代替プロテイン

Haofoodはピーナツを使用した代替チキンで約4.5億円を調達

 

上海のHaofoodはピーナツタンパクを用いたビーガンチキンで、350万ドル(約4億5000万円)のシード資金を調達したことを発表した。

今回の資金調達にはMonde NissanのCEO Henry Soesanto氏Rich Productus VenturesBig Idea Venturesが参加している。Haofoodはこの出資を機に、研究開発施設の拡大や海外を見据えた販路の開拓などを進めていくものと考えられる。

代替タンパク市場で独自の存在

出典:Haofood

2020年にピーナツベースのチキンを上市したHaofoodは、2021年には上海のレストラン5店舗と提携して代替肉の提供を始め、地元の本格的な料理にもピーナツタンパクが用いられるようになっている。これからは販売網の拡充や新たな消費者層の掘り起こしが必要となる。

出資したHenry Soesanto氏「健康的で持続可能性のある食品を求める今日の消費者にとってピーナツを用いたHaofoodの代替チキンは、美味しさと共に環境面でも水の使用量を削減するメリットのある製品となっている。彼らが食品技術をうまく活用して短期間で製品化できてきたことには目を見張るものがあった」とコメントしている。

アップサイクルをかねた代替肉開発

出典:HaoFood

Haofoodは植物由来チキンを作るにあたり食品の製造工程から出る副産物を活用している。

彼らは独自技術を用いて成分を改質して食感のあるタンパク質に変換しており、グルタミン酸ナトリウムを用いることなく旨み風味を出すことも出来るようになった。今回調達した資金により更に技術の改良が進むだろう。

「持続可能性がある美味しい植物由来の代替チキンを出したいという想いを共有する投資家の支援を得ることができ光栄に思っている。

食品業界で豊富な経験を持つ我々の専門家チームが開発したInnotein TMという技術を我々は権利化しており、この技術を使えばピーナツやその他のタンパクからすばらしい食感や旨みを持つ様々な植物由来のチキンを作ることができる。

今回調達した資金により技術革新を進め、高品質の代替タンパク製品を中国やアジア全体のお客様にお届けしたい」

(Haofoodの創業者兼CEOのAsrid Prajogo氏)

最初の製品を中国で上市したことを受けて、主要出資者はこのスタートアップが今後海外に発展していくことに大きな期待を示している。

中国の植物由来の代替肉市場とプレイヤー

出典:HaoFood

アジア太平洋地区の植物代替肉の市場規模は、2020年で1億6300万ドル(約206億円)、このうち中国が1億1600万ドル(約147億円)と7割以上を占めている

中国は潜在的な市場規模が大きいだけでなく、鳥インフルエンザやアフリカ豚コレラなどによる品不足や価格高騰などを過去に経験して代替肉の必要性も認識していると考えられ、今後も代替肉市場が拡大していくことが予想される。

こうした背景のもと海外の大手食品会社が代替肉分野での中国市場への参入を進めており、ビヨンドミートは中国のスターバックスのメニューに代替肉製品を提供しているほか、カーギルはPlantEverブランドの代替チキンを販売している。また、ネスレはHarvest Gourmetブランドで代替肉を用いた様々な食製品を販売している

一方、中国のスタートアップではHaofoodのほか、Starfieldがこれまでに約143億円の資金を調達して大豆タンパクを用いた代替ビーフを開発している。

他にもHey MaetZhenmeatなどが登場しているが、今後も多くのスタートアップが新たに参入し、その規模も拡大していくものと考えられる。

 

参考記事

Haofood Scoops $3.5 Million For Plant-Based Chicken Made From Peanuts

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Haofood

 

関連記事

  1. Quornの親会社Marlow Foods、マイコプロテインを他…
  2. 培養魚レポート・販売開始のお知らせ
  3. GFIが「植物分子農業」を代替タンパク質の第4の柱として注目
  4. 代替肉の米インポッシブルフーズが約560億円を調達、調達総額は2…
  5. 韓国の培養肉企業CellMEATが約4億7千万円を調達、培養肉の…
  6. 培養ロブスターを開発する米Cultured Decadenceが…
  7. アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発…
  8. モサミートが培養肉の工業生産に向けて生産施設を拡大

おすすめ記事

精密発酵チーズのNew CultureがCJ第一製糖と提携、2023年に上市を計画

精密発酵でチーズを開発する米New Cultureは今月、韓国のCJ第一製糖から…

シンガポール初のエスカルゴ養殖企業WholeSnail、シードラウンドで資金調達

商業用カタツムリ養殖場を運営するシンガポールのスタートアップ企業WholeSna…

培養肉モサミートが培養脂肪用培地の大幅コストダウンに成功

オランダの培養肉企業モサミートが、培養脂肪用培地のコストダウン成功を発表した。…

イスラエルのWilk、研究室でヒトラクトフェリンの生産に成功

イスラエルのスタートアップ企業Wilk(旧称Bio Milk)は今月、ヒトラクト…

なぜ今、食品メーカーが手を組むのか?|共通課題に挑む「未来型食品工場コンソーシアム」

今年7月、食品業界における共通課題の解決を目指す取り組みとして「未来型食品工場コ…

VenHubが開発する完全自律型のスマートコンビニ

国内でも無人決済コンビニの導入が進むなど、小売の省人化・省力化が進んでいる。数年…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/17 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP