フードロス

米Ovieが開発した冷蔵庫の食品を簡単に追跡できるスマートタグLightTags

 

食べ残しの料理や、蓋を開けたジャムなど「まだ食べられる」と思って冷蔵庫に保存したものが、気づいたら腐敗していた-このような経験は誰もがしたことがあるだろう。

冷蔵庫で食品の腐敗を事前に防ぐために、食品の「残り時間」を可視化するツールが登場した。

アメリカ、シカゴを拠点とするスタートアップ企業Ovieは先月、5年かけて開発した食品を追跡するスマートタグ「LightTags」を出荷したことを発表した

LightTags」は時間の経過とともにタグの色を変えることで、冷蔵庫を開けた時にどの食品から食べるべきかを可視化してくれるツールだ。

冷蔵庫の食品廃棄物を減らしてくれるOvieのスマートタグ

出典:Ovie

Ovieのタグは時間の経過とともに、水色、黄色、赤色へと変化する。

設置した時点ではタグは水色で、追跡時間がまだ24時間以上あることを示している。黄色のタグは、追跡時間が24時間を切ったことを意味し、優先的に食べるべきことがわかる。赤色のタグは追跡が完了したことを意味しており、もう食べられない可能性を示している。

「まだ食べられる」という判断は人によってさまざまだ。

だからこそ、タグを設置するときの期間の設定はユーザーに委ねられている。Ovieが決めるわけではない。ユーザーは、最大30日間までタグの追跡期間を設定できる

先に食べるべき食品を可視化

出典:Ovie

設置方法はシンプルだ。例えばある食品について3日間追跡したい場合は、タグを3回押して食品に取り付ければよい。

LightTags」は冷蔵庫が開かれた時のみ点灯するよう設計されているため、使用寿命を長くするよう工夫されている。

タグは色が変わるだけでなく、水色では標準的な点滅、黄色ではやや早めに点滅、赤色ではゆっくり点滅するように設計されている。

これにより、冷蔵庫を開けた瞬間に、どの食品やタッパーから消費するべきか一目瞭然になり、家庭で発生する食品廃棄物を削減することが可能になる。

LightTags」は3個(58ドル)、6個(98ドル)、9個(138ドル)セットで販売されており、最適な規模で自宅の冷蔵庫の中を追跡できる

OvieはD2Cのほか、企業や大量に購入したい人に向けてバルク販売も受け付けており、個人を超えて、レストランでの食材管理にも活用できるかもしれない。

出典:Ovie

Ovieのスマートタグの魅力は、設置した後は、個々の容器の蓋を開けて中身を確認しなくても、食品の食べるべきタイミングを一瞬にして見える化している点だろう。

日数の設定を20日など長くするときは、20回押さないといけないのは難点に思える。しかし、冷蔵庫が大きくなるほど、上部にあるものは管理しにくい。奥にあったり重なりあったりして確認が難しいものを、色の変化と点滅具合で瞬時に把握できる。

これまでであれば破棄することになり罪悪感を覚えていたところ、食べられなくなる前に消費できたとなれば、小さな達成感にもなりそうだ。タグが赤色になる前に消費することで、一種のゲーム感覚さえも生じさせるかもしれない。

 

参考記事

After Over Half a Decade in Development, Ovie Ships Food Freshness Trackers

https://ovie.life/pages/smarterware

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Ovie

 

関連記事

  1. 家庭生ゴミを鶏の飼料に変える米Millが開発したキッチンデバイス…
  2. 漁業者と消費者をダイレクトにつなげるE-Fish、48時間以内に…
  3. 果物の鮮度保持シールStixFRESHを開発する米Ryp Lab…
  4. Big Idea Venturesの第3コホートに参加する15社…
  5. 生鮮食品と花の鮮度を保持するコンテナを開発したRipeLocke…
  6. Fresh Insetが開発した食品鮮度保持技術Vidre+Co…
  7. レストラン厨房のフードロス削減に取り組むOrbiskが約1億36…
  8. 食品ロスに取り組むFlashfoodが約14.7億円を調達、アメ…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

植物ミルクをより持続可能に:英MYOMが開発した新タイプのオーツミルク

環境負荷の軽減や健康志向から、国内でもオーツミルク、アーモンドミルク、豆乳などの…

植物性の全卵を開発するYo Eggが米国進出を実現、ビーガン落とし卵をレストランで発売

イスラエルの代替卵企業Yo Eggが今月、アメリカ進出を実現した。ひよこ…

スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka Foods

インドのフードテック企業Naka Foodsは、スピルリナ由来の栄養スナックバー…

タイソンフーズが出資するFuture Meatが培養鶏肉のコストダウンに成功、2022年に市販化へ

イスラエルの代替肉企業Future Meatは、自社の培養鶏肉の生産コストを1/…

独GoodBytzが開発した1日3,000食を調理できるロボットキッチン

ドイツのスタートアップ企業GoodBytzは、1日最大3,000食を調理できるロ…

培養魚レポート・販売開始のお知らせ

2024年最新版は3月13日に発売しました。培養…

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(07/27 13:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 22:36時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/27 02:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/26 19:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/27 11:34時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(07/26 22:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP