アップサイクル

ビールの醸造で発生する廃棄大麦をアップサイクルするReGrainedとは

 

アメリカ、デラウェア州を拠点とするReGrainedは、ビールの醸造で発生する大麦などの穀物廃棄物を活用してタンパク質粉末を開発している。ビールの醸造で残る、風味がよく香ばしい穀物の可能性に着目した。

そのままであれば廃棄されるものを再利用し、新しい付加価値を付与することをアップサイクルという。

ReGrainedはビールの醸造で発生する使用済み穀物(約95%が大麦で、小麦・ライ麦も含む)を使用し、「ReGrained SuperGrained+」という粉末にアップサイクルする。

出典:ReGrained

同社の独自技術は、アメリカ農務省との共同開発によるもの。穀物由来の最終粉末は、アーモンド粉末と同じタンパク質、消化をサポートするプレバイオティクスを含み、全粒粉の3倍の食物繊維を含んでいる。

公式ECサイトではアップサイクル商品となるスナックが1袋4ドルで販売されている。

今年4月にはクッキー生地のECサイトを運営するDoughpと、ReGrainedのアップサイクル粉末を使った新しいクッキー生地の作成で提携した。「SuperGrained+」を含むクッキー生地は、通常の2倍のタンパク質、6倍の食物繊維を含み、4月からDoughpのサイトで販売されている。

出典:ReGrained

ReGrainedは、このようなコラボを今後も多く実施していきたいとコメントしていた。

このコメントの通り、今年8月には、オーガニックパスタを販売するSemolina Artisanal Pastaとの提携を発表。「SuperGrained+」を配合したプレミアムパスタが、10月から消費者、外食産業向けに発売される。

新しいコラボ製品は、全粒粉の3倍以上の食物繊維と2倍のタンパク質に加えて、消化をサポートするプレバイオティクスが含まれている。

このほか、サンフランシスコベイエリアのアイスクリームショップBI-RYTEでも、「SuperGrained+」を配合したアイスクリーム(APPLE FRITTER)が販売されるなど、幅広くコラボを展開している。

出典:ReGrained

日本企業もビールの醸造で発生する穀物廃棄物のアップサイクルに着目している。

投資会社Future Food Fundは今年3月、ReGrainedに出資した。Future Food Fundは、オイシックス・ラ・大地が設立したファンドで、国内外の先進的な食品・農業・ヘルスケア領域への投資、販売や商品開発などの支援をしている。

Future Food Fundとのパートナーシップにより、日本でも「SuperGrained+」を使ったアップサイクル商品がリリースされる可能性がある

Future Food Fundの出資額は公開されていないが、ReGrainedはこれまでに2018年9月のシードラウンドで250万ドル、2020年1月の株式投資型クラウドファンディング(金銭によるリターンを受け取れる投資型クラウドファンディングの1つで、出資の見返りとして株式を受け取ることができるもの)で74万4300ドルを調達している。

ReGrainedのほかにもアップサイクルに対する取り組みは増えている。ベルギーのEverGrainも、ビールの醸造で発生する使用済みの大麦を活用して代替タンパク質粉末を開発している。

イギリスのサプラント(The Supplant Company)は、とうもろこしや小麦などの廃棄される部分を使って砂糖を開発している。スウェーデンのMycorenaにいたっては、代替肉の原料となるマイコプロテインの発酵培地の栄養源として、廃棄される食品廃棄物を活用している。

 

参考記事

ReGrained Launches New Cookie Dough with Doughp and Partners with Future Food Funds in Japan

ReGrained collaborates on upcycled pasta

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:ReGrained

 

関連記事

  1. Zero Cow Factoryが約5.2億円を調達|カゼインタ…
  2. 精密発酵で代替パーム油を開発するC16 Biosciencesが…
  3. 培養肉企業インテグリカルチャーによる 「CulNetコンソーシア…
  4. 菌糸体からベーコンを開発する米MyForest Foods、年産…
  5. オランダの培養肉企業Meatableが培地の共同開発でDSMと提…
  6. オランダのモサミート、培養脂肪で英国初の承認申請を提出
  7. Haofoodはピーナツを使用した代替チキンで約4.5億円を調達…
  8. ドバイが次のフードテックハブになる?UAEがドバイにフードテック…

おすすめ記事

ネスレがFuture Meatと協業して培養肉参入に向けて準備

ネスレが培養肉事業に参入する準備を進めている。ネスレが培養肉と植物肉をブ…

培養サーモンの米WildTypeが培養シーフード業界史上最大の約114億円を調達

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカ企業WildType(ワイルドタイプ…

培養肉企業アレフ・ファームズが約116億円を調達、2022年に最初の商品の販売へ

細胞培養でステーキを開発するイスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズが、シリーズ…

GOOD Meat、Upside Foodsの2社がUSDAの表示認証を取得、培養肉上市まであと1ステップ

アメリカの培養肉企業GOOD Meat (イート・ジャストの培養肉部門)とUps…

材料毎に投入タイミングを制御するスマート調理ロボットOliver

ほかの料理の準備で焼きすぎてしまったり、ゆですぎてしまったり、料理には失敗がつき…

大手食品メーカーの精密発酵食品への参入・販売状況【Foovo独自】

2025年9月15日追記ダノンは今月、ミシュランら3社と協力して、フランスに精密発酵のスケー…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/17 15:53時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/18 02:17時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/18 05:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/17 21:55時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/17 13:52時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/18 01:12時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP