業者のMatias Muchnick氏(左)とダニエル・マイヤー氏(右) 出典:NotCo

NotCoは2015年に設立された南米を代表するフードテック企業。

アメリカのホールフーズで代替ミルクNotMilkの販売を開始してから数ヵ月で、すでに3000店舗以上に販売を拡大している。

同社はGiuseppeというAI技術を用いて、独自に蓄積した膨大な植物プロファイルから、動物性たんぱく質にマッチする理想的な植物成分を割り当てる。

使用する原料は、えんどう豆、パイナップル、ココナッツ、キャベツなど多岐にわたる。

生物学的に加工された食品を作るのではなく、既存の食品を分類し、さまざまな植物成分を組み合わせることで、動物性食品に最も似た食感、匂い、口当たりを再現する。

Giuseppeを活用して動物性食品に置き換わる理想の植物原料をすばやく特定し、分子レベルでマッチングすることで、植物性でありながら、動物性食品と同じ味、食感、機能を持つ食品を作り出している

出典:NotCo

NotCoは調達した資金で、アメリカでの展開をさらに拡大し、南米では新商品を販売するとしている。

現在、同社の代替ミルクはアメリカのホールフーズやECサイトで販売されている。チリ、ブラジル、アルゼンチン、コロンビアでは、代替ミルクのほかにバーガー、マヨネーズ、アイスクリームも販売している。

プレスリリースによると、南米、アメリカのほか世界に拡大する計画にも触れているが、具体的な参入国は明かされていない。

創業メンバー、左からKarim Pichara氏、Matías Muchnick氏、Pablo Zamora氏 出典:NotCo

同社は南米ではバーガーキング、Papa John’sなどファーストフード店と提携しているが、EHIのネットワーク、マイヤー氏の知見で、アメリカ、南米で展開スピードをさらに加速できるとみている。

NotCoは昨年にはコロナウイルスの感染拡大にも関わらず、4倍の売上成長を記録した。

創業者・CEOのMatias Muchnick氏は今回の調達について次のようにコメントしている。

「当社の目標は、消費者がすぐに受け入れられるような、科学を活用した植物性代替食品の急速な進歩を加速することです」(Matias Muchnick氏)

 

参考記事

Chile’s NotCo Nabs Investment From Danny Meyer-Affiliated Growth Equity Fund

Bezos-Backed NotCo Receives Backing From Shake Shack Founder Danny Meyer’s Fund

Bezos-backed Food Tech Company NotCo Announces Investment from Enlightened Hospitality Investments, the Growth Equity Fund Affiliated with Danny Meyer’s Union Square Hospitality Group

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:NotCo

 

関連記事

  1. Steakholder Foodsが世界初のバイオ3Dプリンター…
  2. 大手食肉加工のJBS、ブラジルで培養タンパク質の研究施設建設を開…
  3. Meatable、初の試食会開催に続き、培養肉の生産期間短縮を発…
  4. 培養ハイブリッド肉を開発する米New Age Meatsが約2億…
  5. 2021年の代替タンパク質投資額は50億ドルとGFIが報告、20…
  6. 動物を使わないチーズを作るChange Foodsが約9100万…
  7. 菌糸体からベーコンを開発する米MyForest Foods、年産…
  8. イスラエルのImagindairyは精密発酵でアニマルフリーな乳…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

サケ・マス・コイを開発する欧州初の培養魚Bluu Biosciencesが約9億円を調達

ドイツの培養魚スタートアップ企業Bluu Biosciencesが700万ユーロ…

TurtleTreeが精密発酵によるラクトフェリン生産を発表、2023年の上市を目指す

シンガポール、アメリカに拠点を置くTurtleTreeは17日、精密発酵により世…

マクドナルド、ビヨンドミートと開発した植物性マックナゲットをドイツで発売

マクドナルドはビヨンドミートとの提携を通じて、ドイツのマクドナルド1400店舗で…

CellMeatは自社開発したウシ胎児血清フリーの培地を用いて細胞培養による独島エビのプロトタイプを開発

韓国のCellMeatは細胞培養用のウシ胎児血清(FBS)フリー培地を開発し、こ…

植物を活用してアニマルフリーな乳製品を開発するMirukuが約3.2億円を調達

植物を使って乳タンパクを開発するニュージーランドのMirukuは、シードラウンド…

Novameatが約7億円を調達、独自3Dプリント技術による代替ステーキ肉製造の更なるスケール化へ

独自の3Dプリント技術を使い植物性の代替ステーキ肉を製造するバルセロナのスタート…

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/04 10:11時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/04 19:30時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/04 23:01時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/04 16:20時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(10/04 09:32時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(10/04 18:57時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP