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オーストラリアの培養羊肉企業Magic Valley、アニマルフリーな「骨付きラムチョップ」の開発も視野に

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現在、世界には60社ほどの培養肉企業があるが、スタートアップの多くは、牛肉、豚肉、鶏肉の開発に注力している。

このリストに新たにオーストラリアのMagic Valleyが加わった。

しかし、Magic Valleyは他社とは異なり、羊肉の開発に特化する。

世界初の羊肉に特化する培養肉企業となる同社は、今後1~2年以内に最初の培養羊肉を市場に投入したいと考えている。

羊肉消費量世界2位のオーストラリアで登場したMagic Valley

なぜ、羊肉に特化するのか?

それはオーストラリア独自の肉消費事情が関係している。

オーストラリアは羊肉の飼育頭数で世界第2位。輸出数では世界1位となる。

1人あたりの年間羊肉消費量は2020年には約5.87キログラム

出典:OECD

OECDによると、オーストラリアの1人あたりの羊肉消費量は世界2位となる。日本の年間羊肉消費量が1人あたり100gであることを考えると、羊肉の輸出需要、国内需要ともに非常に高いことがわかる。

創業者のPaul Bevan氏は羊肉に注力することについて、次のようにコメントしている。

「オーストラリアの食品の安全性、安心さ、そして高品質な羊生産に関する高い評判を考えると、当社が最初に開発する肉として羊肉を選ぶのは当然のことでした」(Paul Bevan氏)

骨付きラムチョップも開発の視野に

Magic Valleyは、自身がヴィーガンであるPaul Bevan氏が設立したスタートアップ企業。

「当社は工業畜産羊肉に代わる、動物を殺さない羊肉をオーストラリアの人々に提供します」(Paul Bevan氏)

オーストラリア、メルボルンを拠点とするMagic ValleyはiPS細胞を使い、細胞培養により羊肉を生産する。

創業者のPaul Bevan氏 出典:Magic Valley

培養肉の生産では、「肥料」となる血清を培地に添加して、細胞を増殖させる必要がある。

多くの培養肉企業は当初、FBS(ウシ胎児血清)を使用していたが、現在はFBSを使わない方向に大部分がシフトしている。

FBSは生まれていない子牛を使うため、倫理的に問題視されるからだ。

Magic ValleyもFBSの代わりに、FBSを含まない市販の血清を使用するほか、自社独自のアニマルフリーな血清を開発している。

同社は現在、ひき肉、ステーキ、チョップ、ストライプなどの培養羊肉の開発に注力している。

海外メディアGreen queenの報道によると、最初の製品はひき肉(羊肉)となる予定。

次いで、アジアと中東市場向けに羊肉のストライプ、ブロック肉を生産するとしている。

ステーキやラムチョップについては、バイオ3Dプリンターで生成した骨を含めた本物により近い製品を構想している。

最初の製品は1~2年以内に市場に投入される予定。プロトタイプの開発を完了し、研究施設を拡充するため、初の資金調達となるシードラウンドがまもなく完了する。

公式サイトによると、培養ロブスターを開発するShiok MeatsのCEOであるSandhya Sriram氏細胞培養によりコラーゲンを開発するJellatechのCEOであるStephanie Michelsen氏がMagic Valleyのアドバイザーを務めている。

ニッチ戦略で先行者優位を狙う

培養肉業界で、現在羊肉に特化するスタートアップはまだ存在しない。

この点で、Magic Valleyが培養羊肉の生産に成功すれば、オーストラリアだけでなく、中国、中東に培養羊肉を輸出できるようになり、培養羊肉における先行者優位を獲得できる可能性がある。

しかし、アメリカのOrbillion Bioのように開発対象の1つに羊肉をあげるスタートアップや、オーストラリアVowのようにカンガルー、アルパカ、水牛など珍しい動物肉を開発する培養肉企業が今後、培養羊肉に参入してくる可能性は十分に考えられる。

畜産による温室効果ガスの排出、動物による感染症発生、集約畜産による抗生物質の使用、動物愛護、農業用地のための森林伐採、人口増加による食糧危機の点から、培養肉は従来の畜産肉に代わる手段として注目されている。

世界で培養肉を販売したのはアメリカのイート・ジャストのみとなるが、コストダウンに成功する事例も報告されており、特に今年になってからは資金調達ニュースが続いている。

世界で最初に販売されたイート・ジャストの培養鶏肉 出典:Eat Just

研究開発フェーズから、パイロット工場建設へ舵を切る企業も増え、3月には培養肉企業が初めてアメリカで上場した。

培養肉はあと5年あるいは10年で大衆化されるとみる見方もあり、培養肉は大衆化へのフェーズへと移行している。

965億ドル規模といわれる世界の羊肉市場で、Magic Valleyがどれだけシェアを獲得できるのか?

それは、コストダウンと大量生産をいつのタイミングで実現できるかによるが、実現すれば、羊肉市場に大きなインパクトをもたらす。

 

参考記事

Magic Valley Launches As Australia’s First Cultured Lamb Food Tech

Magic Valley Wants to Bring Cultivated Lamb to Market in a Couple Years

There’s a new meat business in town and it’s slaughter-free!

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※アイキャッチ画像はイメージ

 

 

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