コーヒー

豆を使わずに合成生物学でコーヒーを開発するCompound Foodsが約5億円を調達

 

コーヒー豆を使わずにコーヒーを生産する米Compound Foodsがシードラウンドで450万ドル(約5億円)を調達した。

このラウンドには、Lowercarbon CapitalSVLCHumboldt FundCollaborative FundMaple VCPetri Bio、エンジェル投資家などが参加した。この調達により、Compound Foodsの調達総額は530万ドル(約5億8000万円)となる。

2020年にMaricel Saenz氏によって設立されたCompound Foodsは、合成生物学を活用して豆を使わないコーヒーを開発する。

出典:Compound Foods

具体的な製法については明らかにしていないが、同社ブログ記事によると、Compound Foodsは「コーヒー農家でやっていることを研究室で再現」している。

食品科学と発酵技術により、持続可能な方法で育てられた微生物を活用して、コーヒーを生産している。

Compound Foodsはカップ1杯のコーヒーを生産するのに消費される水の量より140L少ない方法でコーヒーを生産する。現在、コスタリカやブラジルなど、地域に応じた味と香りを備えたコーヒーの再現に挑戦している。

バイオテクノロジーを活用して持続可能なコーヒーを生産する取り組みは他にもある。

シアトルを拠点とするAtomoは廃棄されるスイカの種、茎、殻などを使用し、発酵技術を活用してコーヒーを開発している。

コーヒー以外では、EndlessWest分子ワインと分子スピリッツを開発している。同社はワインとスピリッツの分子組成を研究し、必要な分子を特定して、植物、果物、酵母など天然資源から必要な分子を抽出し、木材や水、土地の使用を大幅に削減している。

出典:Compound Foods

食品サプライチェーンにおいてコーヒーは、6番目に温室効果ガスを排出する食品・飲料とされる(1位:牛、2位:羊、3位:チーズ、4位:乳牛、5位:チョコレート)。また、気候変動による気温上昇、不規則な雨量などにより、収穫量が変動する作物でもある。

研究所でコーヒーを生産できるようになると、広大な土地の確保が不要となり、気候変動により収穫量が変動することもない。

TechCrunchの取材に対し、Saenz氏は「現在の農地の50%が20年後には使えなくなる」とコメントしており、持続可能なコーヒーの生産のニーズは高まっていくと予想される。

Compound Foodsは、小規模コーヒー農家が、より持続可能な農業と土地利用へシフトするのを支援したいと考えており、この実現に向けて、NGOとのパートナーシップも構築している。

 

参考記事

Compound Foods Raises $4.5M to Make Synthetic Coffee

Compound Foods Closes $4.5M Seed To Ferment Sustainable Beanless Coffee

All coffee, no beans – brewing a new kind of coffee

「豆のないコーヒー」を分子合成技術で生み出すCompound Foods、環境や生産農家にも配慮

 

関連記事

関連記事

  1. インドNymbleの料理ロボットJulia(ジュリア)がSKS2…
  2. 米Pairwise、アメリカ初のCRISPR編集食品を発売
  3. Fooditiveが精密発酵による代替ハチミツ開発を発表
  4. 植物細胞培養でカカオを開発するKokomodoが約1.1億円を調…
  5. チョコレート会社創業者が立ち上げたNukoko、そら豆由来のカカ…
  6. 堆肥化できるコーヒーボールを使うCoffeeB、20万世帯に導入…
  7. 携帯可能なアレルギーセンサーを開発するAllergy Amule…
  8. 【2024年1月16日】Foovo初の現地セミナー開催のお知らせ…

おすすめ記事

ニュージーランド企業Daisy Labが精密発酵ホエイのスケールアップ生産に成功

ニュージーランドの精密発酵企業Daisy Labは、10Lのバイオリアクターを使…

ドイツの培養脂肪Cultimate Foodsが約1億円を調達、植物肉用の脂肪提供を目指す

ドイツを拠点とする培養脂肪スタートアップのCultimate Foodsがプレシ…

培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカのWildtype(ワイルドタイプ)…

MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロテインの開発で約2.1億円の欧州助成金を獲得

マイコプロテインで代替肉や代替バターを開発するスウェーデン企業Mycorenaは…

セイバーイートが植物肉用3Dプリンターをアメリカの大学へ初導入

3Dプリンターで植物肉を開発するイスラエル企業セイバーイート(SavorEat)…

GEAが代替タンパク質の技術センターをドイツに開設

食品・飲料・製薬業界向けの世界大手システムサプライヤーであるドイツ企業GEAは今…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/17 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP