フードロス

レストラン厨房のフードロス削減に取り組むOrbiskが約1億3600万円を調達

 

レストラン向けのフードロスに取り組むOrbiskが、シードラウンドで105万ユーロ(約1億3600万円)を調達した。

Orbiskはレストラン向けに、フードロスを把握、削減するためのコンピュータービジョン・AIを活用したシステムを開発するオランダ企業。

レストランはOrbiskのモニターを厨房のゴミ箱に設置する。スタッフが食品廃棄時にトレーをモニターに見せると、モニターは食品廃棄物を自動的に登録し、内蔵のAIソフトウェアがどの製品が廃棄されているかを正確に認識する。

出典:Orbisk

画像追跡認識技術を活用することで、どの材料が、どれくらい廃棄されているかを特定することが可能となる。

これによりシェフは、特定の日または週に、どの食品が廃棄されたかを知ることができる。提供されるデータは、食品廃棄が発生した時期と発生した理由を正確に示すという。

「こうすることで、データをもとに供給、購買プロセス、メニューを最適化することができます。経費の節約になるだけでなく、不要な多くの食品廃棄を削減することができます」(Orbisk)

Orbiskのテクノロジーの一部分は、データ会社Samaとの協業により実現している。

Orbiskのカメラはさまざまな食品の何千もの画像を捕捉する。Samaは、OrbiskのAIアルゴリズムが「ブロッコリー」「トマト」などの食品と実際の画像を紐付けできるように各画像をラベリングし、自動的に認識できるようにOrbiskのAIをトレーニングした。

つまり、Orbiskが捕捉する膨大なデータを、構造化、分類化するのをSamaがサポートしている。

出典:Orbisk

Orbiskは自社のシステムで、レストラン、ホテル、業務用キッチンなどのフードロスを最大70%削減できると推定する。

起業のきっかけは、OrbiskのCEO・共同創業者ven der Vleen氏の個人的なエピソードによる。ホテルの朝食ビュッフェが終わる頃にやってきたVleen氏は、手付かずの食品の量を観察し、起業のアイディアを思いつく。

世界では毎年、食品の3分の1が廃棄されており、先進国のフードロスは発展途上国の約2倍となる。国連はフードロスを主要な課題の1つと考え、持続可能な12の目標の1つに設定している。

フードロス削減のため、小売向けのソリューションを提供するスタートアップだけでなく、レストランなど厨房向けのソリューションを開発する企業も登場している。

出典:Orbisk

イギリスのWinnowもOrbiskと似たサービスを開発している。

現在、Orbiskのシステムは50のレストランに導入されており、平均40-50%のフードロスを削減している。年末までに導入箇所を数百に増やしたいと考えている。

Orbiskは2019年にオランダ、ユトレヒトに設立されたスタートアップ。

今回のラウンドは、フードテックに特化したベンチャーキャピタルPeakBridgeが立ち上げたシードファンドFoodSparksが主導し、EIT FoodDOEN ParticipatiesBrabantse Ontwikkelings Maatschappijが参加した。これまでの調達総額は150万ユーロ(約1億9400万円)となる。

 

参考記事

Food waste recognition tech for professional kitchens receives investment boost

Orbisk Raises €1.05M for its Food Waste Fighting AI for Restaurants

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:Orbisk

 

関連記事

  1. Evigence Sensorsが約23億円を調達、食品鮮度をリ…
  2. Colloが開発した、電磁場を利用して牛乳工場の損失を防ぐ「液体…
  3. 果物の鮮度保持シールStixFRESHを開発する米Ryp Lab…
  4. 個人から企業まで|貼るだけで果物の鮮度を保持するシールを開発した…
  5. 廃棄される果物の皮からドライフルーツを製造するRINDが約6.7…
  6. 米Ovieが開発した冷蔵庫の食品を簡単に追跡できるスマートタグL…
  7. 廃棄パンからクラフトビールを作る香港企業Breer、4名の香港大…
  8. 食品ロスに取り組むFlashfoodが約14.7億円を調達、アメ…

おすすめ記事

酵母クリームのCultivated Biosciences、2025年の米国進出に向けて約7.3億円を調達

代替乳製品の食感を改善するために酵母由来の脂肪成分を開発するスイス企業Culti…

培養肉企業フューチャーミートが約394億円を調達、生産コストを110gあたり1.7ドルに削減

イスラエルの培養肉企業Future Meat(フューチャーミート)は20日、シリ…

Forsea Foodsが初の培養うなぎ試食会をイスラエルで開催、2026年までに日本での上市を目指す

細胞培養によるうなぎを開発するイスラエル企業Forsea Foodsは今月4日、…

精密発酵でアロマを開発するEvodiaBioが約8.6億円を調達

デンマークのスタートアップ企業EvodiaBioは、食品・飲料業界に向けた持続可…

チーズ大手のベル、精密発酵企業Standing Ovationと独占提携

世界的なチーズブランドBabybel、Laughing Cow、Boursinで…

オーストラリアのVowが約67億円を調達、来年始めにシンガポールで培養肉発売へ

オーストラリアの培養肉企業Vowは、シリーズAラウンドで4920万ドル(約67億…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/14 14:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/14 23:55時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/14 03:38時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/14 20:11時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/14 12:23時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(12/14 23:12時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP