菌糸体を使って代替肉を開発するドイツ企業Mushlabsは先月、スタートアップの育成支援をするEIC(欧州イノベーション会議)のアクセラレータープログラムに選出された。Mushlabsを含む74の企業が最大1750万ユーロを調達し、Mushlabsも8桁の資金を調達した。
EUはこのプログラムを通じて、社会課題を解決し、欧州のイノベーションを推進するスタートップの支援を目指している。選出された74社のうち5社は食品分野だった。
Mushlabsの創業者兼CEOであるMazen Rizk氏は、同社が選ばれたことは、欧州が安全で持続可能な食品供給の確保を重視している表れだと見ている。
風味、食感を調整できる菌糸体由来肉
2018年に設立されたハンブルクを拠点とするMushlabsは、食用キノコの菌糸体を活用して代替タンパク質を開発している。
生産プロセスでは、液中発酵でキノコの根に相当する菌糸体を成長させることで、「ほぼあらゆる食品に変換できる原料」を収穫できるという。具体的には、肉、乳製品、魚の代替食品、さらには新しいユニークな食品も作り出すことができるという。
Mushlabsの生産プロセスでは、菌糸体が最終的に収穫されるバイオマスの「種」となる。バイオリアクターの中で、菌糸体が栄養を吸収し、成長して、タンパク質と食物繊維が豊富なバイオマスになる。収穫されるバイオマスはさまざまな製品の主原料として活用される。
海外メディアの報道によると、Mushlabsはこの1年で菌糸体の成長期間を数日に短縮できたという。その速さは大豆の約25倍で、畜産肉はもちろん、植物肉と比べ、製造期間が短いことが特徴といえる。
菌糸体が置かれる環境や成長パラメーターを微調整することで、風味、食感などの特性を変えることもできる。将来的には、異なる要件に応じてカスタマイズされた生の原料も生産できるようになるという。
工業規模のスケールアップはほぼ完了
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アイキャッチ画像の出典:Mushlabs