南アフリカ、ケープタウンを拠点とする培養肉企業Mzansi Meatは2年の研究開発を経て、培養肉ハンバーガーの生産に成功したことを発表した。同社は来月、アフリカ初となる培養肉ハンバーガーを発表する。
2020年に設立されたMzansi Meatはアフリカの伝統的料理で使用される培養肉の生産を目指している。
アフリカ大陸の食料安全保障の解決策となる培養肉
Mzansi Meatは培養ハンバーガーだけでなく、今後数年かけてひき肉、ソーセージ、ナゲット、ステーキ、さらには鶏肉を南アフリカ市場に導入することを計画している。
同社の共同創業者兼CEOであるブレット・トンプソン氏は、「アフリカの人口は2050年までに13億人から25億人に増加すると予想されている。これにより、肉の需要も高まると予想される。この難題は、アフリカ大陸における食料安全保障の解決策として、新たなタンパク質源である培養肉にとってチャンスとなる」とコメントし、培養肉が人口増加に伴う食糧ニーズを満たす手段となる見方を示している。
NGOであるCredenceが行った調査によると、南アフリカの消費者の66%は植物肉・培養肉に「高い関心」を示している。特に培養肉については、アンケートに回答した60%が試してみたいと回答している。
地元農家から始まる培養肉生産プロセス
Mzansi Meatの培養肉生産プロセスは地元農家から始まる。獣医師がドナー動物に苦痛を与えない方法で採取した組織細胞は研究室に運ばれる。
Mzansi Meatは細胞を分離し、細胞が成長するのに必要な栄養素を備えた培地の中で細胞を増殖させる。十分な量の細胞ができたら、食用足場に置き、必要な風味などを追加して最終製品とする。
Mzansi Meatは動物に危害を与えることなく、動物の細胞から直接肉を生産する細胞農業企業として、起業家であるトンプソン氏とTasneem Karodia氏によって2020年に設立された。
トンプソン氏は南アフリカのシンクタンクCredence Instituteの共同創設者であり、南アフリカとドイツで10年以上、代替タンパク質と動物愛護運動に携わってきた経験を有する。
2021年の培養肉企業への出資は前年比3倍以上
Mzansi Meatは現在、牛肉に焦点をあてて培養肉を開発しているが、南アフリカの培養肉企業にはMogale Meatもいる。
同社は、食料安全保障、環境保護の側面に加え、野生動物を保護するために、野生のレイヨウと牛の500を超える凍結保存された細胞バンクを構築している。
アフリカに限らず、培養肉の開発は世界的に加速している。
これまでに培養肉の販売許可を取得したのはアメリカのイート・ジャストのみだが、2021年の培養肉に対する出資額は過去最高の14億ドルとなった。これは2020年の4億ドルの3倍以上であり、培養肉業界が急成長かつ注目を集めている表れといえる。
参考記事
SA startup Mzansi Meat Co. will soon launch Africa’s first lab-grown burger
South Africa’s Mzansi Meat To Debut Africa’s First-Ever Cultivated Meat Beef Burger
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アイキャッチ画像の出典:Mzansi Meat(左からTasneem Karodia氏とブレット・トンプソン氏)