代替プロテイン

中国企業HaoFoodのピーナッツを原料とする代替肉が上海レストランで販売開始

 

上海を拠点とする代替鶏肉スタートアップHaoFoodが上海のレストランと代替肉の提供で提携したことを発表した。

HaoFoodはピーナッツを原料に植物肉を開発している珍しいスタートアップ。

植物原料を使った代替肉企業の多くは、大豆、えんどう豆、小麦を使用しているが、ピーナッツを使用する企業は限られている。

共同創業者4名のうち3名が女性の同社は、昨年の報道で、今年中に中国現地のレストランで市販化する予定を明らかにしていた。

その予定どおり、この春にHaoFoodのピーナッツ肉が上海のレストランで提供される

ピーナッツ肉が上海のレストラン5店舗でデビュー

出典:HaoFood

同社の代替肉はピーナッツをベースに、ココナッツオイル、亜麻仁油、ゲランガム、コーン油、水を原料としている。コレステロールは含まない。

最初の商品はアジア料理向けのフライドチキンで、中国人に向けた屋台用フライドチキン、日本のチキンカツ、インドネシア料理用のフライドチキン(ayam geprek)として使用できる。

HaoFoodの代替肉をメニューに組み込む上海のレストランは次のとおり。

  • Green Friday
  • Topolino
  • STYX
  • Wrap and Roll
  • The Pawon

Wrap and Rollは巻物やバーガーに代替チキンを組み込んで使用する。

Green Fridayはすでにほかの植物肉を導入しており、有名な中華料理である辣子鶏(鶏肉のから揚げを唐辛子などで炒めた料理)や宮保鶏丁(鶏肉とピーナッツを唐辛子などで炒めた料理)に使用する。

出典:HaoFood

The PawonはHaoFoodのピーナッツ肉を使用したインドネシア料理を提供する。STYXは東南アジアで広く食べられる串焼きやタコスに組み込む。

Topolinoはピザ、パスタ、サラダ、パニーニなどシチリア料理に使用する。

HaoFoodは昨年、植物ベース・細胞ベース食品に力をいれる世界的なアクセラレーターProVeg Incubatorのプログラムに参加していた。

中国のスタートアップが続々と資金調達

現在、中国だけで世界の肉の28%を消費している。このうち、豚肉消費量は世界の半分を占めている。

コロナウイルスの発生や、豚コレラなどの発生により、若い世代では特に、より健康的なライフスタイルを意識する人が増えている。

こうしたなか、中国で代替肉に取り組む企業は増えており、2020年には10社が資金調達に成功した。

この中には、StarfieldHeyMaetVestaHaoFood
ZhenMeatHero Proteinグリーンマンデーなどがいる。

中でも、グリーンマンデーは昨年秋に約73億円という巨額の資金調達に成功している。

出典:HaoFood

代替肉スタートアップの急増がバブルになると懸念する投資家もいるが、市場が飽和状態になるには程遠いとする見方もある

ある投資家はテッククランチの取材に対し、「中国人が1年にどれだけ肉を消費しているか考えてみてください。代替肉がその0.01%を置き換えるだけでも、数十憶ドルの規模になるんですよ」と語っている。

昨年の両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)では、孫宝国政協委員培養肉の開発を政策・投資の面で「バックアップ」するよう呼びかけている。これは培養肉に関する発言だが、両会で代替肉がテーマにあがったことは、中国政府が力をいれている表れといえる。

今年になってからは、中国発のスタートアップだけでなく、海外勢の参入も目覚ましい。

代替肉と培養肉を開発する米イート・ジャストは1月に、中国大手ファーストフードDicosと提携、Dicosの卵がイート・ジャストの代替卵に置き換えられた。

今月には代表的な代替肉企業ビヨンドミートの中国現地の工場が開設した。

同じく有名な代替肉企業インポッシブルフーズは中国本土へはまだ上陸していないが、香港のレストラン170店舗と大手スーパーマーケットParknShopで今月より同社の代替肉の販売が開始されるなど、中国勢・海外勢による中国シェアの争奪戦が始まっている。

 

参考記事

Alt Protein Startup HaoFood Partners With Restaurants Across Shanghai To Launch Its Peanut-Based Chicken

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:HaoFood

 

関連記事

  1. 酵母クリームのCultivated Biosciences、20…
  2. 精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAで約…
  3. 「チキンのテスラ」で知られる植物肉の米SIMULATEが約55億…
  4. 【2025年】培養魚・培養シーフード企業レポート販売開始のお知ら…
  5. タイ食品大手のCPフーズがイスラエルの培養肉企業フューチャーミー…
  6. ユニリーバ、植物性の代替肉・代替乳製品の年間売上目標を約1200…
  7. 培養油脂のMission Barnsが食肉加工企業と提携、培養ソ…
  8. キッチンカーで植物肉を広めたい|学生団体Planmeetがクラウ…

おすすめ記事

えんどう豆由来の代替ミルクを開発するSproudが約6.8億円を調達

えんどう豆を主原料に代替ミルクを開発するSproudが480万ポンド(約6億8千…

フィンランドの研究チームが精密発酵による代替卵白の開発に成功

フィンランドの研究チームは精密発酵技術により、動物を使うことなく卵白タンパク質の…

Ants Innovate、ハイブリッド培養豚脂肪「Cell Essence」の試食会を開催

シンガポールの培養肉企業Ants Innovateは14日、シンガポール企業Es…

Vivici、精密発酵ホエイでGRAS認証を取得—規制強化が迫る中の進展|GRAS認証・自己認証の現状を図解

オランダの精密発酵企業Viviciが、アメリカ食品医薬品局(FDA)から精密発酵…

カクテルに3DプリントするPrint a Drink、企業向けの小型3Dプリンターを開発

フード3Dプリンターという言葉を聞いたことある人は少なくないだろう。工業…

パーフェクトデイが約390億円を調達、今秋にアニマルフリーなクリームチーズを発売

アニマルフリーな乳製品を開発する米パーフェクトデイがシリーズDラウンドで3億50…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/11 15:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/12 01:27時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/12 05:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/11 21:30時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/11 13:30時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/12 00:37時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP