代替プロテイン

DAIZが海外進出を本格化、タイの植物肉企業へミラクルミートの提供を開始

 

熊本を拠点とする植物肉スタートアップのDAIZが海外進出を本格化する。

DAIZは2日、タイ、バンコクに本社を置く植物肉企業LOTTOFOODへ植物肉原料ミラクルミートを4月より提供開始したことを発表した。DAIZがミラクルミートを海外へ本格提供するのはこれが初となる。

DAIZ、海外への提供を本格化

出典:DAIZ

LOTTOFOODはタイ大手財閥TOAグループのSherwood社とLeafy Queen社の合弁会社として昨年8月に設立され、植物肉に特化した事業を展開している。

LOTTOFOODはミラクルミートを原料に、プラントベースブランドとして「TONKATSU」、「HAMBURG」、「SAUSAGE」を製品化し、BtoB、BtoCの事業を展開する。これらの製品はタイ国内ですでに、飲食チェーン店や小売業を対象に販売が開始されており、今後は大戸屋、てんや、ペッパーランチ、かつやなど日本食チェーン店にも導入される見込みとなる。

6月からはBtoCも開始するという。

ミラクルミートを採用した理由は食感

出典:DAIZ

LOTTOFOODでCEOを務めるSitthirat Watcharaporn氏はミラクルミート採用の理由として、「食感・風味がこれまでの植物由来肉と比較して全く異なるものだ」とコメントしている。調理後の製品に大豆特有の匂いが残らないほか、特に食感が他社の植物肉よりも際立っていたことを採用の理由に挙げている。

DAIZのミラクルミートは同社研究開発部長兼取締役の落合孝次氏が30年以上にわたる研究により開発したもので、大豆搾油後の脱脂加工大豆ではなく丸大豆(発芽大豆)を使用している。

出典:DAIZ

落合氏は、温度、酸素、二酸化炭素、水、発芽時間など各条件の膨大な組み合わせを試行錯誤して、栄養・旨味・機能性が増大される発芽条件を見出し、独自の「落合式ハイプレッシャー法」を開発した。DAIZはこの独自製法により生産された発芽大豆を押出成形し、独自の膨化成形技術により肉のような弾力と食感を再現している。

旨味、弾力を再現したミラクルミートは、2020年にフレッシュネスバーガーの植物肉パティに採用されたのをきっかけに首都圏ライフのスーパー、キリンホールディングスの飲食店など50社を超える飲食店へ導入されている

昨年8月には餃子・ハンバーグ・唐揚げ・ツナの4品を商品化し、業務用商品として販売している。昨年11月には伊藤ハムの「まるでお肉!大豆ミートシリーズ」の一部商品の原料としても採用された

日清食品、JA全農とも提携

出典:DAIZ

DAIZは原料サプライヤーとして、国内企業との提携も積極的に進めている。

今年1月には日清食品ホールディングスと共同開発を目的とした資本提携を行った。日清食品グループの植物由来原材料だけを使用したカップヌードルや完全栄養食メニューの開発に、DAIZの独自技術で協力していく。

日清食品グループは「謎肉」に代表されるように、世界でいち早く植物性タンパク質の活用に取り組んできた。DAIZはミラクルミートのほか、代替卵となるミラクルエッグの開発も手掛けており、あらゆる面で日清食品グループの植物化をサポートしていくと考えられる。

今月には、全国農業協同組合連合会(JA全農)との業務提携を発表した

JA全農との提携により、国産大豆等の安定的な仕入れルートが確保され、需要拡大が見込まれるミラクルミートの生産体制強化につながる。2社は100%植物性のプラントベースフードや、食肉とブレンドしたハイブリッド製品などの商品開発で協業する。

DAIZは今後、アジア・欧米を中心に海外展開を推進していく。同社代表の井出剛氏は、今回のタイ進出をきっかけに「アジア市場進出の足掛かりとしたい」とコメントしている。

国内ではネクストミーツが代替肉をシンガポール、台湾、香港、ベトナム、アメリカで販売している。同社は中国、インド、フランスでも量産の準備を進めている

 

参考記事

植物肉スタートアップのDAIZ、タイ大手財閥TOAが立ち上げた植物肉ベンチャーのLOTTOFOODへ植物肉原料として「ミラクルミート」を提供開始

植物肉「ミラクルミート」のDAIZとJA全農が業務提携、国産大豆の安定的な仕入れと食肉とのハーフ&ハーフ商品などの開発で協業

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:DAIZ

 

関連記事

  1. ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売
  2. ひよこ豆由来のタンパク質を開発するInnovoProが約3億円を…
  3. 培養母乳を開発するイスラエル企業Bio Milk、2022年にサ…
  4. DAIZが植物性代替卵「ミラクルエッグ」の開発に成功、ハイブリッ…
  5. 培養肉スーパーミート、スイス小売大手のミグロと提携
  6. インポッシブルフーズが植物性ソーセージを小売で販売開始
  7. 中国の培養肉企業CellXが培養肉のパイロット工場建設を発表
  8. えんどう豆由来の代替ミルクを開発するSproudが約6.8億円を…

おすすめ記事

BioCraft Pet Nutrition、社名変更とともに培養ペットフードの商用化に注力

ペットフード市場向けに培養肉を開発する最初の企業であるBecause Anima…

豆を使わない代替コーヒーを開発するオランダのNorthern Wonder|「森を守るコーヒー」への挑戦【創業者インタビュー】

オランダ発のスタートアップ、Northern Wonderが開発した豆を使用しな…

ImpacFatが世界で初めて培養魚脂肪の試食会を実施

細胞培養により魚の培養脂肪を開発するシンガポール企業ImpacFat(インパクフ…

空気と電気からタンパク質を作るSolar Foodsが約5億4千万円を調達、2022年までに生産工場稼働へ

このニュースのポイント●フィンランドSolar …

AIエンジンで代替タンパク質を開発するThe Live Green Coが精密発酵に参入

独自のAIレコメンドエンジン「Charaka」を活用し、動物由来原料や高度に加工…

欧州で広がるRedefine Meatの代替肉、現地レストランで味わった食感と味のリアルな感想

イスラエルのスタートアップ企業Redefine Meatが開発した代替ステーキ肉…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(02/21 14:43時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/22 00:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(02/22 04:19時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/21 20:41時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(02/21 12:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(02/21 23:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP