インドのフードテック企業Naka Foodsは、スピルリナ由来の栄養スナックバーや代替肉を開発している。
最初にスピルリナ由来のスナックバー4pm Barを発売後、現在は第2の製品となる代替肉の開発に取り組んでいる。
Naka Foodsを設立した元エンジニアのKushal Aradhya氏は、インド企業の従業員の70%が心疾患や生活習慣病になりやすく、主な原因は貧しい食生活にあることを知り、この問題に取り組むために事業を立ち上げた。
最初に取り組んだプラントベース食品は、アーモンドベースのドリンクだった。
数年の研究を経て、スピルリナをベースとした食品が持つ可能性の探索を開始する。
スピルリナは藍藻類の1つで、くるくるとねじれた形をしていることから、「らせん」を意味するラテン語の「スピルリナ」の名前がつけられたと言われる。
ビタミン、ミネラル、タンハク質、食物繊維、抗酸化作用を示す植物性色素など、 60 種類以上の栄養素をバランス良く含んでおり、スーパーフードとして注目を集めている。
血糖値を下げる作用や、抗アレルギー作用なども報告されている。
Naka Foodsは、インド、ベンガルールにあるSnaxmartと提携し、スピルリナをベースとしたスナックバー4pm Barを開発した。
1本のスナックバーで、お皿一杯分の野菜・果物に相当する栄養を摂ることができる。
4pm Barはこれまでに、インドのIT企業70社でテストされており、D2Cサイトで販売されている(味は3種類)。
Naka Foodsは現在、代替肉市場にも目を向けている。
開発中の植物肉は、スピルリナ、ジャックフルーツ、ひよこ豆をベースにする。ジャックフルーツは東南アジアで豊富に入手できるフルーツで、現地調達することで輸入する原材料を減らし、インド人農家の生計を支援する狙いもある。
公式サイトによると、代替魚の開発にも取り組んでいる。
インド人に植物肉を購入する可能性を調査した報告によると、インド人の62.8%が植物肉を購入する可能性が非常に高く、31.7%はいくぶん可能性がある、5.5%は全く可能性がないという結果となっている。
世界の植物肉市場は2019年の16億ドル規模から、2025年には33億ドル規模に成長すると予測されており、市場拡大とともに、インドでもプラントベースへ移行する人口は増えていくと予想される。
Naka Foodsは現在、ProVegのインキュベータープログラムに参加している。
スピルリナ由来の代替肉はまだ開発段階にあるが、Naka Foodsは代替肉を発売し、事業を発展させ、投資家とつながるための戦略を年内に構築したいと考えている。
藻類は、光合成を行う生物のうち、地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物をのぞいた総称となり、その範囲は広い。
藻類をベースに代替肉を開発する企業にはNaka Foodsのほかに、微細藻類をベースに代替パテ肉を開発するシンガポールのSophie’s Bionutrientsがいる。
アメリカのTrophicは海藻の1つである紅藻を原料にした代替肉の開発に取り組んでいる。
国内では、大豆ベースの代替肉で急速に国内外に展開するネクストミーツが微細藻類による代替肉の研究開発をスタートさせている。
Naka Foodsが開発したスナックバー4pm Barのコンセプトは、日本企業ベースフードに似ている。ベースフードは、忙しい人や食材を十分に買う余裕がない人でも栄養が十分にとれる主食(パン、パスタ)を販売している。
国内ではタベルモがスピルリナがもつタンパク質源としての生産性の高さに注目、スピルリナを使ったドリンクやフローズンデザート、フレークタイプの商品を開発している。
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アイキャッチ画像の出典:Naka Foods