新しい食

MeliBio、高級レストランで蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間限定で開始

 

精密発酵により蜜蜂を使うことなくハチミツを開発する米MeliBioが、サンフランシスコの高級レストランBAIAで、同社ハチミツを期間限定で提供することを発表した

提供期間は7-9月の3カ月間で、2つのメニューに使用される。これに合わせて、MeliBioは今年後半に持続可能なハチミツを正式発売することも発表した。

MeliBio、今月から蜜蜂フリーなハチミツの提供を期間限定で開始

出典:MeliBio

BAIAでは、ブルスケッタの前菜とパンナコッタデザートの2つのメニューにMeliBioのハチミツが使用される。

BAIA総料理長のJoshua Yap氏は「新しいプラントベース料理を開発している時に、『本物のハチミツを使えたらいいのに』と何度も思いました。残念なことに、多くのシェフは、ハチミツの独特の風味と栄養を欠いたアガベなどの業界での標準的な代替品に悩まされています」とコメントしている。

同氏はさらに、「MeliBioはまさに私や他のシェフが探し求めていたものです。蜜蜂ではなく植物から作られた本物のハチミツであるだけでなく、レストランと消費者双方に倫理的で持続可能な選択肢を提供してくれます」と述べている。

食料生産に深刻な影響を及ぼす蜜蜂の減少

出典:MeliBio

受賞歴のあるMeliBioのハチミツは、100億ドル規模の商用ハチミツ産業が直面している見過ごされがちな危機に、持続可能なソリューションを提供する。

現在、蜜蜂の数は減少傾向にある。世界的な商用ハチミツ生産は、3分の2の作物の受粉を担う在来種蜜蜂の生物多様性に重大な脅威をもたらし、世界の食料システムに多大な影響を及ぼす可能性が指摘されている。

また、気候危機とサプライチェーンに起因する問題により、近年ハチミツの生産は変動しており、MeliBioのような持続可能な代替ハチミツの開発が進んでいる。

MeliBioは技術の詳細を明らかにしていないが、精密発酵技術を活用し、蜜蜂に頼らずに本物の味、粘性を備えたハチミツを開発している。同社ハチミツはBAIAのほか、ニューヨークにあるLittle Choc Apothecaryでも提供されており、今年後半に正式発売される。

今年後半に正式発売へ

出典:MeliBio

Vegconomistの報道によると、MeliBioは今年後半、カリフォルニアとニューヨークの一部レストランでハチミツの提供を開始する。

同社は小売売上ではなく、大手食品会社や料理界のインフルエンサーとのパートナーシップを通じたブランド構築に焦点をあてる考えのようだ。さらに、トップCPG会社やグローバルな食品メーカーとの協業を計画しており、これらの企業とのコラボ製品は2023年に発売される予定だという。

MeliBioの最初の製品が発表されたのは昨年の10月だった。業界のリーダーによるブラインドテストでは、MeliBioのハチミツは本物のハチミツと見分けがつかないという評価を得た。2021年にはTIMEの「ベスト・インベンション 2021」でフードテック3社の1社に選出されるなど、革新性には注目が集まる。

ハチミツ業界出身のDarko Mandich氏と科学者でありアマチュアシェフであるAaron Schaller氏が2020年に設立したMeliBioが設立から約2年で、正式発売間近まで成長した背景には、環境負荷の少ない持続可能な食料システムがこれまで以上に求められていることと無関係ではない。

同社はすでに40をこえるパートナーが、メニューや製品にMeliBioのハチミツの使用を希望していることを明らかにしている。

 

参考記事

MeliBio Bee-Free Honey Available Now For Limited Edition Summer Menu in San Francisco at Upscale Restaurant BAIA

MeliBio Partners with San Francisco’s BAIA to Debut Exclusive Bee-Free Honey Menu

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:MeliBio

 

関連記事

  1. シンガポールのPreferが代替チョコレートの試作品を発表、年内…
  2. 細胞培養により持続可能で高品質なカカオを生産するCelleste…
  3. 細胞培養でチョコレートを開発するCalifornia Cultu…
  4. イスラエル企業Ansāが開発した電波を利用したコーヒー焙煎機e2…
  5. 話題のビーンレスコーヒーATOMO COFFEEを渋谷で飲んでみ…
  6. イングレディオンが砂糖削減ソリューションのBetter Juic…
  7. スイスの研究チームが研究室で細胞培養によるチョコレートを開発
  8. 米Sweegenが精密発酵による甘味タンパク質でFEMA GRA…

おすすめ記事

牛を使わずに本物と同等のカゼインを開発するエストニア企業ProProtein

エストニアを拠点とするProProteinは微生物を活用して、牛を使うことなく主…

イート・ジャストの代替卵JUST Eggが欧州の安全性承認を取得

米イート・ジャストの代替卵JUST Egg(ジャスト・エッグ)の主要成分が、欧州…

米Geltor、飲食用の精密発酵コラーゲン「PrimaColl」について世界初のGRAS認証を取得

出典:Geltor精密発酵でコラーゲンを開発する米Geltorが、アメリカ食品医薬品局(FDA)…

スペインのLibre Foodsが菌糸体由来の代替鶏胸肉を発表、2024年に発売へ

菌糸体を活用して代替肉を開発するスペイン企業Libre Foodsは先月、欧州初…

植物性代替肉SavorEatがイスラエルでIPO(上場)、2021年夏までに試験販売を開始

このニュースのポイント ●植物性代替肉に取り組むイスラエル企業Sav…

Juicy Marblesが植物由来の骨付きリブ肉の開発に成功、今月より限定販売をスタート

スロベニアの代替肉企業Juicy Marblesは今月、骨付きの代替リブ肉を発表…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/22 16:17時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/23 02:57時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/23 06:28時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/22 22:18時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/22 14:18時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/23 01:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP