Foovo Deep

牛乳の全成分を含んだ培養ミルクを開発するカナダ企業Opalia

 

カナダ、モントリオールを拠点とするOpalia(オパリア)は、ウシ胎児血清(FBS)を使用せずに細胞培養ミルクの生産に成功したことを発表した。

今年2月にBettermilkから社名を変更したOpaliaは、牛乳の環境に与える影響の大きさから、持続可能で倫理的な乳製品を提供するという使命のもと、細胞培養による牛乳の代替を目指している。

母乳ではなく牛乳をターゲットに

出典:Opalia

代替乳製品業界では、アメリカのBiomilqやシンガポール・アメリカに拠点を持つTurtleTreeのように細胞培養により母乳を開発する企業が登場している。

代替乳製品全体に占める代替母乳企業はまだ少数だが、2027年には1090億ドル規模と2019年の2倍以上になると予想され、変化が乏しいと批判されがちな乳児用調製乳業界を狙う企業は増えている。

一方、Opaliaは母乳ではなく身近な乳製品である牛乳を開発ターゲットとしている。

母乳より牛乳に焦点をあてる理由として、共同創業者のJennifer Cote氏は「持続可能性と動物福祉」の2点を挙げる。1Lの牛乳を生産するには628Lの水が必要とされ、牛の飼育は広大な土地使用、大量の飼料、温室効果ガスの排出を伴う。

細胞農業により酪農の影響を軽減

出典:Opalia

Opaliaは「環境への悪化、動物の苦痛、病原体の拡散を引き起こす酪農の影響を軽減する」ため、Cote氏とLucas House氏によって2020年9月に設立された。今月にはプレシードラウンドでCULT Food Scienceサステイナブル・フード・ベンチャーズBig Idea Venturesなどから100万ドル(約1億2000万円)を調達し、現在シードラウンドでの資金調達を準備している。

現在はまだ研究開発段階にあるが、製品に牛乳を使用する企業との提携を念頭に、食品から化粧品、医薬品業界への展開を考えている。

牛乳のすべての成分を含む細胞由来ミルク

イメージ画像

Opaliaは牛乳を分泌するウシの乳腺上皮細胞に栄養を与え、細胞を増殖させる。公式サイトによると、これらの細胞は牛乳を生産するように遺伝子操作されている。次に、これらの細胞に刺激を与え、分化させてミルクを生産させる。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像はイメージ

 

関連記事

  1. 英培養肉企業Higher Steaksが約43億円を調達、社名を…
  2. 酵母で油脂を開発するMelt&Marbleが約9600…
  3. 鮮度延長コンテナを開発した米RipeLocker、エクアドル進出…
  4. 3Dプリンター肉のSavorEatが代替卵に特化したスタートアッ…
  5. 培養サーモンの米WildTypeが培養シーフード業界史上最大の約…
  6. Finless Foodsが約40億円を調達、培養マグロの製造と…
  7. 米The Better Meat Co.がマイコプロテインに対し…
  8. 培養魚を開発するAvant MeatsがシンガポールのA*STA…

おすすめ記事

材料毎に投入タイミングを制御するスマート調理ロボットOliver

ほかの料理の準備で焼きすぎてしまったり、ゆですぎてしまったり、料理には失敗がつき…

「ニッポンの魚ビジネスEXPO 2025」2月18日開催|業界の枠を超え、魚ビジネスの可能性を広げる

本記事は、Foovoがメディアスポンサーを務める「魚ビジネスEXPO 2025」の紹介記事です。…

ドイツのNosh.bio、麹由来のハイブリッド肉をレストランで限定提供、欧州大手食肉加工会社と提携

出典:Nosh.bioドイツのマイコプロテイン企業Nosh.bioは先月、菌糸体と牛肉をブレンド…

米と麹で“食”と“エネルギー”問題の解決へ──アグロルーデンスが挑む、米の新たな価値創出【セミナーレポート】

入本慶宣氏(Foovo佐藤撮影)日本の伝統技術である「麹」を用いて、新たな発酵タンパクの国産化に…

The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク質を使ったスムージーを発売

The Every Companyのアニマルフリーな卵白タンパク質粉末を使ったス…

ブラジルの精密発酵企業Future Cow、最初の乳タンパク質試作品を製造

ブラジルのスタートアップ企業Future Cow Technologiesは昨年…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/10 16:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/10 02:49時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/10 06:21時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/10 22:14時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/10 14:14時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/10 01:31時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP